「名古屋グランパスレジェンドプレーヤー新瑞穂スタジアム視察会」レポート

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2026年3月末に完成予定のパロマ瑞穂スタジアム。外観の大部分は完成し、スタンドの座席取り付けやピッチの造成など、改修工事の進み具合はサッカーで言う"試合終盤"に差し掛かりました。

瑞穂公園陸上競技場の整備事業を手掛ける株式会社瑞穂LOOP-PFIさんの「工事の進捗状況を知ってもらいたい」という思いと、「パロマ瑞穂スタジアムの状況を知りたい」というグランパスの思いが一致して、6月23日に「名古屋グランパスレジェンドプレーヤー新瑞穂スタジアム視察会」が開催されました。イベントにはかつて瑞穂スタジアムを沸かせた楢﨑正剛トップチームGKコーチ、吉村圭司トップチームコーチ、玉田圭司トップチームコーチ、中村直志アカデミーダイレクター、三木隆司U-18監督、広野耕一U-18GKコーチ、岡山哲也アカデミースカウトの7名が視察に赴きました。

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現在は搬入場所になっている北口のゲートから、新スタジアムのピッチレベルに足を踏み入れたOBたち。最初に飛び出したのはやはり「おおー」という感嘆の声でした。観客席全体にかかる屋根は"熱狂の渦"を表現しており、自然光を柔らかく取り込む新しい技術が使われています。

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スタンドをぐるりと見渡した楢﨑GKコーチは「シンプルに迫力が増した感じ。屋根があるのはお客さんにとってすごくいいことなんじゃないかな」と語り、玉田コーチは「一体感がより生まれそうな雰囲気になった」と感心した様子。岡山スカウトは「昔の面影もありながら、新鮮な感じもする。ここでプレーするのが楽しみだ」と周囲を笑わせました。

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続いてOBたちが向かったのはロッカールーム。木のぬくもりを感じさせながら、各ロッカーにはコンセントや空調のダイヤルが備えつけられており、近代的な作りになっています。ここでOBたちが気になったのはアウェイのロッカールーム。「中央に柱があり、ホーム側に比べてやや小さいくらい」と説明を受けると、以前のパロマ瑞穂スタジアムでアウェイ側ロッカールームを使用した経験を持つ楢﨑GKコーチと玉田コーチは、「以前のアウェイロッカーは、まさにアウェイの洗礼だったのに」と笑いながら思い出話に花を咲かせていました。

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そしてピッチレベルはもちろん、ロッカールームの様子も熱心にスマートフォンで動画撮影していたのは三木U-18監督。「アカデミーの選手たちに見せて『ここでプレーをするんだぞ』って想像させたい」と、映像で選手のモチベーションを上げる狙いを明かしました。中村アカデミーダイレクターも「来年、この新しいスタジアムでデビューするアカデミー出身の選手を育てなければいけない」と、次代を担う選手たちに思いを募らせていました。

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次に向かったのはスタジアム全体が見渡せる3階の観客席上部。この階はコンコースとなっており、新瑞穂スタジアムのコンセプトの一つとして作られた"8の字ループ"と呼ばれるランニングコースが設置されています。以前は公園の資源や魅力を分断するコンクリートの箱のような構造でしたが、新瑞穂スタジアムはそれを上下に分断し、建物中段の3階に"8の字ループ"を設けることで、試合が開催されない日でも公園とつながった空間として利用されます。ちなみに周囲の公園とスタジアムが一体となったこのランニングコースは、1周で1キロメートルの距離になるそうです。

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最後に正面エントランスでフォトセッションを行いました。「Paloma Mizuho Stadium」の大きな看板が取り付けられており、メインエントランスとして階段を上がってくるグランパスファミリーをワクワクさせる作りになっています。そして外壁に取り付けられた印象的な木材は愛知県産のもので、"8の字ループ"をイメージしたモニュメントも設置されています。

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2020年12月12日の横浜FC戦を最後に改修に入ったパロマ瑞穂スタジアム。「ここで初ゴールを挙げて自信をつけた」(中村アカデミーダイレクター)、「プロ初スタメンが瑞穂で、玉田さんがゴールを取ってくれた」(広野U-18GKコーチ)、「グランパスでの最後の試合でグランパスファミリーが僕のチャントを歌ってくれたことが忘れられない」(吉村トップチームコーチ)など、OBたちにとって数多くの思い出が刻まれた場所であり、もちろんグランパスファミリーにとってもそれは同じことでしょう。

新たな瑞穂スタジアムでは、誰がどのような歴史を刻んでいくのか。そしてグランパス以外にも名古屋のさまざまなスポーツチーム、アスリートがこの場所で躍動するはずです。名古屋のスポーツ文化の中心地として"聖地瑞穂"がどんな姿を見せてくれるのか、楽しみに待ちましょう。

参加者コメント

楢﨑正剛トップチームGKコーチ
瑞穂には工事に入ってからほとんど来ていなかったのですが、外観もある程度見ることができ、「もうこんなにできているんだ」と感じました。陸上競技場と言えば、水回りも含めて古さを感じるスタジアムが多いなか、東京の国立競技場のように新しく生まれ変わる陸上競技場が増えています。アスリートやプレーする選手側からすると、モチベーションが上がると思うので、いいパフォーマンスを見せてくれるのではないかと期待しています。

吉村圭司トップチームコーチ
僕は瑞穂でプロデビューし、初ゴールもここで決めました。多くのけがをしたことも含め、いい思い出と苦い思い出がたくさんあります。いろいろな思いが詰まったスタジアムが新しくなることは、選手にとってすごくうれしいことだと思いますし、モチベーションも上がるでしょう。「グランパスのためにやってやろう」という気持ちにさせてもらえるようなスタジアムだと感じたので、現役選手たちには頑張ってほしいですね。雰囲気も含めて、今の時代を表すような素晴らしいスタジアムになると思います。

玉田圭司トップチームコーチ
僕自身、このスタジアムにはたくさんの思い出があります。選手としてではなく、また違った形でいい思い出を作ることができればいいなと思っています。(以前の瑞穂との違いは)まず外から見る景色が違いますね。雰囲気はもちろん、屋内に入っても違うなと。屋根があることで一体感が作られると思うので、より良い環境でサッカーができると思います。名古屋市全体、愛知県全体を含めて、素晴らしいことができるんじゃないかと思っています。

中村直志アカデミーダイレクター
以前のスタジアムにはいろいろな思い出がありますけど、非常にプレーしやすい場所という印象を持っていました。屋内は本当に近代的でこれまでと印象が異なりますが、我々のホームスタジアムという雰囲気は変わらずありました。すごくいいスタジアムで、ここでプレーできる選手たちをうらやましく思います。

三木隆司U-18監督
スタジアムの周囲には川が流れ、春には桜が咲くスタジアムは、そう多くないと思います。北陸上競技場やラグビー場、レクリエーション広場も含め、たくさんの人が集まるような場所になることを願っています。また、車いす席が300席設置され、トイレもバリアフリーということで、現代社会に即したスタジアムになりそうです。僕は今、高校生年代を指導しているので、今日のことを選手たちに伝えて、このピッチで躍動する選手を一人でも多く育成していきたいと思っています。

広野耕一U-18GKコーチ
久しぶりに瑞穂に来させてもらって、昔のことを思い出しました。僕は出場試合数こそ少なかったですが、それでもやはりこのスタジアムは特別な場所で、すごくいい思い出がたくさんあります。いろいろときれいになりましたけど、昔の面影が残っていると感じましたね。応援席が少し広くなったと聞いて、これまで以上にグランパスファミリーの熱がピッチに伝わるんじゃないかと思います。僕は今、アカデミーに携わっているので、自分が関わった選手がここで活躍する姿を見たいと思います。

岡山哲也アカデミースカウト
僕は以前の瑞穂陸上競技場で育てられた選手で、ピッチに入るとき、特にグランパスファミリーを見る角度、その景色がすごく印象に残っています。以前の瑞穂で岡山はよくシュートを外していましたけど、こんなきれいなスタジアムだったら、選手はシュートを外さないんじゃないかな(笑)。サッカー、陸上、ラグビー、アメフト、野球など、名古屋のスポーツファミリーが集まる場所になっていくんじゃないかなと思います。名古屋という場所で一体感を生み出せるパワースポットになるんじゃないでしょうか。