月刊グラン12月号のご紹介[ガブリエル シャビエル選手インタビュー]

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衝撃の"GX44"

日本に早く慣れることができたのは
自分にとっても幸運だった

 鮮烈、あるいは衝撃と表現すべき、本物の輝きをこの男は見せてくれた。前評判はドリブラー、しかしピッチに現れたのは精緻なキックと戦術眼とを駆使する極上のゲームメーカーだ。37節のホーム湘南戦で負傷するまでの14試合で記録したアシストは脅威の15。自身の7得点を加えれば既にチーム総得点の4分の1を途中加入にして演出している計算だ。戦いの舞台がJ2であることは差し引くべきだとしても、これを離れ業と言って差支えはあるまい。ガブリエル シャビエル。また一人、Jリーグに怪物的なブラジル人選手が現れた。

 一時は低迷しかけた名古屋を昇格争いのメインキャストにまで引き上げた彼の功績は既に特筆すべきもの。それだけに負傷離脱は痛恨事だが、それでもいま語るべき価値がシャビエルにはある。名古屋からJ2を駆け抜けた旋風は、今なおその勢いを失っていないのである。

 この3カ月間は自分にとって非常に充実したものになりました。来日して3日後、時差ボケの中でプレーした京都戦が自分のグランパスでのデビュー戦でしたね(笑)。その試合でゴールを決められたのは嬉しいことである一方、勝てなかったことは同時に残念でもありました。悔しかったです。デビュー戦での得点よりも、負けたことが自分にとっては衝撃でした。確かにゴールは大きな自信になりましたし、良いきっかけにもなってくれたと思います。ですが、自分が思うにはチームのみんなが自分のことをしっかりと受け入れてくれたこと、そして日本という国に自分が合っていた部分も大きかったのだと思います。日々の練習から我々は技術力の高さ、技術を生かしたサッカーを、とても求められていますが、その上で監督からの要求に応えていくことが大事ですし、そこに全力を尽くしてきました。この3カ月間を振り返ると、我々は非常に成長しましたし、自分も含めた選手たちが自分たちのサッカーを理解してきたことを感じます。自分も思っていた以上にこの日本という国に早く慣れることができました。チームについてもそうです。これは本当に予想していなかったことで、幸運でしたし、だからこそ今はより一層、チームに尽くしていきたいと思えています。

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 シャビエルに衝撃を受けた人物は選手やサポーターに留まらない。風間八宏監督ですらその一人である。曰く、「本物というのはいるんだよ」。最高の技術を追い求めるスタイルにはどんな選手でも適応するのが難しい側面があるにもかかわらず、シャビエルは実に自然に馴染んだ。上手い選手はどこに行っても上手い。彼が体現するのはサッカー界の常識でもあり、しかしなかなかお目にかかれないレアケースでもある。

 もっとも、本人にしてみれば何の不思議もないことだったらしい。その理由はなぜブラジルがサッカーの"王国"と呼ばれるのかを、如実に物語るものでもあった。

 名古屋での最初の練習といえば、とても暑かったことを憶えています(笑)。長旅をして移動をしてきて、加えてとても暑いなんて......と思ったことが印象深いです。トレーニングの印象としては日本のサッカーは非常にダイナミックなのだなということでした。選手によっては日本になかなか慣れることができないだとか、時間がかかるとか、様々なことがあると思います。しかし自分の場合は途中加入にもかかわらず、日本のサッカーに早く慣れることができました。自分がそのための最善を尽くしてきたこともありますが。

 技術面のクオリティは、ブラジルの選手というのは多くが非常に高いレベルにあります。ですが、日本の選手たちも技術力は高いです。違いとしてはサッカーのスタイルの部分で、名古屋と自分がいたチームとでもそれは違います。そこで来日当初から思っていたのは、まずは自分の役割を全うすること。ゴールチャンスを演出し、自分もゴールを奪い、勝利に貢献するということでした。風間監督はとてもバリエーションに富んだ練習をする方ですが、ここで今までやってきたトレーニングはブラジルでもやっていたものでしたので、そんなに目新しいものではありません。唯一違うといえば、やはり日本のサッカーの方がよりダイナミックだということです。展開が速いですし、ブラジルはもう少しリズミカルというか、そこまで速い展開はありませんでしたからね。


今夏に加入したブラジル出身のゲームメーカーは驚異としか言いようのない活躍で名古屋を昇格争いに引き上げた。その無理がたたったかのように終盤戦で負傷離脱の憂き目に遭ったが、かといってそれが彼の価値を下げるものにはなり得ない。

日本でのハーフシーズンを、いま振り返る背番号44の姿は...。

続きは『Grun』2017年12月号をぜひご覧ください。

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衝撃の"GX44"
ガブリエル シャビエル

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