月刊グラン1月号のご紹介

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グラン・インタビュー

現場力で挑む

グランパス再生のキーマン
下條佳明チーム統括本部ゼネラルマネジャーに聞く

J2降格という厳しい現実に直面している名古屋グランパス。難しい舵取りを担うため、経験豊富なゼネラルマネジャーが就任した。下條佳明さん、62歳。日本リーグ時代の日産自動車でプレー、引退するとスクールの立ち上げにはじまり、アカデミー各年代のコーチ、女子チーム監督、そして横浜F・マリノスで2度の監督代行を務め、今年3月まで6年間にわたり強化責任者として采配を振るっていた。豊富な経験に裏打ちされた「現場力」に、グランパス再生への大きな期待がかかる。

─21日の就任記者会見で「やりがいのあるオファーを受けた」と話されていました。

サッカーのマネジメントの仕事を長くしてきましたが、今回、グランパスからお話をいただき大変嬉しく思います。これを機に、グランパスの再生を目指すというお話を伺い、自分の中で自然とエネルギーが沸いてきました。オリジナル10であるグランパスの降格。同じオリジナル10のクラブである横浜F・マリノスで長く仕事をしていたので、この状況は十分に承知をしています。J2という、このクラブに携わる人すべてが初めて体験するディビジョン。私自身も大きなチャレンジだと感じています。

─ピンチを迎えるたびに、自らがエネルギッシュになっていくのを感じているのでは。

振り返ってみると、横浜F・マリノスでも苦しい状況というのは思い浮かびます。監督代行も2度(2001年、2002年)経験させていただくこともありました。

─オファーを受けるにあたって、チーム状況をどのように把握され、実際に感じられたことは。

降格してしまった現実があってもJ2でプレーしたくない選手もいます。選手個々の契約状況やチームの編成は気にはなりましたが、チームを刷新する上で、そこばかりを気にしてはいけないと思いました。

─対戦相手として、今季のグランパスはどのように映っていましたか?

対戦チームとして分析をする中で、今年に限らず「アグレッシブさに欠けるな」という印象はありました。今年のデータを見ても、走行距離が少なく、残り15分での失点が多い。ただ、それはあくまで今季のことで、1996年に横浜F・マリノスでヘッドコーチをしていたときに、ベンゲル監督率いるグランパスにゼロックススーパーカップでコテンパンにやられた(0-2)強烈な印象があります。

─グランパスのチームカラーをどう感じていますか?

それはこのクラブでも既にテーマになっていたことですが、スタイルが語りにくいという印象です。これまで多くの監督が指揮を執っていて、選手も大きく入れ替わっている現状がありました。成績が低迷した時期もあったと思いますが、その原因としてチームコンセプトが少し揺らいでいたのかなという印象もあります。

─しっかりした土台をつくるという想いの中で、引き継げるものは。

今だからこそ温故知新の感覚も大切だと感じます。今年は残念ながらJ2降格という成績でしたけれど、このクラブはものすごい財産を持っている。間違いなくビッグクラブで、高いポテンシャルを感じます。理由としては、トヨタをはじめとした多くの素晴らしいパートナーに恵まれており、名古屋という大都市圏でトレーニング環境や生活環境が整っている。専門性を持った人材も揃えているということでしょう。

─近年はそのポテンシャルがうまく生かされていなかった。

サッカークラブのマネジメントはチーム力とクラブの経営力の両輪を上手に回すことが大前提。オン・ザ・ピッチとイベントなど興行としてのオフ・ザ・ピッチの視点の両方を突き詰めなければならないんです。そのためのマインドとして持ちたいことは「いいものを作らなければいけない」ということです。このクラブにとって、さらにクラブの選手、スタッフを含めていいものとは何かを定義していかないといけません。多くの企業で行われているSWOT分析(経営戦略策定方法の一つ)で見れば、グランパスには良いバランスは備わっている。その中でストロングポイント(強み)を生かし、ウィークポイント(弱み)を改善してクラブ運営を続けていくことです。グランパスにとって真に「いいもの」とは何かを定義する必要があります。オン・ザ・ピッチにおいては、現場を預かる監督ともしっかりコミュニケーションをとり、勝つ確率の高いサッカーを求めていきたいと思います。プロとしての意識、スタッフの人的サポートなど、確率を高めるために個々が何を考え、何をすべきかに取り組んで欲しいと思います。時にはいい意味でのメディアリテラシーも必要だと思います。良いクラブを作るためにメディアの皆様の協力は欠かせません。また、今まで仕事をしていた関東にはプロサッカークラブが多く、アカデミーの選手も奪い合いになってしまう。でも、グランパスとコンサドーレ札幌に関しては、大多数の選手が地元クラブを選択してくれる。それは必ず強化に繋がります。


Jリーグ開幕前の日本リーグ時代から培った「現場力」を、下條GMはどうグランパスで活かそうとしているのか...。続きは『Grun』2017年1月号をぜひご覧ください。

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J1復帰へ、刷新の冬

[下條GM インタビュー]
現場力で挑む
再生のキーマン 下條佳明ゼネラルマネジャーに聞く

[グラン・インタビュー]
このクラブが、好きだから。
ラストメッセージ
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[dela 池永百合の蹴球七日]
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