「新アンセム制作 共同プロジェクト」第2回ミーティングレポート

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2026年春に改築が完了する新瑞穂スタジアム。その新しいスタジアムで、グランパスファミリー全員で歌うために進められている「新アンセム制作 共同プロジェクト」の第2回ミーティングが、8月24日に"聖地・瑞穂"の会議室で行われました。

今回のテーマは2つ。1つ目は6月22日に行った第1回ミーティングを踏まえ、長年グランパスのサポートソングを制作しているQaijffのウチダアキヒコ氏が作ったデモ曲を聴き、「より良くしていくための方向性を定めること」。2つ目は新瑞穂スタジアムのオープニングマッチにおいて、「スタジアム全体で歌うためのアイデアを出し合うこと」。公募で選ばれた40名のグランパスファミリーは2回目のミーティングということもあり、和気あいあいと協議が進行していきました。

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はじめに、7月26日に現役選手やOBコーチたちがデモ曲を聴いた際の様子を、ウチダ氏やプレゼンに同行した現アンセム制作メンバーが報告。そして、ウチダ氏がこの2カ月間で複数創った新アンセム候補から、タイプの異なる3曲をプロジェクトメンバーに聴いてもらいました。「デモ曲を聴いてもらうときが作曲家として一番緊張するんですよ」とウチダ氏。会議室内のプロジェクトメンバーにも緊張感が走ります。

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今回、プロジェクトメンバーに聴いてもらった各デモ曲のイメージは次のとおり。

  • 王道のリズム感を保ちつつ、名古屋らしさを感じるオリジナリティとしたもの
  • 型にハマらず、名古屋らしい熱さを取り入れたもの
  • 大地を踏みしめるようなどっしり感を持つ、名古屋らしいロック調のもの

先入観を持たないよう、まずは3曲を聴いてもらった後、「圧倒的な一体感の実現」や「ゴール裏から始まった歴史の表現」といった第1回ミーティングで出た意見やアイデアから、どんな想いを取り入れて作曲したのか、またウチダ氏の「"歌うための歌"ではなく"メッセージを発信するための歌"」という想いなど、曲に込められたコンセプトの説明がありました。その上であらためて1曲ずつ試聴し、それぞれの感想を付箋に書いていきます。1つの曲に対して多くの感想を書く熱心なグランパスファミリーが数多くいました。

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ただ、このアンセムは"聴くもの"ではなくスタジアムで"歌うもの"。実際に歌ったときの感触を確かめるべく、Qaijffのボーカル・森彩乃氏の先導で、3曲のサビのパートを全員で歌いました。すると、聴いたときと歌ったときとでは曲の感じ方がかなり違ったようです。当然、個人によって音楽の好みは異なるため、様々な意見も飛び出しましたが、そのほとんどは「歌いやすい」、「勝ちたいという想いが感じられた」というようにポジティブなものでした。デモ曲はあくまで試作のため、今後は第2回ミーティングで出た意見やアイデアをウチダ氏が昇華させ、より名古屋グランパスにふさわしい新アンセムを創り上げていくことになります。

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そして次は「新アンセムをグランパスファミリーのものとするために」という議題へ。どうしたら新瑞穂スタジアムを訪れた全ての人がアンセムを歌ってくれるのか、その景色を実現するためにすべきことは何か、を考えました。生まれ変わった"聖地"での最初の試合で全員が新アンセムを歌う。文字にすれば簡単ですが、実現させるには大きなハードルがあります。どのように新曲を周知するのか、普段は歌うことをためらっているグランパスファミリーをどう巻き込んでいくのかーー。限られた時間であることを考えると、短期間で準備を進めなければなりません。理想の景色を作るためにそれぞれが意見を出し合い、グループでアイデアをまとめていきます。「個人で『X』や『YouTube』で発信する」、「選手に協力してもらう」、「メインスタンドやバックスタンドにも歌える人を配置する」といったさまざまなアイデアが出たなか、「大学生なので、学校で歌って広める」というアイデアには「それはいいね!」と大きな拍手と笑いが起こっていました。

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今後、時代を超えて歌い継がれ、スタジアムのみならず愛知・名古屋のまち全体に広がっていってほしい新アンセム。ウチダ氏は今回出たアイデアを基にグランパスらしい曲に仕上げ、プロジェクトメンバーは来年に予定されている新瑞穂スタジアムでの試合に向けてどのように新アンセムを広げていくのかを検討します。プレーする選手たちのように、それぞれのポジションでできることを考え、「スタジアムにいる全員が新アンセムを歌っている」という夢の空間の実現を目指していきます。

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参加者コメント

よしさん(40代女性)

すごくワクワクしました。みんなグランパスに対する想いがすごく熱かったです。同じ想いを共有できる仲間が一緒にいるからこそ、より良いものができると思っています。瑞穂の光景を見ることがすごく楽しみです。デモ曲はどれもすごく良くて、瑞穂スタジアムで反響し、余韻が残るイメージが湧きました。さらにいい曲になると思うので、ウチダさんに期待したいと思います。

なすさん(30代男性)

観戦以外でクラブに関わるという貴重な体験ができて楽しかったです。グランパスについていろいろな人と話すことができるのも新鮮でした。久しぶりに大きな声を出して歌ったと思います。子どもができて以降、なかなかゴール裏に行けていなかったので、アンセムを歌えることは幸せだなとあらためて感じました。アンセムは全てのグランパスファミリーが歌ってほしいものですから、特に中高生が「かっこいい」と思ってカラオケで歌えるような曲になってくれるとうれしいです。

リクサクラさん(40代男性)

みんなの熱量の高さを感じました。これまで何度かソシオプロジェクトに参加させてもらっていますが、今回も一体感があり、温かく熱い、とてもいいプロジェクトだったと思います。正解のないプロジェクトだと思うのですごく難しいものですけど、ウチダさんが創ってくれた3曲は、どれも完成版のアンセムとして流れてきたら受け入れられるような素晴らしいものでした。実際に歌うことによって浮かぶ景色は人によって違ったと思うので、これからどんな曲になっていくのかすごく楽しみです。ウチダさんが曲を創り、それを僕たちが広めて伝えていくことになりますが、アンセムは次の世代に渡していくものだとも思うので、うちの子どもにも教えていきたいです。

プロジェクトメンバー コメント

Qaijff ウチダアキヒコ氏

ー2回目のミーティングを終えた感想は?

どの作曲家もデモ曲を聴かせるときが一番緊張するものです。皆さんすごく楽しそうに聴き、歌ってくれたのでうれしかったですね。

ーグランパスファミリーの反応はすごく良かったかと思います。

今回聴いていただいた曲をベースにするのか、まだ決めていない段階ですが、自分が「いい」と思っているのは事実です。なので、好意的に受け取ってもらえたことは良かったですし、皆さんの意見を抽出しながら「自分の感覚で進めていって問題ないんだ」という自信になりました。

ー新アンセム完成に向けて意気込みをお願いします。

皆さんの意見を聞いて、いろいろな情報や感覚がこの身体に入ったので、作曲する立場としてここからが勝負だと思っています。僕自身、このプロジェクトがスタートした時点で覚悟を決めました。今は「いよいよここからだな」という心境ですね。

Qaijff 森 彩乃氏

ーグランパスファミリーが想いを込めて歌っていました。

みんなが一つになり、「いいアンセムを創るぞ」、「アンセムを広げていくぞ」という目標に向かって、すごく真剣に、そしてエネルギッシュに考えていました。その姿を見て、すごくうれしかったですね。皆さんの想いが乗れば乗るほど、作曲する側のプレッシャーは高まるものですが、だからこそやりがいを感じるものです。「いいものを創る」という想いがとてつもなく大きいので、しっかり協力していけたらと思います。

ーQaijffらしいアンセムを作ってほしいという声も多く聞かれました。

本当ですか?正直、びっくりしています。良し悪しはあるかもしれないですけど、私たちが創っている時点でそのフレーバーは確実に出てくるものだと思っています。長い間、グランパスに関わらせていただいている私たちだからこそ、アカデミー出身のウチダだからこそ感じ取れる、汲み取れるものがあるのかなと。そういう意味では、自然と"Qaijffらしさ"は入ってくるものなのかもしれないですね。とはいえ、アンセムはグランパスファミリーのものなので、それを強く意識していいものを創っていきます。

スタジアムDJ YO!YO!YOSUKE氏

ー新アンセム制作プロジェクトがスタートすると聞いたときの心境を教えてください。

僕はスタジアムDJを19年やっていますけど、まさに名古屋グランパスだからできる取り組みだと思っています。ゴール裏の皆さんから発信されるものをクラブがサポートできたり、ウチダ君という存在がいたり、いい関係ができているからこそ実現できる取り組みだと思いますね。他のクラブではできないプロジェクトだと思いますよ。

ープロジェクトの熱をどう感じましたか?

めちゃくちゃいい雰囲気ですよね。熱量がポジティブに出ていましたから。他人を否定することなく、全員がリスペクトしていて、みんなが本気でグランパスを良くしようと思っている。すごく前向きな話し合いがあり、ときにはユーモアも交えながら、芯を食った意見がたくさん出てきました。本当にいい空間だったと思います。

ー曲を完成させるウチダさんに期待することは?

僕らが何かを言う必要はないですよ。一番情熱をかけてやってくれているので、彼を信じるだけだと思います。新エンブレム制作のときもそうでしたけど、僕らが次にやるべきことは完成されたものをいかに届けるか、そういった舞台を用意できるか、です。いろいろなセクションを紡いでいって最高の形にできるように、僕は僕で頑張りたいと思います。

シンゴ氏

ー第2回ミーティングを終えた感想を教えてください。

最後の時間が本当に大事だと思っていました。(新アンセムを)広めていくために何が必要なのか、グランパスファミリーのいろいろな意見を聞くことができました。すごくいい時間になったと思うし、今後にしっかりつなげていけると思います。

ーウチダさんは短期間で何曲もデモ曲を創ってくれました。

単純にすごいな、と。創ってくれた全ての曲に、自分たちの想いや伝えたいものが反映されていました。「しっかり受け入れて考えてくれたんだな」と、デモ曲を聴いて感じましたね。また、みんなが歌っている声を聴き、その想いは伝わるものだと感じました。本当にすごいなと思います。

ー作曲はウチダさんに任せ、次はプロジェクトメンバーが動くステップに入ります。

時間は限られているので、当事者意識を持つ人をどれだけ増やせるかが重要になります。しっかり考え、取り組んでいきたいと思います。