月刊グラン7月号のご紹介[米本 拓司選手インタビュー]

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アップダウンの激しい1カ月
一つの綻びでチームは崩れる

2試合で7失点。リーグ1位と2位の間には大きな差があった。11年ぶりのリーグ制覇を目指すグランパスファミリーにとって、結果は辛く厳しいものだったが、米本拓司はすぐに切り替え、今後自分たちが恒久的に勝っていくために何をすべきか動き始めた。

―川崎フロンターレ戦を含め、アップダウンの激しい1カ月でしたが。

 難しい中での試合になりました。でもプロなので言い訳にはならないですし、選手たち自身がもっとやらないとダメだったと思います。特にホームであんな情けない負け方をしてしまった鹿島アントラーズ戦。ああいうことは絶対にあってはいけないことですし、悔いが残る戦いでした。

―フロンターレ戦は監督の不在も響いた?

 影響がないとは言えないですけど、正直何が原因なのかと言われると、答えがなかなか見つかりません。前半の3失点は悔いが残りますし、あそこでもっと一人でも二人でも顔を上げていれば、違った結果になっていたかもしれません。もっと声を掛けて、最初の失点から『もう一度やろう』と集まっておけば良かったなって思います。

―早い時間の失点が厳しさを増した?

 あの試合も前から行こうという意識はありましたし、引くことは考えていなかったんですけど、結局引く形になってしまった。正直年に一回とか二回、立ち上がりが悪いというか、浮足立って入ってしまう試合があって、それがあの試合に来てしまった。張り詰めていた糸を切らしたら、フロンターレじゃなくてもボコボコにやられていたのかなって思います。

―首位決戦とあおられて身構えてしまった?

 それもあるかもしれません。選手全員が『なんでこんなに一歩が重いんだろう』とか『なぜ寄せ切れないんだろう』とか、相手が強いというのはもちろんありますけど、おびえていたというか、サッカーは一歩で変わるのに、その一歩が出ていなかったのかなって思います。

―アウェーの第2戦はどんな意識で臨みましたか?

 やはりホームでああいう試合をしたので、やり返そうという気持ちでした。結局、セットプレーで点を取られましたけど、それまではいい戦いができていたと思いますし、ああいう状況の中で勝てていたら気持ち的に楽になっていましたけど、そんなにサッカーは甘くないですね。でももう一回、フロンターレとやりたいとみんな思っているし、当然リベンジしたいので、そのためにも一日一日を無駄にしないで、そういう雰囲気で練習することが大切なのかなって思います。

異例のシーズン序盤の天王山で結果を残せなかったグランパス。フロンターレとの連戦の後も安定した戦いができなかった。

―セレッソ大阪戦はどう意識を切り替えましたか?

 まずは自分たちのサッカーをやろうと。もっとチャレンジだったり、ミスをしてもみんなでカバーしたりしよう、チーム一丸になってやろうという話をして臨みました。自分たちがやってきたことを、しっかり試合に出そうということだけでした。

―1-0というグランパスらしい結果でしたが。

 自分たちのチームは先制点がすごく大事ですし、0-0で進めていけば、自分たちのリズムをいい方向に持っていけるというか『最後に1点を取って勝てればいい』というメンタルと共通意識があるので、落ち着いた戦いができたのかなと思います。

―逆にアントラーズ戦はシュートゼロの"完全試合"になってしまいましたが。

 厳しい試合でした。相手の出足が速くて、本来なら自分たちがああいうサッカーをしないといけないのに、逆にやられてしまった感じでした。完膚なきまでにやられて『本当にこのままじゃまずいんだぞ!』という気持ちが、次の清水エスパルス戦に出たと思います。完全試合だとか悪いところばかり見られますが、その後どうなるかというところも見てほしいなと思います。

―確かに、エスパルス戦では激しさもあり、よく声も掛けていた印象です。

 ああいう試合を毎試合できるように、本当に練習から厳しくやって、どんな時も手が抜けない雰囲気をつくらないといけないですね。たった一つの綻びからチームは崩れると思うし、今はまだ立て直せる状況だと思うので、これを途切れさせないためにも、毎日の練習からみんなで必死にやっていきたいと思います。

ACLはタフなゲームになる
勝って初めて評価される世界

今季一番ほしかったリーグタイトルは自力だけでは困難となってしまったが、6月22日からはAFCチャンピオンズリーグ(ACL)というもう一つ手中に収めたいタイトル争いも始まる。米本はFC 東京に在籍した2012年と16年で合わせて12試合に出場。まずはグループ突破、そして自己ベストのラウンド16の突破、そして頂点を目指していく。

―6月下旬からはいよいよACLが始まる予定ですが。

 ACLは正直荒いというか削ってきたりすることもありますし、それでもファウルを取られなかったりと、すごくタフなゲームになることは間違いないですね。そういう意味でもバチバチやれるので、自分としては楽しい大会です。そういう相手に勝って上にいくことによって、自分たちに自信がついて、毎年優勝争いができるチームになっていくと思うので、どんどん勝って自信をつけたいと思います。


続きは『Grun』2021年7月号をぜひご覧ください。

grun-21-07.pngチームの未来を創る

米本拓司

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