月刊グラン12月号のご紹介
グラン・インタビュー
菅原由勢
正真正銘の大器が名古屋の育成組織に現れた。
U-17ワールドカップ出場を決めたU-16日本代表の主力は、
名古屋グランパスの中でも徐々に存在感を増している。
夢は大きい、しかし大言壮語でもない。
その特異な才能は、有言実行を貫く可能性に満ちている。
今年の自己採点は20点
自分が試合を動かしたい
この坊主頭の少年が、将来の"闘将"有力候補である。名古屋グランパスU18に所属する高校1年生で、16歳にして既にトップチームの練習参加も経験している逸材だ。さらに9月に行われたAFCU-16選手権を戦ったU-16日本代表「00ジャパン」の主力としてもその名を知られる有望株、それが菅原由勢だ。
それにしても、この場にユース年代の選手が登場するのは異例中の異例のことだ。あの杉森考起でさえ、プロ3年目の今季が初登場である。選ばれるにはそれなりの理由が必要だが、つまり彼にはそれがあるということだ。
驚いてほしい。これが16歳の言葉なのかと。年齢を疑う当意即妙の受け答えには、大器の片鱗を感じずにはいられないだろう。名古屋ユースが誇る最新鋭の"傑作"は、今この時も成長の速度を緩めることなく、濃厚な日々を過ごしている。
U15の時は学年をすごく意識するところもあったんですが、ユースになると16歳も17歳も18歳も関係ありません。先輩後輩関係なしに常に勝負ですし、僕は性格として負けるのが大嫌いです。先輩だろうがという気持ちもそうですし、今年は監督もコーチ陣も大幅に入れ替わった中で、自分も一からアピールするために一日一日をすごく大事に過ごしてきました。でも個人としてまだまだ物足りないだけでなく、今はチームもプレミアリーグで残留争いという立場にいます。そこには自分の日本代表としての経験をもっと還元していきたいですし、常に自分がこのチームを引っ張っていくという気持ち、自覚がまだ足りないです。もし個人で点数をつけるのならば、20点とか30点ぐらい。まだまだ全然です。
その中でトップチームへの練習参加は、常に自分の中での目標としてあります。今年はそこで見た選手一人ひとりのプレーがすべて勉強になりましたし、一緒に試合をやっていくことで「こういうところではチャレンジするんだ」とか、自分にないものを吸収できました。今は闘莉王さんもいますけど、自分の考えていたことが180度ひっくり返るような感覚を覚えました。そこでいい感じに自信をつけることができましたし、怖さがなくなりましたね。別にここでミスしても、次やればいいという、"鈍感力"とでもいうものが身についた気がします。
物怖じしない。初めてトップチームの練習に参加した菅原を見た時の印象である。まだ線は細いが、大人を相手に何ら怯むことなく戦いを挑んでいけるハートの強さがある。成長期真っ只中の身体はフィジカルトレーニングも慎重に育てている段階だが、それでもその逞しさは見るたびに増している印象がある。ゆえに高校1年生ながらU18では最重要ポジションであるセンターバックやボランチを任されることも多く、その振る舞いは3年生にも見劣りしない。
注目すべきはその思考回路だ。負けず嫌いかつ図太いメンタルの持ち主は、それでいて冷静な分析家の顔も持つ。U18チームに対する責任感といい、話す言葉一つひとつがプロ顔負けなのである。
プレミアリーグでは苦戦していますが、試合には波があると思うので、その波をしっかり感じ取った中で時間帯によってのプレーを選択するというのが大事だと思っています。今は自分を含めたどの選手も自分が自分がとなって、スコアを忘れたサッカーをしてしまったり、時間を考えずにやってしまったりすることが多くて。今季のチームは後半にやられてしまうことが増えているんですが、そこは自分たちでも対策を考えていますし、自分を含めたセンターバックを中心にコントロールできたらもっと結果も変わってくると思うので、もっと突き詰めていきたいです。僕自信失点シーンを振り返ると、得点してすぐとか、気の緩みが多少あるのかなと。得点したからまあいいやという甘い考えがあるからこそ、簡単なロングボールで入れ替わられたりということにもなると思うので。点を取った時こそ後ろから「次だ!」という声が出せればと思いますし、チームとして点を取った後のサッカーをどうするのかという部分で、もっと僕から声をかけなければいけないと思います。
それはやはりアジア最終予選を経験したことが大きいです。毎試合が本当に経験したことのないようなタフな90分間でした。その経験が大きくて、こういう時にはこうしなきゃという声が無意識に出るようになってきたので、それがチームのためになればと思っています。
今シーズン、トップチームの練習参加やU-17ワールドカップ出場権獲得など大きな飛躍を遂げた菅原選手、続く名古屋グランパスでの夢とは...。続きは『Grun』12月号をぜひご覧ください。
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