月刊グラン9月号のご紹介

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グラン・インタビュー

次代を担う者として。来たれ、開花のとき。杉森考起

至宝と呼ばれる特大の才能
取り戻すべきは得点感覚

 彼が至宝と呼ばれるようになったのは、小学生の頃だっただろうか。全日本少年サッカー大会でグランパスU12を優勝に導いた際の逸話はつとに有名だ。久米一正社長、当時のGMはサッカー協会会長だった犬飼基昭氏から「この選手をものにできなかったら、名古屋の責任は重いぞ」と囁かれたのである。杉森考起を語る上で、忘れられないエピソードの一つだ。

 あれから7年が経過した。各年代の日本代表を順調に経験し、クラブ史上初の高校生Jリーガーとしてトップチームに合流した男は今春には高校を卒業。7月にはA契約も締結し、純粋な19歳のプロサッカー選手としての日々を戦っている。

 課題は多い。出場機会は乏しい。だが、だからこそ、杉森の表情は充実している。次代を担う者として。杉森の胸の内を探る。

 3年目なので、試合に出て活躍しないといけないという気持ちはあるんです。でもなかなか難しくて、まだチームに貢献できてはいないかなと思います。今年はやっぱり監督が変わって、コーチもみんな変わって、今までプロになってからやってきたサッカーとは違った部分も多くて。環境の変化が大きいです。前の監督の西野(朗)さんはあまり細かいことを指示するタイプではなかったので、今の方が守備とかもすごく意識してやるようになったと思います。プロになると、やっぱり守備に気を使うようになります。でも守備なんて今まではやってこなかった。高校生までは一人がサボっても何とかできるんですけど、プロは一人がやらないだけでだいぶキツくなる。その差は大きいです。それまでの僕は守備は要所要所でやる、という感じだったので。それではプロはダメでした。若干は慣れてきた気もしているんですけど、若干ですね。頑張ってる感は出してますけど(笑)。

 高校を卒業して、少し気持ちに余裕はできたんですけど、なければないで寂しいですし、暇ですね( 苦笑)。今までのバタバタしていた時の方が、充実感はあったかもしれないです。追加でトレーニングができるようにはなりましたけど。去年まではゆっくりと体を鍛えることがあまりできませんでした。でも今はその日の練習が終わってまだ動けるな、もう少し動きたいなと思ったら終わってからも練習したり、体が疲れているなと思ったら、やめたり。サッカーのことだけ考えればいいから、それは楽ですね。

 杉森考起の知名度をさらに上げるきっかけとなった出来事に、2013年のU―17日本代表への飛び級選出があった。当時の吉武博文監督に率いられた若き日本代表たちは究極的にパスを駆使する異能の集団だった。杉森もその高い技術とボールスキルの高さで16歳ながらチームに組み込まれ、世界大会での実戦経験を積んでいる。

 しかしこの時の経験が、若い杉森には良くも悪くもあったという。自分で仕掛けて点を取る選手がパスの楽しさに目覚めてしまったが故に、杉森はストライカーとしての自分を見失いかけた。今、彼は必死に体を鍛え、ゴール前での力強さを取り戻そうと躍起になっている。プロは結果の世界だと、気づき直すことができたのだ。

 筋トレはけっこうやっています。今の自分はまだ細い。目安でいうと、あと3〜4キロぐらいは増やしたい。当たり負けしないようになりたいんです。体をぶつけられたり押されたりすると、ドリブルで切り返した時でも状況が悪くなっていたりする。そこで踏ん張れたらだいぶ違うと思うんです。今までは逆で、当たらなければ良いみたいに思ってたけど、それではダメってことに気づきました。


プロサッカー選手として3年目を迎えた杉森選手、言い訳無用の闘いが始まるなか、背番号27の心うちや、いかに。続きは『Grun』9月号をぜひご覧ください。

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[グラン・インタビュー]
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