月刊グラン9月号のご紹介[和泉竜司選手インタビュー]

前のページに戻る

main-bn-grun-19-09.png

キャンプでは右サイドバック
与えられた場所で全力尽くす

 今シーズンの前半戦で、グランパスらしいゴールを挙げるとすれば、どのシーンを思い浮かべるだろうか。電光石火の赤﨑秀平弾(3節・ガンバ大阪戦・1分)、センターバックの丸山祐市が相手のペナルティーエリアにまで上がりアシストした長谷川アーリアジャス―ルのゴール(5節・北海道コンサドーレ札幌戦・39分)、左サイドで仕掛け、右サイドバックの宮原和也が詰めた大分トリニータ戦の同点ゴール(15節・53分)など、多くの人数が絡み、相手を崩して決めたゴールが特に印象に残るが、17節・ヴィッセル神戸戦で挙げた和泉竜司のゴール(58分)も素晴らしいゴールだった。中央でエドゥアルド・ネットが入れた縦パスを長谷川がスルー、相手を背負ったジョーが少しためをつくりながら左サイドの和泉にパス。和泉はGKの位置を確認しニアをぶち抜いた。この日の和泉のポジションは左サイドバック。チャンスと思えば誰でも飛び出していく「システムイレブン」を具現化したゴールだった。

 和泉は4年前にグランパスに加入。2017年に風間八宏監督が就任すると、攻撃的なポジションだけではなくサイドバックやボランチ、3バックのストッパーなど、様々なポジションで起用された。今シーズンはヴィッセル戦こそ左サイドバックでの先発だったが、ほとんどの試合で本来の攻撃的なポジションを手にしている。

 今シーズンは、開幕戦に残り2分で出場して、すぐにゴールを決めたことで良いスタートが切れたと思います。そこからサイドハーフで出してもらうことが多くなりましたが、なかなか得点を取れなかったので、そういう部分は申し訳ない気持ちもあるし、まだまだ力不足だなと感じています。

 プレーについてはだいぶ安定してきたというか、自分の力や良さを出せている感触はあります。チャンスはつくっているし、シュートチャンスまでいけている部分もありました。そこまでは良かったんですが、やっぱり得点やアシストという部分をもっと増やしていきたい。実際に試合ではもっとゴールを取れたと思う場面が何本もありましたし、極論を言えばそこで決めていれば、勝てていた試合が何試合もあると思います。後半戦はそういったもったいない試合をなくしていきたいですね。

 18年シーズンはDF登録だった和泉だが、今シーズンはMFに戻った。しかし、2月の沖縄二次キャンプでは右サイドバックの位置で宮原と競い合っていた。本人としては決して本意ではないポジションだろうが、かなりのハイレベルな争いが繰り広げられていた。

 確かに、右サイドバックをずっとやってきた選手ではないので、本来のやりたい場所ではなかったですけど、やっぱりプロなので文句はないし、監督に与えられた場所で求められるプレーをするだけだと思って取り組みました。そして、その上で自分の特長を出してしっかりプレーすること。風間監督になってからずっといろんなポジションをしているので、もう慣れっこじゃないですけど、そんなに気にしていませんでした(笑)。

 右サイドバックでもどこでも自分のプレーを出していけば良い。そして自分がもっと成長し、良いプレーヤーになれば本当にやりたいポジションを任せてもらえる。突然のポジション変更も必ず意味があり、自身の成長につなげられる。風間監督となって2年半、その意味を和泉は最大限に理解している。

 最後に決めるのは監督なのでどこで出るかは自分では分からないですけど、どこで出たとしても自分の良さ、攻撃に参加することもそうですし、ボールを取られないとか守備での強さもそうですし、そういういろんな部分で自分の良さが出せればいいと思います。今はあんまり深く考え過ぎず気にせずにやれています。

 本職じゃないところで試合に出るということは、本職の選手がサブにいたり、メンバー外だったりということを意味します。それなのに文句を言うとか、しっかり取り組まないというのは違うので、そこは自分の中で常にチームの勝利のためにとか、試合に出ていない選手のためにとか、いろんなものを背負って試合に出ているつもりです。「本職ではない竜司が出ているから負けた」と言われないためにも必死でやるしかありません。

grun-19-09.jpg


2016年11月3日。J2降格が決定し、静寂に包まれたパロマ瑞穂スタジアムの光景はグランパスのサポーターの脳裏から消えることはないだろう。和泉竜司はグランパスのルーキーとして、ベンチの外でその瞬間に立ち会った。あの時の空気を知る選手は、現在わずか4選手となっている。あれから3年。グランパスの顔となった背番号29は、苦しい時期を経験してきたからこそ、常に前を向き、プロフェッショナルとしての矜持をピッチで見せていく。

続きは『Grun』2019年9月号をぜひご覧ください。

grun-19-09.pngブレない心
和泉 竜司

革命ウオッチャー 2019

THE DAYS
新連載 中谷 進之介

NHK「まるっと!」スポーツ担当
吉岡麗のまるっと!直撃
第5回 マテウス

チバディーに聞け! 第5回

綴じ込みミニカレンダー:赤﨑 秀平、マテウス

定期購読はこちら