8/12(月・祝)「マチナカ鯱の大祭典 in Hisaya-odori Park」イベントレポート
8月11日にスタートした『鯱の大祭典』のテーマは「スタジアムで街で、クラブと地域がひとつになる」。明治安田J1リーグ第26節東京ヴェルディ戦翌日の12日には、名古屋市・栄のHisaya-odori Parkで、名古屋グランパスの試合を観たことのある人もない人も楽しめる『マチナカ鯱の大祭典』を開催しました。気温37℃を超える暑さの中、多くの方々に試合だけではないサッカーの魅力を体感していただきました。
名古屋のシンボルの一つである中部電力MIRAI TOWER。その足元に作られたのは、「テレビトーヒロバ」と「ミズベヒロバ」の2つのエリア。「テレビトーヒロバ」では都市型サッカーフェスティバル「FOOTBALL JAM」と連携し、「蹴るのも見るのも遊ぶのも」をコンセプトにした大人も子どもも楽しめるサッカーアトラクション体験を開催。「ミズベヒロバ」ではミニサッカーコートを設置し、グランパスOBによるエキシビションマッチなどで熱く盛り上がりました。
テレビトーヒロバ
「フットボーリング」
フットボーリングは、その名の通りフットボール(サッカー)とボウリングを融合させたアトラクション。今回は最近話題のスポーツ「モルック」の的をボウリングのピンに見立て、サッカーボールを蹴って倒していきます。コツは丁寧なインサイドキックで先頭のピンを狙うこと。力加減がわからず1投目で思い切り蹴ってしまった6歳の男の子は、2投目でしっかりと1番ピンを捉えることに成功し、お母さんとハイタッチしていました。
「ビリッカー」
ビリッカーはビリヤードをそのままサッカーに転じたフランス生まれの新スポーツ。ルールはビリヤードと同様で、キューの代わりに手玉を蹴り、色のついた的球をポケットに落としていきます。スピードやドリブル、トラップといった技術は不要なため、老若男女が楽しめるそう。ナインボールで対戦していた兄弟は「最初のブレイクショットが難しかったけど、蹴るボールの強さで入るか入らないかが決まる。ハラハラ、ドキドキした」と楽しんでいました。
「ストリートサッカー」
直径およそ5メートル、8角形のフィールドの中、1対1で対戦するストリートサッカー。名前だけ聞くと子どもたちが路上でボールを蹴り合うイメージですが、こちらはヨーロッパが発祥のスポーツで、正式には3分間で得点数を競い、接触プレーは禁止。ただ、この日は細かなルールは大目に見て、フィールド内で自由にプレー。親子で対戦し、シュートを決めて大喜びする子どもや、壁をうまく使って相手を抜くシーンもあり、白熱した戦いが繰り広げられました。
「SUB SOCCER」
座って楽しめるサッカーとして、フィンランドで考案されたSUB SOCCER。テーブルの下でボールを蹴り合いゴールを狙う、シンプルかつ白熱した戦いのできるサッカーゲームです。母子で対戦していた小学5年生の男の子は「ボールは少し見えづらかったけど、強いシュートを決められた」とお母さんに圧勝。将来は「プロサッカー選手になって、チームを勝たせる選手になりたい」と語っていました。
「テーブルサッカー」
世界選手権も行われているほどポピュラーなテーブルサッカー。棒に取り付けた人形を操って得点を競うサッカーゲームです。「グランパスのイベントだから楽しみにしてきた」という小学3年生の男の子は「難しかったけど楽しかった。将来は(キャスパー)ユンカー選手みたいにゴールを取れる選手になりたい。でも、ゲームを作る森島選手みたいな選手にもなりたいなあ」と、迷っていました。
「ザ・ドリブルタイムアタック」
名古屋テレビ放送(メ~テレ)で放送の番組「KICK OFF!TOKAI」とのコラボ企画で、人気の「ザ・ドリブルタイムアタック」をテレビトーヒロバで開催。今回は1メートル間隔のポールと50センチ間隔のマーカーの合計15メートルをドリブルで駆け抜け、折り返しは直線でスタートラインに戻るという特別ルールで速さを競いました。
これにはサッカー少年たちがこぞって参加。16秒を切る好タイムを叩き出した小学5年生の男の子は「めっちゃ楽しかった。ドリブルは得意だから次はもっといい記録を出せる」と目を輝かせていました。また、子どもたちが並んでいない時間には、大人もこの企画に挑戦。現役のサッカー選手でグランパスOBの阿部翔平さん(C GROSSO知多)は、惜しくも4本目のポールでミス。終盤に挽回したものの、20秒台という結果になりました。「往年のキレがなくなっていましたね。15秒台って想像できないですよ」と、阿部さんは子どもたちの記録に驚いていました。
ミズベヒロバ
「フリースタイルフットボール」
リフティングやドリブルなどを駆使し、音楽に合わせて踊るように自己表現をするフリースタイルフットボール。前日は豊田スタジアムで素晴らしいパフォーマンスを披露した世界ランキング2位のYoshida Ibukiさんが、この日は西三河地区で主に活動する仲間5人を引き連れて、Hisaya-odori Parkの観客を魅了しました。 石川県から名古屋観光に来たという親子は、偶然このフリースタイルフットボールを見かけて釘付けに。「すごくかっこよかった。自分もサッカーをやっているので、今日見た技を覚えたい」と、すごく印象に残った様子。また、自身もフリースタイルフットボールをやっているという高校1年生の男の子は、「自分も出たかった。もっとフリースタイルフットボールが盛り上がってくれるとうれしい」と語っていました。
「4v4特別エキシビションマッチ」
『マチナカ鯱の大祭典』、一番のメインはこの4v4特別エキシビションマッチ。4v4はグランパスOBの本田圭佑さんが2023年に考案した4人制のサッカー大会で、主に育成年代の小学生(U-10、U-12)に向けて作られた競技です。このゲームにOBの楢﨑正剛アシスタントGKコーチ、吉村圭司コーチ、田中隼磨さん、杉本恵太さん、阿部翔平さん、巻佑樹さん、田鍋陵太さん、橋本晃司さん、クラブスタッフの西村弘司が参戦。小学生チームと3試合を行いました。
試合に先立って行われたトークショーでは、大きな拍手で温かく迎えてくれたグランパスファミリーに向けて、現状報告を兼ねた挨拶を。現役時代に比べてすっかり恰幅のよくなった巻さんはご自身の体形で笑いを取れば、トップチームの吉村コーチは「昨日の試合、勝てて良かった」としみじみと語っていました。
そして、「OBだからって勝てると思うなよ」と、最年長の楢﨑アシスタントGKコーチが自チームに謎の号令をかけて始まった4v4。第1試合は女の子だけで構成された「和奏会キッズ」と対戦。OBチームは楢﨑さん、吉村さん、杉本さん、巻さんが先発しました。序盤から体格の差を生かして攻め込んだOBチームが得点を重ねましたが、飛び出したGKの隙を突いて和奏会キッズも反撃開始。4v4はゴールに近い位置からのシュートが3点、ミドルシュートは2点というルールで、和奏会キッズは3点差まで迫る場面もありましたが、最終的にはOBチームが23-12で勝利。「(OBは)すごく強かった。楽しかったけど大人げないと思った」と、参加者の1人は笑顔ながらも、少し頬を膨らませていました。
第2試合は、昨年全国大会に出場したチーム「TGM」と対戦。切り替えの速さで白熱した試合展開となりました。TGMはGKが好守を連発。試合時間10分のうち7分過ぎまでは5-5の同点でしたが、最後はパススピードを上げたOBチームが連続得点を奪って勝利。「相手はパスワークがすごかった。勝てると思ったけど、やっぱり大人げなかった」と子どもたちは第1試合と同じ感想を口に。これに対して吉村コーチは「子どもたちには、楽しさを感じてもらうこともそうだけど、そんなに甘くないよっていうことも知ってもらいたい。たぶん本田(圭佑)もそういう思いで考えたと思うんで」と、息を切らしながら語っていました。
第3試合は午前中に行われた4v4の愛知県大会で優勝した「GAMER」と対戦。ちなみに"GAMER"とは選手5人の名前の頭文字を組み合わせたチーム名。試合は開始30秒で巻さんが先制点を決めたものの、すぐにPKを決められて同点に。その後は接戦となり、2010年リーグ優勝メンバーの両サイドバック田中さん、阿部さんがヘディングでパス交換しながら攻め上がるなど見せ場を作りつつ、最終盤にOBチームがゴールラッシュを披露。最後は現役時代スーパーサブとして鳴らした杉本さんがオーバーヘッドシュートを決めて、OBチームが3連勝で貫録を見せました。
「本当はジャンプしてやりたかったけど、ちょっと控えめなオーバーヘッドで」と、体型も気にしつつゴールを決めた杉本さん。大人げないという声には、「これから子どもたちが上を目指していく中で、こうやってプロ経験者とプレーする機会はなかなかないと思うので本気でやりました。最高に楽しかった」と答えていました。
また、こうしたグランパスのOBイベントに初参加となった田鍋さんは、「先輩たちにはいつも通りイジられましたけど(笑)、僕も今は子どもたちを指導しているので参考になりました。暑さよりも楽しさが勝りましたね」と、次回以降のイベントにもぜひ参加したいと語り、同じく初参加の橋本さんは「サッカーを辞めてから上手な人たちと一緒にやることがなかったのですごく楽しい時間でした。いろんな方と再会できてサポーターの皆さんも喜んでくれて、自分ももっと頑張らないといけないと思いました」と、OBたちにとっても貴重な時間になったようです。
「プロのコーチが教える名古屋グランパスサッカー教室」
ミズベヒロバで最後に行われたのは名古屋グランパスコーチによるサッカー教室。多数の応募者の中から抽選で選ばれた12名の小学生が参加しました。ここでは子どもたちにサプライズが。なんと田中隼磨さんが飛び入りで子どもたちを指導し、「相手にボールを取られないようにするためにはどうしたらいいか」など、実戦でも使えるアドバイスを送りました。田中さんはサッカー教室の最後に4チームに分かれて行ったミニゲームにもフル出場し、最後の最後まで子どもたちと触れ合っていました。
「現役時代にすごく支えてもらって、リーグ優勝をはじめ素晴らしい思い出を作らせてもらったので、引退した今だからこそ、よりファンやサポーターの近くで少しでも盛り上げられたらなと思って(最後まで参加した)。現役時代も自分なりにサポーターに対する恩返しは考えていたけど、やっぱりね、選手の頃はなかなかできなかったから。こういう活動は続けることに価値があると思うので、今後もやりたいですね」(田中さん)。「グランパス愛が深いですね」と問うと、「もちろん。それは言うまでもないですよ。グランパスのために選手を後押ししたいし、やっぱり優勝してほしい。そういう思いがありますから、みんなで後押しをしましょう」と力強く語っていただきました。
グランパスが街と一体となって名古屋・愛知を盛り上げた『マチナカ鯱の大祭典』。全イベント終了後には中部電力MIRAI TOWERがグランパスカラーである「グランパスレッド・グランパスイエロー・グランパスゴールド」にライトアップされ、フィナーレを迎えました。