月刊グラン2月号のご紹介[武田洋平選手インタビュー]

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その男、ただひたすらに。

失点より失点後の重要性
"最少失点"を考えるGK

リーグ戦9試合とプレーオフ2試合。J2でのシーズンの4分の1にあたる期間で、武田洋平はその価値と存在感をこれでもかと見せつけてくれた。序盤は決して良いとはいえなかった境遇の中で自らを律し続け、努力を重ねた結果が守護神の座ならば、それは一つの成功だ。シュートへの反応の良さとビルドアップを怖がらない足下の技術は風間サッカーへの親和性も高く、総合力の高さは安定感にも連なった。一昨季にも見せた勝負強いセービングはチームの窮地を救い、ビッグセーブも多数。野心は胸に秘めながら、前がかるチームを支えた功績は、決して小さくない。

 短く濃厚なシーズンを経て挑む2年ぶりのJ1の舞台。その前段として背番号16の軌跡を追う時、そこにあるのは偶然ではなく必然の積み重ねである。

 昨年は試合に出られたこと、そのアピールができたことが良かったです。1年を通して、自分の役割が全うできたというか、今ある立場をちゃんと務められたかなと。それは1年の中で変わっていったところはありました。例えば試合に全然絡んでいない時には、やれることをやれる範囲内でという感じだったし、ボール回しならそれはそれでと。こういうチームのスタイルだから、練習でたくさんボールを触れたのは良かったです。そこは新鮮な感じでできていました。

 もちろん試合に出るためにやっていたわけですけど、試合から離れすぎていると実際はそんなことも思えない状態でした。試合に絡めていない時にはなるべく試合を意識してやろうと思ってやっていましたけど、そんなの知れていて。実際のところキツいなというのは、試合に出てみて思った正直なところです。気持ちが切れそうな時期も全然ありましたよ。でも夏ぐらいにたまたまミョウさん(明神智和=J3長野)と電話で話す機会があって。そこで「腐らず頑張れ」って言ってもらえたのが、自分には大きかったです。たまたまね、知り合いを通して話す機会があったんです。けっこう見てくれていたんですよ、名古屋の誰が出ているとか、メンバーとか。それでオレに声をかけてくれた。そこからはチャンスがいつ来るかわからないけど、それが今年なのか来年なのか、もっと先なのかわからないけど、とにかく準備しようって思えたんです。

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 鬼のシゴキ。昨季序盤の武田と荻晃太には、まさにこの表現がぴったりの練習が課されていた。時に紅白戦になっても彼ら2名だけはピッチの隅でひたすらフィジカルトレーニングを課され、下半身を中心にパワーと敏捷性を一から鍛え直された。反比例するように不足するGK練習に「キツイわ......」と呟くこともあったが、こと武田については結果につながった。190センチの恵まれた体格を自在に、そして敏捷に操ることは動き続けるチームの一部となるには必要不可欠。つなぎへの参加はむしろ好きな男だけに、それは自身のプレーリズムを軽やかにしていく効果もあった。スタメンへの道筋は、着実に敷かれていたのである。

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 GKコーチからはまず最初にフィジカル面がちょっと足りないと言われました。まずはそこをしっかりやろうと。監督からの要求は、GKみんな一緒やと思うんですけど、フィードのところとか、もらう前に周りの状況を見ておくとか、常に前を、先を見る、そういうことです。流れを止めない、無駄に持ちすぎないとか、良いテンポで動かすということ。でも、やっていてもっと詰めていかなアカンかなという部分も感じました。まあ、自分についてはボチボチです。

 最初の頃は、試合でやりたいなって思ってましたね。自分だったらこうするなとか、そういう感じで見ていて、オレもやってみたいなって思ってました。だから試合に出た時には、難しいけど高いレベルでやれているか? やらなアカンぞというプレッシャーもありながら、でも自分が成長していかないといけない立場にいるのがすごく良いな、と思いながらやっていました。難しいといえば難しいけど、やりたいサッカーではあったから。どうしてもゼロで終わりたいというのはGKとしてはもちろんありましたけど、それも学べました。こういうスタイルのディフェンスと、これだけ点が取れてるチームで守備はどうするのって考えた時に、失点は絶対にGKの責任が大きい。いろいろ考えさせられました。結局は失点した場面を振り返ると、結局はこっちのミスだから、それをしょうがないとするかどうかというところ。失点自体にそんなに違いはなかったです。


開幕当初は紅白戦のメンバーにも入れず、それでも最後は尊敬する楢崎正剛選手とのポジション争いに勝ち、11試合連続フル出場で2017シーズンを締めた武田選手、その"名古屋の守護神"への想いと2018シーズンへの展望とは...。
続きは『Grun』2018年2月号をぜひご覧ください。

GRUN INTERVIEW
その男、ただひたすらに。
武田洋平

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THE DAYS 特別編
平林輝良寛(上)

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