佐藤寿人選手 移籍加入記者会見

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1月9日(月・祝)、トヨタスポーツセンター内クラブハウスにて、佐藤寿人選手移籍加入記者会見を行いました。


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みなさんこんにちは。この度、サンフレッチェ広島から名古屋グランパスへ移籍加入することとなりました佐藤寿人です。いろいろと質問があるでしょうが、自分自身が答えられる範囲内で答えたいと思いますので、今日はよろしくお願いいたします。

─名古屋グランパスへ加入が決まった、今の率直な気持ちをお聞かせください。

昨年11月に、移籍を決断しましたが、その後もサンフレッチェ広島で天皇杯があり、クラブのスケジュールもありました。自分がこの名古屋グランパスのユニフォームに袖を通すという実感はなかなか湧かなかったのですが、今日、このような記者会見を開いていただき、名古屋グランパスという素晴らしいクラブで今シーズンを闘うことにわくわくしています。

─赤色のネクタイも、気持ちの表れなのでしょうか?

今回の移籍が決まったあとに、知り合いから「ぜひ名古屋でこれを着けてほしい」とプレゼントされました。そのように、応援してくれる様々な人の想いも胸に秘めて闘いたいと考え、今日はこのネクタイを選びました。

─ご自身の公式サイトにも「気が済むまでやってきます」という言葉がありましたが、今回の移籍に至る経緯を教えていただけますでしょうか。

11月3日にリーグ戦の日程が終わりました。その時点で、自分の中では移籍という考えはなく、サンフレッチェ広島でプレーを続けることを考えていました。もちろん昨シーズンは満足のいくシーズンではありませんでしたが、自分の中で問題を解決し、今後もゴールという結果を出すことを考えていました。その段階で名古屋グランパスから「J2ですが、一緒に闘いましょう」という言葉をかけていただきました。僕自身、サンフレッチェ広島で12年間プレーしていましたし、佐藤寿人という選手イコール、サンフレッチェ広島というイメージが付いていると思います。そのような、他のクラブでイメージが強い選手に対してオファーを出すことは、簡単なことでは無かったと思います。その決断をグランパスのフロントの方々がしてくれたことを嬉しく感じました。また「選手として、まだまだやれるということをピッチで証明してほしい」という言葉もかけていただきました。

出来上がったクラブへの移籍でしたら、自分はサンフレッチェ広島を離れることはなかったと思いますが、自分自身、これまで3度、J2のシーズンを経験しています。どれだけ厳しいか、J1からJ2へ落ちどれだけ環境が変わるのかはわかっています。結果が出ない状況でネガティブな声も出てきますが、クラブとして選手として、戻るべきところに戻る難しさを経験しています。名古屋グランパスが苦しい時期に、一緒に闘ってほしいと言われ、選手としてその目標に向かって闘いたいと思うようになりました。

これまでは、共にJ1で盛り上げるライバルチームとしてグランパスを見ていました。また、個人的に親交がある楢崎さんという、偉大な先輩が長年在籍しているクラブだということも理解しています。そのクラブに自分が移籍する違和感もあったのですが、自分の中では名古屋グランパスはJリーグで優勝争いを続けなければならないチームだと思っています。それはこれまで、対戦相手として闘ってきた中でグランパスの強さを肌を持って感じてきました。ここ数年、苦しい時期を過ごし結果的にJ2降格が決まってしまいましたが、グランパスのやらなければいけないことはJ1に戻るだけではなく、毎年優勝争いをし、その先にあるACLというステージも狙う、それが本来いるべき場所だと思っています。そこへ繋げるため、クラブとしてジャンプアップする手助けを少しでもできればと、おこがましいかもしれませんが、自分では考えています。そのために、様々なものをこのクラブ、このエンブレムのために出し切りたいと思います。

─J1昇格からその先という長期的なビジョンに対し、具体的に何ができるとお考えでしょうか。

まず1年でJ1に復帰することが、簡単ではありませんが最初に達成しなければいけないタスクです。グランパスにいる選手のほとんどがJ2を経験したことがないと思いますが、僕は3度、別々のクラブで違った立場で経験しています。その経験は少なからず還元できると思っています。そして今回、自分一人ではなく、他にもグランパスへと加入する選手がいます。その選手達も、このクラブを本来あるべき姿にもどしたいという強いモチベーションを持っていると思います。そして僕自身、フォワードというポジションで勝負をしてきて、ゴールという数字で評価をしてもらっています。まずやるべきことは勝利につながるゴール、J1昇格につながるゴールを選手として決めることだと思っています。

─監督、選手など大きく変わるチームの中で、ベテランとして何ができるとお考えでしょうか?

これまで、このクラブで長くプレーしている選手、中堅と呼ばれる選手にもいろいろな考えがあると思います。そして自分のように新しく加わる選手は、もしかしたら今いる選手とは違った考えを持っているかもしれません。ただ、選手として何が大切かといえば、クラブのために自分は何をできるかです。選手個々が頑張るのは最低限のことで、クラブが良い方向へ進むために何をするかも個々が考え、向き合うことが大切です。自分がこれまでに決めたゴールはもう、全て過去のことであり、これからグランパスのためにどれだけゴールを決めるのか、それが自分が取り組むべきことです。自分には他の選手したことがない経験があると思います。結果が出なかった翌シーズン、J2という環境が変わる中で闘う難しさの中で、自分たちがクラブのために何ができるかを一緒に考えたいと思います。

─J2を戦う難しさは、どこにあるとお考えでしょうか?

J2のクラブの中には、J1昇格を目指すクラブもあれば、まずはJ2に安定して残留することを考えるクラブもあります。さらにはJ3からJ2へと昇格したなど、様々な立場のクラブがあります。選手層を含めJ1以上にクラブ間の差は大きいのがJ2というリーグです。僕がJ2を経験したとしにはまだ、J2からJ3への降格という制度がなかったため、もしかしたら今以上に難しいリーグだったかもしれませんが、勝ち点3を狙わないという戦いをされる場合もありました。今はJ3への降格というリスクもあるため、リスクをかけ勝ち点3を狙う戦いなど多少の変化はあるとは思いますが、グランパスに対して勝ち点1でOKという考えで相手が戦う試合もあると思います。そのような相手から勝ち点3を奪うことの難しさはあります。

そして、これはサッカー選手として非常に難しい部分なのですが、大きなクラブに対して小さなクラブが立ち向かううえで、いつも以上の力を発揮することがあります。同じプロのリーグではありますが、力関係を考えればジャイアントキリングと表現されるような結果も、J2では頻繁に起こります。そのような状況が、J2を戦ううえでの難しさだと思っています。

─佐藤選手自身は18年目のシーズンとなりますが、個人的にはどのような目標を掲げられているのでしょうか?

後ろは楢崎選手を中心にゴールを死守してくれると思います。そのうえで、自分はやはりフォワードですし、一番前の選手として勝利につながるゴールを1つでも多く決めることが一番の役割だと思っています。ゴール以外でも、チームの勝利のためなら何でもする覚悟を持っていますし、試合後には自分のユニフォームが最も汚れているようなプレーも、必要であればしたいと思っています。とにかく、勝つための仕事を42試合、積み上げたいと思っています。

─ファン、サポーターの皆さまからも期待が大きいようですが、そのサポーターへメッセージをお願いします。

これまで僕は、ブーイングの対象となる選手だったと思います。そのような選手が今回チームメイトとなるわけですが、勝利のために、名古屋グランパスのためにサポーターの皆さまとも一緒に闘うことに対してわくわくしています。これまで瑞穂や豊田で対戦した際に、グランパスのサポーターから誹謗中傷を含むようなブーイングは一切なく、すごくマナーのある、選手としてのブーイングを受けていました。そのようなサポーターとこれからは一緒に闘うこととなりますが、しっかりと後押してもらいたいと思います。そしてゴールの喜び、勝利の喜びを共に分かち合いシーズン終了後には全員が笑顔でいたいと思っています。いまは非常に苦しい状況で、ネガティブな情報にも心配されているかと思います。そのような苦しい時にどう動くかがで人間の本質が見えると思っていますし、ぜひグランパスを愛する多くのファン・サポーターの皆さまには、一緒に闘ってほしいと思っています。