月刊グラン8月号のご紹介[杉森考起選手インタビュー]

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駆け抜けろ、赤き疾風

毎日課題が見つかるから、
サッカーを考える時間は増えた

 20歳になって迎えたプロ4年目のシーズンは、いよいよもって覚醒の予感が漂ってきた。心身ともに大人と認められる年齢になって初めてその時が訪れるあたりは偶然か、それとも必然か。筆者には、彼の中で準備が整ったように思えてならない。10代のうちに3年間をプロとしてプレーし、結果はほとんど残せなかったが、経験は消えることなく積み重なる。杉森考起はサッカー選手としても、"成人"の時を迎えたのだ。
 試行錯誤の毎日のことを聞かれると、しかめっ面で振り返る。しかし悪いイメージがあるからではない。むしろ、超えるべき課題と、超えられる自分がそこにはある。まさに充実という言葉がぴったりと当てはまる、意欲的な日々だ。挑み、失敗にもめげずにまた挑む。今季の名古屋を象徴するその姿勢は、清々しいほどに貪欲である。

 今は毎日充実していますけど、毎日、毎日、課題が見つかるから、それをできるようにしようということも、今までよりたくさんあります。シーズン序盤はすごく緊張ばかりしていて、なかなか自分のプレーを試合で出せなかったところがありました。でも前のポジションをやるようになって、少しずつ自信がついてきたかなという感じです。フィジカル的には90分を通して戦えるようにならないといけないし、ボールをキープする強さがまだ足りません。身体の使い方はプロになってから考え方が変わったところではあります。やっぱり昔は体が当たらないようにと考えていたんですけど、今は当たっても先に相手よりボールの前に入るとか、そういうところを考えるようにはなりました。やり方を学んだというか、知ったという感じですね。
 その中で、練習でちゃんとやらないと、試合でそれ以上のプレーは出せないなと感じています。失敗はしない方がいいんですけど、失敗しても取り返せばいいという考え方もすごくわかりやすい。風間監督は「同じ失敗を続けなければいい」と言います。1回失敗しても、それを繰り返さなければいいと。ずっと自分の中でも取られたら取り返すという気持ちはあったので、それはやっているつもりです。そうやって、サッカーを考える時間はすごく増えました。

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 今季、杉森が伸び伸びとプレーできている理由の一つに、風間八宏監督の存在を欠くことはできない。「アイツらはあまり考えてサッカーをしてこなかったからね」と苦笑混じりに青木亮太や杉森を評する独創的な指揮官は、「伸びてもらわなければ困る」人材として、とりわけ杉森に対しては粘り強い指導を重ねてきた。どうすればこうなるのか、そのためには何をすべきなのか、という理論的なサッカー観はまだ開発途中の若手の思考回路にすんなりと収まり、より積極的な精神とプレーを引き出している。ともすれば才能だけでサッカーをしていた杉森は今、より深く具体的な意図を持つ、新しいサッカーに取り組んでいるのだ。

 今年は1日の練習に対する反省が増えました。それも今までは淡々と「今日はドリブルの調子が悪かったな」ぐらいだったのが、今は「今日はあまりボールを受けられなかったから、動き出しやタイミングを良くしないとな」という感じに変わりました。そこで言われたことを次の練習で試していこう、という感じでやっています。
 風間監督の影響は、けっこうあります。監督の指導は新しいというよりも、どうやればいいんだろうって思っていたことを、「なるほど、そういうことか」と思わせてくれるものです。自分で見つけられなかった方法があるので、考えることを増やしながらプレーできています。今までは本能というか、あまり考えずにやってきたので。まだ足りないけど、普通に考えるようになったとは思います。考えないとできないサッカーですしね。
 一番納得できたこと? 何だろう......。相手の逆を取りたい時に、相手を見ればすぐ取れるというところですかね。それはすごく納得というか、そうだなと思えたところでした。今までは自分主導で、自分が動くことで相手を動かして、逆を取ると考えていました。でも、今は相手が動くから、自分がその逆に動きます。それが「相手を見る」ということで、少しずつ僕にも見えるようになってきたと思います。


プロ4年目でいよいよ覚醒した杉森選手、誰もがその活躍に顔をほころばせる中、自身がより名古屋グランパスへもたらせると考えている役割とは...。
続きは『Grun』2017年8月号をぜひご覧ください。

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駆け抜けろ、赤き疾風
杉森考起

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