月刊グラン2月号のご紹介[丸山 祐市選手インタビュー]

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序盤の進撃、後退の予感...

 残留できたことに関してはホッとしたというか、良かったというのが率直な感想ですが、シーズンの初めはACLが目標だったのに、2018年と同様に残留争いをしてしまったということで悔しい1年だったなと思います。

J1参入プレーオフに回る16位と勝点差でわずかに「1」上回った。2年連続最終戦で決まったギリギリのJ1残留。今からちょうど1年前、新体制発表の時に掲げたのはACL出場権の獲得だったが、その目標と遠くかけ離れた結果に、主将はややうつむき加減で話を始めた。

 沖縄キャンプの練習試合での結果がすごく酷かった(●3-9FC東京)ので、正直不安な気持ちで開幕を迎えました。でも開幕戦は圧倒できたし(〇4-0サガン鳥栖)、次のホーム開幕戦(〇2-0セレッソ大阪)も勝てたことですごく自信を持てました。序盤戦は全員が走れたし、全員で攻撃できたし、全員で守備をすることができました。すべてがうまく回っていたと思います。

開幕から3連勝と順調なスタートを切ったグランパス。4節のFC東京戦(●0-1)では初黒星を喫したものの、圧倒的にボールを支配しキャンプとの違いを見せた。その後もホームでは11節浦和レッズ戦(〇2-0)まで連続無失点勝ち。「今年は違う」と優勝候補に推す解説者も現れるほどの強さを見せた。しかし、丸山自身は一抹の不安を抱えていたという。

 サッカーでは、どんなスタイルでもどんなシステムでもピンチはあるし、同時にチャンスもあります。序盤戦はそのピンチとチャンスが、同じくらいの割合だったと思います。だから『これを夏場までやっていたら苦しいな』と思っていました。ハイラインで守るスタイルだったので、前がしっかりプレスに行ってくれれば、後ろは1対1の状況でもボールの出どころがある程度分かるので守りやすいのですが、全部イケイケみたいな感じだったので、後ろは普通に1対1の局面が多々あって、個人で何とか守らなくてはいけないことが多くありました。僕自身としては勝っている時こそ、そうしたところをもうちょっと考えたいと思っていましたが、風間(八宏前監督)さんは、『それでいい』という判断だったので、自分たちはそれを続けないといけなかったし、最悪プレーするのは選手たちなので、守るとなったら自分たちの判断で少し引いてしまったところはあります。

 あのスタイルは11人が同じイメージでやらなかったら意味がないと思います。1人がプレスに行っても、他の選手がついていけなかったり、10人が行っているのに1人がついてこなかったりとか、ちょっとズレてしまった部分もありました。負け始めてからも、まだ(順位は)上にいるから大丈夫だとか、引き分けで勝点『1』を取ったからまだ優勝争いできるとか、ちょっとした心の隙があったのかもしれません。

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相次ぐ負傷、台頭できず

突然勝てなくなった要因は複数あるが、その一つとして挙げられるのは主力のケガ。ルヴァンカップ・ヴィッセル神戸戦でのジョー。そして丸山、米本拓司とセンターラインに故障者が相次いだ。その穴を埋めきれなかったことも、失速に拍車をかけた。

 ジョーやヨネ(米本)の代わりはなかなかいないですけど、僕は総力戦だと思っているので故障者は関係ないと思います。僕の場合は藤井陽也が出てすごくいいパフォーマンスを見せてくれましたよね。あいつもそれですごく自信をつけたし、これからもやってくれると思います。

 『ジョーがいないから勝てない』『ヨネがいないから』と言われてしまうと、他の選手からしたら『なんだよ』という思いになります。でも『代わりに俺が出て結果を残してやるよ』という気持ちを特に若い選手たちがもっと持って、それを埋めるくらいの活躍をしないといけなかった。サッカーは技術云々よりもメンタルなスポーツだと僕は思います。時間は飛びますけど、ジュビロ磐田戦で(深堀)隼平が最後あそこでしっかり点を決めていれば、彼の人生は変わっていたかもしれない。代わりに出た選手は本当に強い気持ちを持って結果を出そうと意識していたのか、練習からしっかり準備ができていたのか。若い選手はなかなか気が付かないものですけど、そこには少し疑問が残ります。

4年ぶりにグループステージを突破したルヴァンカップは、出場機会の少ない若手にとって自分をアピールする唯一のチャンスだ。レギュラーメンバーが固定化され難しい状態ではあったが、丸山の言うとおり、ルヴァンカップからリーグ戦に繋げられる若手は少なかった。

 僕はFC東京の下部組織で育ちましたが、若い時からFC東京のエンブレムに誇りを持って、何とか憧れの味の素スタジアムのピッチに立ちたい、活躍している姿を見せたいと本当に必死にプレーしていました。名古屋に来て、やはり成瀬(竣平)や藤井、深堀、杉森(考起)の方がグランパスへの愛着は強いと思います。でも彼らがグランパスのためにという気持ちを持って本当にやれているのか、彼らはもっとクラブのために何かできたのではないかと思います。実際に試合に出てチャンスはもらえていたし、そこでしっかり結果を残せば、そのままスタメンでもいけたと思います。まったく成長していなかったわけではないですが、1年間もったいない時間を過ごしてしまったのかなと。でも2020年に向けてしっかりやれば取り戻せると思うので、若手には頑張ってほしいと思います。

12節、川崎フロンターレとハイレベルな攻防を繰り広げた後(△1-1)、13節松本山雅FC戦(●0-1)でホーム初黒星を喫してから勝ち星が遠のいた。丸山も18節の湘南ベルマーレ戦(●0-2)で左ひざの靱帯を痛めて開始直後に交代。24節横浜F・マリノス戦(●1-5)で復帰したが、およそ2カ月ピッチから遠のいた。

 なかなか勝てなかった時期は、一つ勝てたら流れが変わるだろうと思いながらやっていました。やっているサッカー自体は信じていましたし、ここぞという場面で決められなかったり、逆に決められてしまったり、球際や目の前の相手に負けてしまったとか、ちょっとした部分が勝利をつかめなかった理由だと思います。もうちょっと足が出ていたら止められたのにとか、各々が『あとちょっとなのに』と思いながらだったと思います。

 風間さんは『守るために攻める』みたいな感覚のことをおっしゃっていて、自分としても『攻めの守り』を意識していました。それは今まで考えたこともなかった概念でした。僕の得意なロングパスも通せばOKだし、通らなかったら『近くに繋げよう』とよく言われていました。技術的な部分も含めてすべてにおいて、意識ひとつで物事は変わるということを学びましたし、意識を高く持つようにしていたつもりです。


2019年シーズンもまたジェットコースターのような浮き沈みの激しい1年だった。AFCチャンピオンズリーグ(ACL)出場、リーグ優勝も狙えそうな勢いを見せた序盤戦。しかし中盤以降は一気に奈落の底に突き落とされた。自身もケガと戦いながら苦しい時を過ごしたキャプテンは、この1年間どんな思いでいたのだろうか。プレー同様に正々堂々と振り返った19シーズンのキャプテン姿は、、、。『Grun』2020年2月号をぜひご覧ください。

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キャプテン・丸山祐市が振り返る
2019年の教訓

史上最高の若鯱 最強へあと一歩
プレミアファイナルで惜敗

NHK「まるっと!」スポーツ担当
吉岡麗のまるっと!直撃
グランパスU-18
キャプテン 牛澤健選手
グラウンドマネジャー 田邉光平選手

チバディーに聞け! 第10回

綴じ込みミニカレンダー:FINAL HOME GAME OF 2019・NAGOYA GRAMPUS U-18

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