第12回新型コロナウイルス対策連絡会議会見レポート(J.LEAGUE.jpより転載)

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一般社団法人日本野球機構(NPB)と公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)が連携する「新型コロナウイルス対策連絡会議」の第12回会議が、27日に開かれた。

今回の会議では、名古屋グランパス側に陽性判定者3名が確認されたことで26日に中止となった試合が議題の中心となった。

Jリーグの村井 満チェアマンは「昨日中止となりました名古屋グランパスのケースを様々な角度から先生方にご助言をいただきました。大変残念な結果で、皆様にご心配をおかけしている問題ではございますが、本件を糧にさらなる改善に向け努力をしていきたい」とコメントした。

専門家チームからは主に3つの要望、改善点が示されたという。名古屋の事例を直接担当した専門家チームの三鴨 廣繁氏(愛知医科大学教授)は「今後の参考にしていただきたいこと、改善していただきたいこと、検討していただきたいことを述べました」と語り、次の3つのポイントについて提言している。

ひとつ目はチームの移動中の食事について。陽性判定が出た宮原 和也のケースに触れ、移動中に宮原の隣に座っていた選手が弁当を食べたことで、名古屋市の行政側から「濃厚接触もあり得ますよね、というスタンスを示された」という。幸いにもその選手は濃厚接触者には当たらなかったものの、「移動の際の新幹線やバスの中でのお食事は可能な限り避けていただくのが、選手自身、チーム、リーグを守るためにも重要であるとご指摘させていただいた」と語った。

ふたつ目は濃厚接触者のリストアップに関して。名古屋の試合が中止となった最大の理由は、濃厚接触者のリストアップが遅れたこと。宮原の陽性判定を受け、名古屋は25日に選手・スタッフにPCR検査を実施し、同日夜に新たに2人の陽性判定が確認されている。しかし、保健所による濃厚接触者のリストアップは翌日、つまり試合当日となり、特定が困難だったことから、中止に至っている。

中止の決断に関して村井チェアマンは「今回はぎりぎりのタイミングでしたが、試合前までに濃厚接触でないことの確証を得られなかったために、協議を行って判断しました。名古屋はアウェイのチームでしたので、ホーム側のクラブへの影響や移動など、様々な影響を考慮し、中止を判断した」と説明した。

三鴨氏は村井チェアマンの判断を「英断だった」と称えたうえで、「(濃厚接触者の特定が)試合に間に合わないことは今後もあり得る。行政のリストアップが遅れた場合、試合の開催をどうするか。これに関してはマニュアルには記載がなかったので、そういったことをぜひ記載していかれてはどうかと」と、提言したという。

そして3つ目はクラブの自主的な検査体制について。今回、名古屋で8月1日に開催される次節の試合に向けて、二度のPCR検査を実施すると発表している。現在Jリーグでは2週間に一度のペースでのPCR検査を実施しているが、自主的検査の方向性については示されていない。三鴨氏は「今回の事例を参考にして、ぜひ検討に入っていただければ」と、ガイドライン化することを推奨している。

これらの提言を受け村井チェアマンは、次のように話した。まず移動中の食事については「移動中に弁当を食べるのはマスク外すことになる。濃厚接触の入り口に立っているということを改めて認識しておりますので、このあたりは即座に徹底していきたい」と明言した。

濃厚接触者の特定、自主的検査PCR検査については、「どのくらいのインターバルで、どのくらいの数を自主的に検査していくのか。リーグとしてどのようにサポートしていくのか。直前に陽性判定が出て、保健所の濃厚接触が試合開催に間に合うかどうか。ギリギリのところでのガイドラインの見直しは、今日のところでは具体的に最終決定しているものでありません。先生方と連携を取りながら、リーグのほうで取りまとめていただきたい」と、今後の方向性を示している。

なお、当初は8月1日から観客動員の緩和(収容人数50%以下での開催)が予定されていたが、22日に政府がイベントの開催制限緩和を、8月末まで延期すると発表。これを受け、すでに発表されているように、Jリーグでも8月いっぱいは現行のままでの開催となる。

村井チェアマンは「政府のほうから有観客試合における指針が示されました。8月いっぱいまで従来通り5000人以下、もしくは50%以下の少ないほうの方針が示唆されており、野球界、Jリーグもそれをベースとした考え方を踏襲していく」と、改めて明言している。

※転載元:第12回新型コロナウイルス対策連絡会議会見レポート(J.LEAGUE.jp