月刊グラン10月号のご紹介[太田宏介選手インタビュー]

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重大な決意を胸に下した決断
「成長のため」あえて険しい道

「1カ月半経ちますけど、チームにはまだ馴染めてないです。全然解け込めなくってロッカールームでもずっと黙っています」

うつむきながら消え入りそうな声でそう語った太田宏介。どう言葉を掛けようか躊躇した瞬間に......「うそですよ。2時間もかからず速攻で解け込みました(笑)」と、いきなりかましてくれた。こうしていつも太田の周りは笑いが絶えない。

太田はこの夏、重大な決意を持って名古屋にやってきた。太田の前所属は首位を走るFC東京。オランダでの挑戦を挟み、6年間所属した愛着のあるクラブだった。初めてJ1のタイトルを掴めるかもしれない絶好のチャンス。それでも......。太田は移籍が決まるまで一人で悩みに悩んだという。

 移籍の相談はほとんど誰にもしませんでした。FC東京はすごく調子が良くて、その中で自分は年齢も高くて立場もあったし、その僕が夏に移籍する選択肢があると言うとチームはどうなるのかなと。だからいつも通り個人的な感情は横に置いて、FC東京が勝てるように毎日全力で練習をしていました。ちょうど若手から移籍の話があると相談されたこともありました。その時も自分が出るということはあえて言わないようにしていました。

 その後、ある程度話が進展して親友の(長谷川)アーリアだったり、マル(丸山祐市)だったり、ヨネ(米本拓司)から情報を聞きました。第4節で対戦した時に、魅力的なサッカーだなと思っていたし、自分を高く評価してもらって選手冥利に尽きるというか、心から嬉しかった。この年齢(32歳)でまた新しい挑戦ができるというのは本当に楽しみだなと思ったし、いま実際にやってみて学ぶところが多いので、すごく楽しいです。

自らの成長のためにあえて険しい道を選択した太田。彼は全てをポジティブに捉え、己の決断に後悔をしない性格だという。プロになった横浜FCで活躍しJ1クラブからの誘いを断って残留した時も、オランダに挑戦した時も、そしてそこからFC東京に戻った時もそうだった。

 オランダに行ったのは29歳でした。4年半の契約で「29歳の日本人に4年半の契約提示をするなんて、どんな奴なんだ?」と向こうで話題になったんですよ。24歳の時にもオファーがあったのですが、その時は一歩踏み出す勇気がなくて断りました。だからもう海外挑戦は無理だろうと思っていたのですが、ずっと注目してくれていたし、28歳でベストイレブンにもなって代表にも入ったタイミングだったので、もう断る理由がありませんでした。

 日本に戻る時も、欧州で本格的に自分の力を見せつけるのはこれからだと思っていた矢先で、フィテッセからも強く慰留されました。それでもFC東京は本気で優勝を狙おうと選手をかき集めていて、その中で戻ってきてくれという話だったので、ものすごく悩みました。本当に悩み抜いて復帰を決めました。でも自分が選択したことは全て間違いではないと思っているし、全てがいい方向に進んでいると思っています。このグランパスの移籍に関しても良い挑戦だと確信しています。

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グランパスには左利きの選手が多い。魔法の左足ガブリエル・シャビエルやエースのジョーを筆頭に、スタメンの半数以上が左利きという試合が増えている。そんな中、この夏新たに加わったレフティーが太田宏介選手。剛と柔のキックを併せ持ち、その左足で代表にまで上り詰めた名手。プロキャリアの中で最も長く在籍したFC東京を離れ移籍したグランパスで、プロ14年目のベテランは再び輝こうとチャレンジを続けている。

続きは『Grun』2019年10月号をぜひご覧ください。

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太田 宏介

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