月刊グラン3月号のご紹介

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帰ってきた"スペシャル・ワン"

楽しく勝つのは難しい
でも、一番やりがいもある

 特別な選手が、名古屋に帰還を果たした。

 彼は移籍会見の場で名古屋グランパスを「特別なクラブ」と表現したが、それはクラブにとっても同様である。06年からの9年間でキャリアハイのパフォーマンスを披露したストライカーは、10年のリーグ優勝の立役者として活躍。その間には高速ドリブルと左足のシュートという持ち味をスケールアップさせ、万能のチャンスメーカーへと進化を遂げてもいる。黄金期のグランパスを牽引した前線の中心選手として、玉田圭司の存在を欠くことはできない。
 3年ぶりに帰ってきた玉田は何も変わっておらず、彼らしい言葉や振る舞いも以前のまま。だが、クラブへの愛情が増していることはその表情からも一目瞭然だ。温和な笑顔は充実の証拠。二度目の名古屋でのキャリアに、彼は至上のやりがいを感じている。

 なんで「特別なクラブ」かって、そんなのわかるでしょ?(笑)。オレがプロに入って一番長くプレーしたチームでもあるし、自分が大事な時を過ごさせてもらったクラブ。だからそういう意味を込めた表現をさせてもらったんだけど。もちろんレイソルも特別なクラブで、レイソルは自分にプロとしてどうあるべきか、どうサッカーをやるべきかを教えてくれた。成長もさせてくれたと思う。グランパスはそれをグレードアップというか、自分を大人にしてくれたというか。人間としてもサッカー選手としても、という感じかな。
 それは当時、意識したところもある。自分を変えようと。レイソルの時は先輩が「好きにやっていいよ」って感じで支えてくれたけど、名古屋に来た時には自分も年齢が上の選手になっていた。だから自分のプレーをやりつつ、周りの選手のことを考えるようになった。それに名古屋には良い選手がたくさんいたけど、自分ではオレが一番上手いって思っていた。だからこそオレがやらなきゃいけないことは増えると思った。その時にちょうどストイコビッチが監督になって、意識も変わった。改めてストイコビッチのプレー集を見て、あまりパスとか考えたことなかったんだけど、パスとか本当に上手くて。上手くなりたいって思ったよね。そうやってプレーの幅を広げたいと思った結果、プレースタイルも変わって、良くなっていったのかなと思う。

 既存戦力よりも新戦力が多い異例のシーズンとなった今季のグランパスにおいて、古巣復帰の玉田の存在はその仲介役としても貴重なものとなる。チームもそのことを理解してか、4名いる副キャプテンの一人に指名し、チームリーダーとしての期待を公式に表明。新加入かつグランパス通算10年目のベテランは、「変な感覚だよ」と自らの立ち位置に苦笑した。
 セレッソでの2年間でも貴重な経験を積んだ玉田は"古巣"の現状に思いをはせつつも、ポジティブな見方で今後を捉える。「みんなすごく意欲がある」と新加入選手たちの姿勢に頼もしさを感じ、「もっとできるだろ?」と旧知の選手たちの尻を叩く。なぜ自分がここにいるか。その理由は玉田自身が一番よくわかっている。

 セレッソでの2年間は本当に良い経験だった。すごく良い選手がいて、すごく良い環境だった。フォルランやカカウと一緒にやれたのもすごく良かった。特にフォルランは特別派手でもないし、ムチャクチャ上手い、というわけではないんだけど、でも本当に"凄い"プレーをしていて、それはすごく勉強になった。どっちが利き足かわからなかったし、それもすごかったね。セレッソでもオレは成長できたと思っています。
 これで名古屋では通算10年目。知っている選手は思ったより少ないけど、すごく新鮮です。みんなすごく意欲があるし、良い選手がたくさんいるなと感じる。これはクラブが成長するためにはすごく良い状態だと思う。監督も新しくなったわけで、みんな本当に一からのスタート。その意味では自分は新加入な気分と、古株的な要素もある。どっちでもいいけど、変な感覚ですね(笑)。
 知っていた選手たちとは久しぶり、という感じだったけど、深い話はしていません。去年の話とかどうでもいいし、今年は始まっているわけだから。みんな変わってないなと思うし、もっと頑張ろうぜとも思う。去年苦しんだのはみんな同じで、気持ち良くサッカーはできていなかったんじゃないかな。オレもJ2降格は経験しているけど、それは仕方がない部分もあるんでね。


加入会見で「グランパスから話が来た時点で即決だった」と語った玉田選手、自身に課したミッション「J1への道を切り開く」ために今思うことは...。

続きは『Grun』2017年3月号をぜひご覧ください。

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