月刊グラン8月号のご紹介[菅原由勢選手インタビュー]
17歳最後の旅はロシアW杯
濃密な時間、戦いの日々
明日、ロシアへ出発。10日間ですが、代表チームと同じ合宿地で練習して、試合も観戦する。ワールドカップの雰囲気も味わえる刺激的な日々になりそう。
決まったときはめちゃめちゃうれしかったです。4年前の杉森考起先輩(現・J2町田に期限付き移籍中)のようにトレーニングパートナーがあることは分かっていたし、目指していました。ただ、いい経験をするというだけではなくて、経験したからこその強みというか自信というか、今後の自分のプレーに反映させなければいけないと思っています。楽しみでワクワクしていますが、ただ過ごすだけではなく、できるだけ多くのものを吸収したいと思っているので、常にアンテナを張って過ごしたいと思います。
17歳でワールドカップの雰囲気を感じることはいい経験だと思うけれど、結局、そのピッチに立たなければ意味のないこと。すべては自分がワールドカップに出るための過程だと思っているし、出場する資格がある以上は出てこそだと思っている。ピッチの中にいるのか、スタンドにいるのか、その間の壁はめちゃめちゃ高いけれど、その壁を見たことで、越えやすくなるというイメージができるはずです。
ロシアで締めくくる17歳の1年間はとても濃密だった。U-17日本代表として世界各地で合宿を重ね、ワールドカップではフランス、イングランドと欧州の強豪国とも対戦した。グランパスU-18では1年でのプレミア復帰に貢献。年が明けて2月の沖縄キャンプからトップチームに合流して、2種登録、開幕スタメン。5試合連続出場でプロA契約。詳しく聞いたら10ページでも足りない。
本当にいろいろありました。濃すぎましたね(笑い)。プロ契約という設定していた目標を達成したので、周りから見れば十分合格点だと思うかもしれません。でも、1年間がすべて良かったかといえば、そういうわけではありません。すべては将来の自分につながっていくもの。17歳でプロ契約して開幕スタメンになっても、20歳や25歳になったときもスタメンなのか、日本代表なのかということは分からない。僕自身、全然満足はしていないし、逆に今は危機感しかない。同世代もどんどんプロ契約してくるので、もっとうまくならなければいけないし、もっと経験しなければならない。僕の中では常に戦いの毎日です。
U-17ワールドカップは貴重な経験だったと思います。実際ピッチに立った感想は。
一言で言えばめちゃめちゃ楽しかったです。年代別代表としてずっと目指してきた大会だったので、ピッチに立てたことに感謝の気持ちが自然と湧き上がりました。同時に、真剣勝負で強豪国と100パーセントの力でぶつかったことが楽しくて仕方なかった。他国の選手の中にはすでに世界のビッグクラブでプレーしている選手もいれば、今後ビッグクラブに移籍をするような選手もいました。誰もが命を賭けているようなプレーをして、熱気も感じた。これは日本でノコノコやっている場合じゃないなと。でも、日本にいる以上は、彼ら以上の迫力や気合を持って練習しなければと肌で感じました。今振り返っても、とても大きな経験をしました。
ラウンド16で対戦したイングランド代表の中には、クラブの試合を優先して途中離脱した選手もいた。17歳はサッカー界ではもう大人だと感じたのでは。
日本では17歳は高校生だ、まだ子どもだとか言われるけれど、世界を見たら17歳はトップチームで戦う大人の一員。体も大きいし、ヒゲを生やして、本当に17歳かというような選手もいました。日本じゃ、まずヒゲがダメですね(笑い)。見た目だけでなく、彼らはすでにお金をもらって契約して、そういう世界で戦っている。熱量が違いました。他の試合もたくさん見て毎日が刺激的でした。あの大会で僕の意識は大きく変わりました。
日本チームの中でも刺激的な毎日だったと思います。ニューカレドニア戦後に「実質的にプロ選手である久保建英選手(FC東京)から刺激を受けていますか?」と聞いた時に、表情が一変したのが印象的でした。
久保君は1学年下ですが、僕たちの世代を引っ張ってくれた選手です。バルセロナというビッグクラブに移籍し、日本のサッカーへの見方を変えてくれた存在。うまい選手だとリスペクトしているけど、やっぱり負けていられないという気持ちはあります。年齢は関係なく身近にそういう選手がいれば、超えなければいけない。彼がU-19やU-20に選ばれていたことは、僕だけでなくみんなが悔しいと思っていたはず。ただ、彼がいなかったらU-17もあそこまでレベルアップしていなかったかもしれない。別に持ち上げるわけじゃないけれど、言われる通りの実力があって、僕たちを成長させてくれたと思う。実力は上かもしれないけれど、負ける気は一切ないです。これからは日本代表としてワールドカップに出場して、結果を残すというのが大事なこと。
チームの一人ひとりが日本代表として、俺がやってやるという気持ちがなければいけないと思いますし、森山佳郎監督からも「17歳で代表に入ったエリートみたいな選手でもすぐに追い抜かれるぞ」と。そういう言葉に対して口は悪いけど内心「見ておけよ!」という選手が多かった。そうした若い選手らしさもあって、メンタル面でもかなり高いレベルにありました。
月刊グラン2016年12月号のなかに菅原由勢のロングインタビューが収録されている。そこには16歳とは思えぬコメント力で、「18歳でプロ契約して、20歳でスタメンを獲得したい」と目標を語っていた。そのすべてを17歳のうちに実現させてしまったことは、まさに「有言実行」。
インタビューしたのは6月16日。翌日からはU-19日本代表の一員、ロシアでワールドカップを戦う日本代表のトレーニングパートナーとしてベースキャンプ地・カザンで10日間にわたって帯同、日本代表の試合も観戦する。フットボールの祭典を肌で感じる、胸を高鳴らせ思いを語った背番号41の姿は...。続きは『Grun』2018年8月号をぜひご覧ください。
GRUN INTERVIEW
18歳。名古屋を背負え
菅原由勢
改革ウオッチャー
THE DAYS
宮原和也 Chapter05 最終回
dela 池永百合の蹴球七日 WE LOVE FOOTBALL!
内田健太
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