月刊グラン9月号のご紹介[稲垣祥選手インタビュー]
積み上げてきたもの
大事にしたい
13節からの3連勝でそのまま勢いづくかと思われたグランパス。その後4試合は未勝利が続き、さらにコロナ禍に見舞われるなどチームはダッチロール状態で下位から抜け出すことができていない。もちろん、このままじゃ終われない。苦しい中でも実りあるシーズンにするために何をするべきか。巻き返しのカギをキャプテンの稲垣祥が語る。
今季キャプテンの稲垣祥に話が聞けたのは7月22日。開幕前のキャンプに続き、今季2度目のコロナ禍から練習を再開したばかりのタイミングだった。厳しい気候と連戦の中、思いがけずリフレッシュできたようで、稲垣は災いを福に転じるように前を向いていた。
―キャンプの時は練習ができませんでしたが、今回はどうでしたか?
ちょうどオフのタイミングがあったので、その分しっかりと休むことができました。練習を再開してからは、新加入選手も入っていますし、いい形で練習ができています。
―シーズンはおよそ3分の2を消化して、6勝7分8敗と想定外の結果かと思うのですが。
想定外という表現はちょっと違いますかね。ただ自分たちが求めていた結果じゃないのは確かだし、グランパスファミリーの皆さんを満足させられる結果じゃないのも事実だなとは思っています。シーズン前は最下位も想定していますし、もう全部を想定しているので。
―それがどんな状況にも冷静に対応できる意識につながるわけですね。
そうですね。しっかりと結果にも目を向けながら、だけど自分たちが何を積み上げられているのか、どういうベクトルでやれているのか、そっちにも目を向けながらなので、そこの針の振れ方は気にしながらやっています。
―やはり監督も替わり、戦術変化に対応していくというのは難しいものだということがよく分かるシーズンだなと、個人的には感じています。
もちろんですね。それは分かっていたことなんで言い訳にできないですし、やっている僕らからしたら、結果をしっかりシビアに受け止めてやらないとダメだなと思います。
―ただ「あのチャンスに決められていたら」とか、紙一重で勝利を逃した試合も多かったように思いますが。
それもサッカーだということが一つはありますね。先日、川崎フロンターレとパリサンジェルマンが試合をしていましたけど、前半、マルシーニョが抜け出した時に決めていたら、川崎が勝利していた可能性ももちろんあったと思います。でもそういう紙一重のように見えた中には、何か自分たちに足りない大きなものがあるっていうことも受け止めないといけない。まあ実力かなと思います。
―その足りないところを見つけつつ、課題を一つずつ潰していく、そういう感じでしょうか?
そうですね。変えてはいけないものと変えなくっちゃいけないものがあると思うので、そこは監督もいろいろ試行錯誤していると思うし、僕たち選手としても考えながらやっています。
―その「変えてはいけないもの」とは?
積み上げてやってきたものすべてを捨てて、結果が出ないから別なことをしようというのは違うと思います。攻撃でも守備でも積み上げてきたものを大事にしたい。ただ何か変化させないといけないことも事実ですね。
―最近の試合では、稲垣選手と森下龍矢選手、中谷進之介選手の3人の連係でうまく相手を剝がしながらビルドアップするシーンがよく見られます。その点も積み上げですね。
そうですね。シーズンの開幕当初からチャレンジしてきましたし、練習でもずっとやってきていました。そういうのが少しずつ試合で出せるようになってきたというのと、相手の守り方によって自分たちがどういう立ち位置をとったらいいのか整理できてきたという成長もあります。シーズンを通して右肩上がりになっていくという上では、そういう積み上げをそれ以外のところでも数多く出していくことが大事かなと思いますね。
続きは『Grun』2022年9月号をぜひご覧ください。
GRUN INTERVIEW
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