月刊グラン1月号のご紹介[ルヴァンカップ優勝特集]
絶望の淵からの戴冠
ようやくつかみ獲った。過去8度、準決勝の厚い壁に阻まれてきたルヴァンカップ(ナビスコカップ)。初めて進出した決勝戦で、強豪セレッソ大阪に2-0で勝利し見事栄冠を勝ち取った。2010年にJ1リーグのタイトルを獲得して以降、2016年にはJ2降格の屈辱を味わい、18年、19年には過酷な残留争い。そして昨年は新型コロナウイルスのパンデミック。今季も過密な日程や隔離生活を乗り越えて勝ち得た栄誉。来季のグランパスのユニホームには4つ目の星が付く。
「絶望の2週間」
クラブの悲願であるルヴァンカップ獲得までを稲垣祥はそう表現した。
無理のない話である。10月17日、チームはAFCチャンピオンズリーグ(ACL)準々決勝を韓国で戦い、浦項スティーラーズを相手に前半から内容的に圧倒しながらも0-3で敗退してしまった。そして、帰国直後のリーグ戦では、来季のACL出場権争いをする3位のヴィッセル神戸を相手に、前半2点をリードしながらも後半2点を奪われ屈辱的なドロー。さらに27日の天皇杯準々決勝は、ルヴァンカップ決勝でも対戦するセレッソ大阪を相手に0-3と一方的にやられてしまった。
バブル方式による隔離生活の中で、考え込む時間も余計にあっただろう。勝てるはずの試合を落とし、狙っていた目標が次々に消滅していく。「絶望の2週間」の最後に残る希望は、クラブに初のルヴァンカップをもたらすことだけだった。
天皇杯の戦いでゲームキャプテンを務めた中谷は「ちょっと難しい試合をしてしまったので、もう一度自分たちらしく戦おう」と話したという。
自分たちらしさのベースになるのは堅い守備。とにかく前半は失点を0に抑えて後半勝負、もしくは先に得点を奪っての逃げ切り。いずれにせよ相手に得点を与えるミスはありえない。ミスがあったとしても必ず仲間がカバーする。それを徹底したい。
決勝当日の11時20分。選手を乗せたバスが埼玉スタジアム2002に到着した。2階のデッキには大勢のファミリーが。11年ぶりのタイトル獲得を願う気持ちを伝えようと、拍手がより大きくなった。
快晴のスタジアムでキックオフの笛が鳴ると、いきなり前田直輝が仕掛ける。天皇杯で出番のなかった前田は「ベンチから見ていて裏への動き出しが少ないと思っていた」と、自分の長所を出すことに意識を向ける。1分に左サイドを仕掛けると、3分には逆の右サイドを突破しクロス。相馬勇紀の頭には合わなかったが、いきなり決定的なシーンをつくり、スタジアムを沸かせた。
続きは、『月刊グラン』12月号を御覧ください。
ルヴァンカップ優勝特集
絶望の淵からの戴冠
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