U-18選手が多文化共生に向き合う 名古屋グランパスSDGsアカデミー「在留ブラジルキッズプロジェクト2025」第2回インプットセッション
2021年から開始した「名古屋グランパスSDGsアカデミー」。今年は昨年に続き「ブラジルキッズプロジェクト」と題し、愛知県に数多く暮らすブラジルにルーツを持つ子どもたちが、将来の夢をもってイキイキと暮らせる社会を目指して、さまざまなステークホルダーの皆さんと共に、自分たちにできることを考え、実践していきます。
※第1回インプットセッションはこちら
2回目のインプットセッションが行われた7月12日(土)、まずは昨年の在留ブラジルキッズプロジェクトでもお世話になったNPO法人 希望の光 山家 ヤスエさんから、ブラジルキッズの現状についてお話しいただきました。
在留ブラジル人が多く暮らす豊田市保見地区で育った山家さん、ご自身の経験からブラジル人が日常の中で抱えるさまざまな苦労を語っていただきました。特に、日本語がまだ上手く話すことのできない在留ブラジルキッズにとっては学校での授業についていくことが出来ず、辛い経験をしているということを教えていただきました。
U-18選手にもその辛さを体験してもらうために、選手たちが"ブラジルに転校してきた日本人"という設定で突然山家さんによるポルトガル語の授業がはじまりました。
当然ポルトガル語を理解できない選手たち、特にSDGsアカデミーに初めて参加する2年生たちは全員困惑気味な表情を浮かべていました。小さい子どもに教える"猫"の説明すら理解することが出来なかった選手たちは、「会話が理解できず怖い想いをした」「これが毎日続くととても辛く、誰かの助けがほしいと思った」など感想を語り、在留ブラジルキッズが普段の学校で感じている苦しい心境を少しだけでも理解することが出来ました。
次に、アカデミーのパートナー企業でもあるAZAPA株式会社 取締役&CFO 宮田 豊さんがファシリテーターとなり、グループワークが行われました。
「在留ブラジルキッズやブラジル人コミュニティが抱える課題は何か」「その課題に対してSDGsアカデミーを通じて取り組む方向性は何か」について、一人ひとりが考え、6人ほどのグループに分かれた選手たちで意見を共有し合いました。
各グループで活発な議論が行われ、「言葉の壁で伝えたいことが伝えられず、自分らしさや自分の良さを忘れてしまう」「夢や希望を抱きづらくなってしまう」といった課題が挙げられました。それに対して、「困っている人と同じ目線に立ち、想いを汲み取れるようになりたい」「ブラジル人の人々との交流を深めて保見団地を活性化させたい」「保見団地にはブラジル人だけではなく日本人の子どもたちもいるので、みんなを巻き込みたい」など、SDGsアカデミーを通じて取り組みたい意見が上がりました。
2週に渡りインプットセッションに取り組んだ選手たち。インプットセッションを終えた感想として、2年生の神谷輝一選手は、「山家さんのお話でブラジルキッズの現状や課題を理解でき、各グループで意見を出し合えました。大事なのはスポーツの力で何かをする本質的なところなので、そこを意識しながらこれからも継続していきましょう。」と語りました。3年生の萩裕陽選手は、「今日学んだことを忘れずに、今回出たアイデアをより深掘りしていきたいです。」と今後に向けた抱負を語りました。
今回のインプットセッションで選手たちは在留ブラジルキッズの現状を知り、考えを深めることが出来ました。次回はアイデアセッションで今後の具体的なアクションを検討していきます。