月刊グラン6月号のご紹介［中谷進之介選手インタビュー］

危機感を乗り越え
大きな成長を実感

チーム内競争が激しくなった今季も、レギュラーポジションをしっかりと確保した。桜の季節には長女が誕生し、節目となるＪ１通算１００試合出場を果たした。そしてもう一つ、中谷にとってうれしい出来事があった。

　娘が生まれたら、どんな感じなのかなと思っていたけど、かわいいですね。顔はこれからどうなるか分からないですけど、やっぱりかわいいです。どんな父親になりたいかというと、とにかく嫌われたくない。「パパ臭～い」とか、そういうことを言われないように、父親離れする前にたくさん思い出をつくりたいと思っています。
１００試合出場は一つの区切り。柏レイソル時代の方が出場数は多いですけど、こうしてグランパスで達成できたのは意味のあることだと思います。Ｊ１だけで１００試合は同世代ではまだそんなにいない（同学年で３人目）けど、同世代でＡ代表に入っている選手もいるので、そういう選手に追いつきたいと思っています。

そして、もう一つのうれしかったこととは......。

　サポーターがチャントをつくってくれたことです。グランパスサポーターに「ありがとうございます」と、しっかり書いておいてくださいね。昨年の夏にグランパスに来て、マルくん（丸山祐市）ができて、（前田）直輝くんのができて、「俺のできないじゃん」ってずっと思っていました。それがこの春につくってくれて、「相馬（勇紀）と一緒かい！」と思いましたけど（笑）、本当にうれしいです。

いつもハキハキと質問に答えてくれる中谷。今年のスタートには大きな試練があった。それはもちろんチーム内の競争の激化。元日本代表でＪリーグのタイトルを３度獲った経験を持つ千葉和彦の加入で、キャンプでは主力組から外された時期もあった。ナイーブな若手選手なら押しつぶされそうな状況でも、中谷は当然のように己の力を見せつけ、開幕スタメンの座を勝ち取った。

　キャンプ前から危機感があったというか、風間監督に危機感を持たされましたね。昨年は試合に出ることが当たり前の状況でしたけど、千葉さんが加入して、いろんなセンターバックの選手がいる中で、キャンプからいろいろ試されました。主力じゃない方の組で、なかなか変わらない時期もあったし、あおられていた感覚はあります。もちろん競争があるということは分かっていたし、その中で自分を見失わないように、監督が出す課題に挑戦してきました。

　千葉さんが来てくれたことによって、自分ももっともっと向上しようという気持ちが強くなったし、課題を与えてくれた監督には感謝しています。そのおかげで今は、プレーの感触がとてもいいかなと思います。

中谷は、昨年からは当然のこと、新チームとなったこの３カ月間でも、自分が大きく成長していることを実感できていると言う。そしてそれがなにより楽しいそうだ。風間監督からは今、どんな課題を与えられているのだろうか。

　攻守において細かく、細かくですね。ディフェンスラインのコントロールをこまめにするように言われているし、攻撃の時のボールを止めることもそう。相手を見るという準備も細かくすることをずっと求められています。風間監督は、曖昧なところがないというか、他の監督にはない感性を持っていて、ちょっと外国人監督っぽいと思います。

　チームとしてのミスも個人のミスも徹底的に指摘する。日本人はやっぱりオブラートに包むと言うか、ぼかす部分があるじゃないですか。でも風間監督は、とことん「そこはお前のミスだから、それを修正できるように頑張れ」と追求してきます。そういうミスと向き合うことの大切さは学びました。最初は言われて悔しい気持ちもありましたけど、監督の言うことを聞いてやってみると、違う自分が見えてくることも分かるし、今は素直に聞いてプレーしてみることが自分の成長につながると思ってやっています。

昨年の夏、最もグランパスサポーターを驚かせたのは、この男の移籍加入だった。小学４年生から柏レイソル一筋。若きディフェンスリーダーとして守備陣をまとめていた中谷進之介の電撃移籍。その後続く移籍の一番手としてグランパスにやってくると、ピッチに快活な声が響かせ、重苦しかったチームの雰囲気を一変させ、グランパスのＪ１残留に大きく貢献した。移籍からまもなく１年。指揮官から与えられる課題と格闘する23歳のフットボーラーは、グランパスでの存在感を増すことが日の丸への最短距離であるとの思いを信じ、「突き詰める」日々を過ごしている。...。

続きは『Grun』2019年6月号をぜひご覧ください。