月刊グラン1月号のご紹介[J1昇格プレーオフ決勝ドキュメント 青木亮太の90分]

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J1昇格プレーオフ決勝ドキュメント 青木亮太の90分

 21歳のMFに涙はなかった。J1昇格決定―。大きな喜びの後にやってきたのは、試合を決めるゴールを挙げることができなかった悔しさだった。その感情は、成長のあかしでもあった。風間グランパスで花開いた青木亮太。2017年シーズン最後の90分―。

【風】

 晴天、気温13・7度。決戦の地・豊田スタジアムは無風だった。試合前のウオーミングアップのため、ピッチに出ると青木亮太は初めて、その大観衆に気づいた。
 真っ赤に染まったゴール裏では、様々な応援旗が翻る。そこだけに、赤い風が吹いているようだった。
 「たくさんのお客さんに入ってもらい、席が空いてない。良い雰囲気だなと思いましたね
 11月26日のプレーオフ準決勝でジェフ千葉を撃破してから1週間。この間、いつもと変わらぬ気持でいつも通りの練習に取り組んできた。それでも、その日が近づくにつれて特別な気持ちになった。「あと1試合勝てばJ1に戻ることができる。やってやる!自分で決めてやる!
 サッカーを始めた頃から、その道に導いてくれた父や指導者に言われ続け、心と身体に刻んだことがある。「勝利につながるプレーを!」。赤い風が、青木の背中を押す追い風となった。

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【バトル】

 観衆3万7959人。午後4時2分、試合が始まった。
 「普段より緊張しましたね。でも、プロ初先発となったザスパクサツ群馬戦(第10節・4月29日)ほどではなかった
 2014年に流経大柏高校から加入。独特のドリブルとサッカーセンスで期待された異能のMFは翌年春に左ひざに大けがを負い戦線を離脱した。2シーズンを棒に振り、今季風間八宏監督の下で復活した。この世界での自身の生き残りをかけたプロ初先発から7カ月、若者はチームの浮沈をかけたゲームを託されるまで成長を遂げていた。
 試合は、崖っぷちでナイフで切り合うような殺気に満ちたものとなった。
 4位のハンディで勝利するしかないアビスパ福岡の井原正巳監督は、アグレッシブに前線からプレッシャーをかけて、ボールを奪い速攻を仕掛けることを選手たちに指示していた。
 それは、グランパスの予想通りだったが、序盤戦はアビスパの圧力が勝った。サイドハーフの青木もDFラインに吸収されて守備に追われた。

 しかし、開始10分を過ぎると赤鯱の歯車がかみ合い、パスがつながり始める。13分、シャビエルのCKに田口泰士が頭で合わせゴールネットを揺らす。赤い歓喜がスタジアムを揺るがすが、シモビッチがGKへのファウルをとられてノーゴール。19分にはアビスパの強烈なミドルシュートがバーを叩き、さらにそのこぼれ球を拾われてシュートを打たれるが、GK武田洋平が好セーブでかきだした。

 勝利の女神は、どちらのチームにも微笑むことはなかったが、ほんの少し女神をその気にさせたのはグランパスだった。武田の好セーブに勇気を得た赤鯱のフィールドプレーヤーは奮起し主導権を奪う。
 中盤で体を張ったプレーを見せていた主将・佐藤寿人が28分、右サイドのガブリエル・シャビエルにパス。ドリブルで駆け上がったシャビエルは、ペネルティアリアに踊り込んだ青木にパスを送った。青木は反転して渾身のシュートを放つが、GKの好セーブに阻まれた。
 さらに35分、シモビッチのクロスに青木が反応してシュートを放つが、大きくふかす。
 「いずれも決めなくてはいけないシュートだった。決めていれば楽になった」(青木)。


名古屋グランパス史上初めてのJ1昇格プレーオフという舞台にあっても「プロデビュー戦ほどではなかった」と言い切る"宇宙人"青木選手、その試合後に浮かび上がった感情と想いとは...。
続きは『Grun』2018年1月号をぜひご覧ください。

grun201801.png[ROAD TO J1 昇格プレーオフ]
豊スタの歓喜
起こした「風」J1復帰
決勝 VS福岡 / 準決勝 VS千葉
ドキュメント 青木亮太の90分

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