月刊グラン8月号のご紹介[中山克広選手インタビュー]

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両サイドに張る選手はよく将棋の"香車"に例えられる。名古屋が誇る快速ドリブラーの中山克広もまさしくそういうタイプの選手という認識だった。体の半分でも前に出ればすぐに縦に一直線、圧倒的なスピードでもう誰も追いつけない。しかし、いま彼が見せ始めたのは、その尖った特長と並立する新たな武器である。

役割を理解し 頭の整理ができた

突如巻き起こった5月の快進撃。チームは3勝3分、前半戦の折り返し月は無敗で順位を上昇させた。好転した要因の一つとして挙げられるのが中山克広の覚醒。左ウイングバック(WB)で先発した第13節・柏レイソル戦で先制点に絡むと、縦突破ありカットインありと、それまでとは違う生き生きとしたプレーでチームにアクセントを加えている。

─前半戦の終わりは素晴らしいプレーが続出していました。

ありがとうございます。WBはいろいろと考えることが多いポジションですが、やっと整理ができてきたというか、前向きに取り組めているというか、いろんなものを吸収しながら悩みなくプレーできているのがいまのパフォーマンスにつながっているのかなと思います。

─昨季からWBに挑戦していますが。

去年の序盤はなかなか結果を出せていなかったですけど、プレー自体はネガティブに捉えることはなくやれていました。しかし、前半戦の中断する前ぐらいに調子を崩したというか、うまくいかないことが多くなって、それが終盤戦まで続いてしまいました。いま振り返れば、自分が何をすればいいのか分からなくなってしまったり、いろんなものに引っ張られたりしてしまうところがあって、正直去年はいろいろと悩んでいましたね。

─今季も序盤戦は苦しんでいたように感じます。

開幕から4試合出られなかったし、なかなかいい入りはできませんでした。でも5試合目にやっとスタメンで出て、その後試合をこなしていくうちにだんだんと何かをつかめてきたというか、やっと最近ハッキリしてきて。自分はいい意味で考えることが多いので、試合前からしっかり整理できていることが、良い方向になってきたのだと思います。

─普段の右WBではなく左WBとして出場したことがターニングポイントになったように思います。12節・鹿島アントラーズ戦で徳元選手に代わって左WBに入りましたね。

左サイドは自分の特長が出せるポジションです。ドリブルはしやすいし、どんどん仕掛けることもできる。あの試合は展開的にもオープンだったので、仕掛けやすい位置でボールをもらえて、うまく仕掛けることができたのが自信になりました。そういう意味ではかなりの転換点になったというか、勢いがついた試合だったなと思います。

─左WBは練習でもやっていなかったと聞いていますが。

どうだったかな(笑)。でもその週にいきなり「左で使うから」って監督に言われました。最初はびっくりしましたし、今まで右でやっていた分、右で結果を出したいという思いもあったんですけど、そうやって使ってくれるということは期待をしてくれているということだと思うのでうれしかったですね。

─その鹿島戦はラストチャンスかもという悲壮感さえあったように見えたのですが。

そうですね。やっぱり去年から結構使われてきたのに結果で応えられていなかったし、監督からも「これだけ試合に使ってやっているのに」って、半分冗談で言われていました。それは僕自身が一番分かっていて、本当に「数字で応えなきゃ」っていう思いをずっと持っていました。大学時代に左でやっていたこともあるので、自分の勢いを取り戻せるチャンスだと思ったし、そんな悲壮感という程大きなプレッシャーではなかったですけど、とにかく楽しもうと思ってピッチに入りました。


続きは『Grun』2025年8月号をぜひご覧ください。

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中山 克広

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