「2019いきいき今池お祭りウィーク」イベントレポート
9月16日(月・祝)、サポートタウンのひとつである今池商店街の「いきいき今池お祭りウィーク グランパスサポートタウンフェスタ」に楢﨑正剛CSF(クラブスペシャルフェロー)が参加、トークショーを開催しました。
トークショーに先立ち、グランパスチアダンススクールによるダンスパフォーマンスを実施、35度近い真夏のような暑さのなか、元気はつらつとしたダンスと明るい笑顔で会場に爽やかな風を起こしてくれました。
トークショーにはグランパスのホームタウンイベントなどですっかりおなじみとなった佐野俊輔氏(元名古屋おもてなし武将隊二代目 織田 信長)をMCに迎え約30分、現役を引退した現在の活動やゴールキーパーというポジションへの想いなど、ざっくばらんな笑いの絶えないショーとなりました。
みなさんこんにちは、楢﨑です。何年か前にも今池まつりに来させていただき、また戻ってきました(笑)。ありがとうございます。
─ここでは楢さんと呼ばせていただきたいと思いますが、大先輩とはよく食事の席などでもご一緒させていただきますが、以前、高木義成さんや矢野貴章さんと一緒に食事をさせていただい際に、僕がかぶっていた帽子を奪って「お〜い、取れるか?」と、背の高さでいじめっ子のような扱いをされたイメージがあります(笑)。
全然覚えていないです、そんな苦い思い出を全く覚えていません、ごめんなさい(笑)。
─今は名古屋グランパスのクラブスペシャルフェローという立場で、いろいろなところでグランパスを愛してもらうための活動をされています。現役を離れて少し時間が経ちましたが、最近の生活には慣れてきました?
まだ慣れないですね、決まって同じような動き、活動をしているわけではありませんし。最近はこういう話すイベント機会も多くなっていますので、そのあたりは少し慣れました。
─現役の選手の頃は、それほどトークイベントなどの機会もありませんでしたよね?
選手にもいろいろいて、しゃべるタイプ、しゃべらないタイプがいて。僕はどちらかといえばしゃべらないタイプでした。自分のことをあまり知られたくないタイプでした(笑)。
─先ほど控室でも少しお話をさせていただき、現役のころの疲れはもう取れたのか聞いたところ「全く取れていない」とのことでした。やはり、何年もやってきた蓄積は簡単には取れないものなのでしょうか?
現役の時からそうなのですが、自分の体の100%の状態というものがどういうものだったのか、全くわからなくなっています。そのまま現在に至っているという感じです。
─今はスペシャルフェローとしての活動をしながら、ゴールキーパーの育成という部分にも力を入れられているそうですね?
ゴールキーパーというポジションは特殊ですし、自分がこれまでに得てきたものは次の世代に返していかなければいけないと思っています。そういう気持ちがあったので、現在の役職はもちろん、クラブ側も僕にそういう活動を望んでいることもありました。指導現場にも少し行かせていただいています。
─現在のJリーグを見渡すと、海外選手のゴールキーパーが増えてきています。僕自身としては、もっと日本人のキーパーにも活躍して欲しいという個人的な思いがありますが、いまの若い選手たちをどう感じているのでしょうか?
小さい時から、しっかりとした指導を受けて育ってきているということは感じられます。もっと試合で起用して欲しいですね。確かに外国人の選手で評価されている選手もいますが、見てみるとそれほど変わらなかったり、それなら日本人の選手にもチャンスを与えて欲しいと思ったりもしています。
─グランパスもランゲラック選手が中心で守っている以上、あまり大きな声では言えないことですが・・・。
素晴らしい選手がいることで、良い面もあります。それを見て一緒にプレーすることで学ぶことも多くありますし。
─グランパスのアカデミーの選手も教えたり、新しい時代に向けて準備も進んでいるのでしょうか?
来年はアカデミーからもキーパーの選手がトップチームに昇格します。そういう選手が出てきたことは嬉しいです。ただ僕が育てたわけではありません(笑)。
─それでも、若い世代を見にいくことで、熱くなったり愛が伝わったりするのではないでしょうか?
やっぱり熱くなりますよ。昨日もU-18のプレミアリーグがありましたし、U-18は今年クラブユース選手権では初優勝しました。その大会を見に行ったりしましたし、自分が行くことで何かあるとは思いませんが、それでも選手に刺激を与えられるとは思っていました。今年のユースのチームは、前評判としてはそれほど高くなかったのですが、成長する速度が速く、チャンピオンになった姿を見ると純粋に「すごいな」と感じさせられます。
─楢さんのような方から声をかけられることは若い選手にとっても気持ちも上がると思います。将来的には、正真正銘の「俺が育てた」と言える選手が出てきたら嬉しいですよね?
それはもちろん嬉しいですね。
─トップチームについて、シーズン当初は好調でしたが、そこからけが人も重なり苦しい時期が続きました。ぶっちゃけ、現在のチーム状況についてはどう感じているのでしょうか?
それはノーコメントです(笑)。勝てない理由は一言ではいえませんが、そういう問題を吹き飛ばすほどシーズン序盤は強いと感じていましたが、やっぱりチームが一つにならないと勝てません。一つになっていないというわけではありませんし、昨年まで一緒に闘った選手もいて今もすごく頑張っていますが、それだけでは勝てないこともあります。けが人が増えたという問題もありましたが、ここからなんとか盛り返してもらいたいと思います。
─昨年、今年と選手が入れ替わりました。最後は選手自身が選ぶことでもあり風間監督も「プロなので選ぶのは自分、そこで頑張れば良い」と大きな懐で話されていましたが、寂しさもあるのではないでしょうか?
プロの世界なので、入れ替わることはこれまでにも多く経験しています。応援していただいているサポーターの皆さんがどう感じているかは気になりますが、いまも質の高い選手が多く残っていますし、あとは結果だけだと思います。
─JリーグではVAR(ビデオ・アシスタント・レフリー)の導入を来シーズンへと早める検討をされているとの報道があります。楢さん自身はVARという判定の導入された試合を経験されていないかと思いますが、実際にはどう感じられるのでしょうか?
良い部分もあれば、そうでない部分もあると思います。例えばハンドの判定とか、かわいそうに感じる部分もあります。故意でやったわけではないのに、ビデオで見たら手に当たっているということでそれがPKの判定となると、かわいそうに感じる場合も出てくると思います。
─確かに映像を見ればそれが正しいジャッジになるというのは致し方ない、これはスポーツ全体に広がっている風潮だとも思いますし、選手も慣れていくしかないのでしょうか。
いままで、レフェリーへの負担も大きかったと思います。微妙な判定となった場合にレフェリーに対するプレッシャーも大きいと思います。ちょっとしたワンプレーの判定で、試合後にはスタジアム全体がレフェリーの敵になっている場合もありますし、あれを見ると大変だなと思っています。人間ならミスもありますし、導入を含めそれを良い方へ持っていきたいと思います。
─ここからは、イベントに参加されている客席の皆さまから楢さんへの質問コーナーにさせていただきます。何か質問はありますでしょうか?
Q:楢﨑さんはなぜ、身長が高くなったのでしょうか?
なんでですかね・・・隔世遺伝でしょうか(笑)。両親はそれほど大きくはないのですが、考えてみると、おじいちゃんが大きかったです。背が高くなるためのアドバイスはありませんが、好き嫌いなくいっぱい食べ、サッカーをしているならしっかり練習してよく寝る。健康的な生活を続ければ、そのうち大きくなると思います。
Q:ゴールキーパーをやっていますが、キーパーグローブを選ぶ時、何を選べば良いですか?
サイズは知らんよ(笑)自分のサイズで探してみて(笑)。最後に触れるよう数ミリ大きめなサイズを付けるという考え方もありますが、ジャストフィットの方がいいと思います。あまり大きいと扱いにくい、自分の手の感覚が重要ですし。ボールを掴む時には親指と人差し指と小指の感覚が重要だと言われています、誰が言っていたかは知りませんが(笑)。
Q:試合で緊張しない方法はありますか?
ありません、緊張するのが普通です。過度の緊張は良いプレーができなくなりますが、普段からやっている練習で自信をつけ本番に臨む。試合までにこれだけの練習をしたから、あとは知らないという気持ちの準備をして、試合は闘いの場所なので緊張はもちろんしますが、それは悪いものではありません。「人」という字を三回書いて飲むといいとも言いますが、自分はやりませんでした(笑)。
Q:今池の街は好きですか?
すごくハイソな街ですよね(笑)。
下町っぽい雰囲気が好きでよく来ますし、お世話になっているお店も多く、好きな街です。普通に歩いていますが、それほど気にもされませんし。
Q:キーパーとして、これまでにあった失点のなかで「これだけは自分の責任じゃない」と記憶している失点はありますか?
沢山あります(笑)。もちろん全てを止めるつもりで準備し、それを止められなければ自分が悪いという風に思っていますが、途中からはそうすると落ち込んでばっかりだなと思ったり。チーム全体で取り組むことが重要ですし、一度決められたら、次はどう止めようか練習することが大切です。責任という意味では、半分半分。失点の原因は一つずつ辿って分析を、もちろん最後の失点の部分はキーパーの責任となりますが、そこでシュートを打たせたことはどうなのか、クロスを上げさせたことはどうだったのか、その前にボールを奪われたことはどうだったのかなど、いろんなところに責任があり、それがサッカーでは普通のことでそれを改善するための作業を続けることが重要です。
─あっという間に時間が来ましたが、最後にお集まりいただいたグランパスファミリーの皆さんへメッセージをお願いします。
今日は暑いなか、僕のためだけではないと思いますがお集まりいただきありがとうございます。引退してからもこのように皆さんの前でこういう機会が持てて嬉しいです。急に引退を発表したので、こういうイベントなどで皆さんと触れられることが挨拶の機会になります。すでに何度もこういう機会がありますが(笑)、皆さんとお会いできることがありがたいです。今は違う次のステージに向かっていますが、いろんな場所から皆さんに良いニュースを届けられるよう頑張りますので、これからもよろしくお願いします。
トークショー後のプレゼント抽選会では楢﨑氏が抽選箱を引き、事前に配布した抽選券番号から当選された方にタオルマフラーやレプリカユニフォームなどに直筆サインを入れプレゼントさせていただきました。
イベントの最後にはサプライズとして長年、グランパス、そして日本のゴールマウスを守り続けた楢﨑氏への敬意を評し今池商店街、そしてクラウドファンディング企画にて「楢﨑正剛 手型モニュメント」制作を主催する東新商店街の方から花束をいただき、最後はファミリーの皆さまから盛大な拍手で見送られイベントを終えました。