月刊グラン12月号のご紹介[フィッカデンティ監督インタビュー]

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――チームは5月12日の浦和レッズ戦以降、公式戦でわずかに2勝となかなか勝てない日々を送っています。そんな苦しむチームの監督を引き受けようと思った理由は?

 名古屋グランパスというのは、会社の規模を考えてもJリーグの中で本当に重要なチームの一つだと思っています。絶対にJ1残留をしなければならないという目標設定は明らかでしたし、このチームだったら確実にその目標をクリアできるだろうと自信を持っています。難しい状況ではあったのですが、結果、やり切れると自分の中で自信があったのでオファーを受けました。

 私もずっとJリーグを追いかけていたので、グランパスが厳しい状況であるのは分かっていました。その中で、クラブの役員の方は「この状況をひっくり返すんだ、乗り切るんだ」という強い気持ちを伝えてくれました。そして残留という短期的なプロジェクトと同時に、長期的なプロジェクトを持っているクラブだと感じました。ただ、そこを自分に丸投げするのではなくクラブとしてやる、その中で自分を必要としてくれるというオファーでした。ならば自分も同じように強い気持ちを持ってやらないといけないと思いました。

――選手時代にもグランパスからオファーがあったと聞きました。それがこうして監督として来ることになりました。

 すごく昔の話です。1997年ぐらいにそういった話をいただきました。こうして監督として来ることができたのは「運命」という言葉以外ないですね。

 イタリアでも「名古屋グランパス」というチームを知っている人は多いと思います。過去にも世界レベルの監督や選手が在籍していましたから。ただ自分が持っている印象はやはりFC東京の監督として来日してからのものです。グランパスには、すごく大きな素晴らしいスタジアムがあって、常にクオリティーの高い選手がいて、そしてスタジアムだけじゃなくて、そこを埋め尽くすサポーターも素晴らしいし、サッカーに打ち込むためにとても良い環境が整ったクラブだと思っていました。実際にグランパスの一員になって「外から見た通りの素晴らしい体制がチームにあるな」と改めて感じているところです。

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――監督は今シーズンのグランパスの試合をすべてVTRで見たそうですが、どういう感想を持っていますか?

 シーズンの最初はすごく良いスタートを切りましたね。昨年のリーグ戦と同じようなストーリーを繰り返したという印象です。ただ、自分の来る前のことに関して、あまり評価したり批判したりというのはフェアではありません。その中で自分の印象ではなく数字を基にコメントしていくと、前半は結果が出て、そのうちに出なくなった。結果を出すという意味では修正を加えていかなければなりませんが、選手のメンタル面でも必要な自信を植え付けていかないといけません。サッカーは、うまくいっていないところを長く放置してしまうと、そこから戻すことがすごく困難なスポーツです。順位表を見た時に、いつもはあまり低い位置にいないチームがそこにいると、メンタル的な苦しみが他の常連チームと比べて何倍にも感じてしまうということがあります。選手にはその中で今何が必要なのか、自分は何をすべきなのか整理した状態を提供して、練習からごちゃごちゃしないようにしようと気を付けています。

 私はプロの監督として、選手はまずアスリートとしてのフィジカルを持つべきだと思っています。そして技術も高いものを持っていないといけない。技術に関しては、それがなければこのグラウンドには立てていないと思いますけども、少しフィジカルコンディションのレベルがアスリートとして足りないものがあるのかなとグランパスに来て感じました。サッカーは戦術的な部分もフィジカルも全ての要素が必要です。毎日毎日、継続して全ての部分をしっかりと上げていかないといけませんし、選手がピッチの中で表現できるもの全てを、本当に小さなところから取り入れようとやっています。チームが良くなることを可能な限りやりつくそうと思っています。


2年連続の厳しい残留争いの中、グランパスの指揮官を引き受けたイタリア人戦術家はどんな思いで、そしてどのようなサッカーでチームを残留に導こうと思っているのか...。その核心に迫ったインタビュー、続きは『Grun』2019年12月号をぜひご覧ください。

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