11/22(火):トレーニングレポート・下條佳明GMコメント
本日、チームは午前11時よりトレーニングを行いました。
温かな陽射しが心地良い、爽やかな秋晴れとなった本日のトヨタスポーツセンター。シーズンが終わってからおよそ2週間が経ちましたが、選手達は来シーズンに向けて、コンディション維持はもちろん、個々のパフォーマンスアップも目的として、積極的に体を動かしています。
穏やかな気候の中、しっかりと体を動かして全身に熱を送った後は、2コートに分かれてミニゲームを実施。局面局面では、激しいボディコンタクトや技ありのシュートなどのファインプレーが見られ、この日観戦に来て頂いたファン・サポーターの皆さんも楽しんだ様子でした。
またピッチのすぐ外には、新たにチーム統括本部ゼネラルマネジャー(以下GM)に就任した下條佳明GMの姿もあり、選手一人一人の動きを真剣な表情で見つめていました。
◇下條佳明GM コメント
─名古屋グランパスのGMとして就任されて、今のお気持ちはいかがですか?
今日の天気と一緒ですね。とても清々しい気持ちでいます。新しいクラブで仕事をやることは私にとっても嬉しいことですし、今はそういう気持ちで一杯です。
─改めて今回のオファーをどのような経緯で受けたのか、話せる範囲でお話し下さい。
私も前クラブを辞めてから、名古屋に限らず色々な方々と会う中で、名古屋グランパスが一番やり甲斐を感じたクラブでした。そういった流れから覚悟を決めてやって参りました。
─チームの状況や今いる選手について、GMの立場から見ていかがですか?
やはり今シーズン、J2に降格してしまったということで、このクラブのほとんどの人が経験したことがないことですし、私自身ありません。ただそれはもう現実として受け止め、新しいエネルギーと良いパワーに変えて、来シーズンに向かっていかなければなりません。先ほども選手達とそういうお話しをさせていただきました。
─選手の反応であったり、面と向かって話してみた感じはいかがでしたか?
選手達は皆さん真摯ですし、しっかりと顔を据えていました。ただ、こういうタイミングですので、気持ちの中に多少のモヤモヤ感があることは間違いありません。来シーズンに向けて自分の中で気持ちをリセットして、リフレッシュして出てくることが大事という話はしましたし、選手達はそういう覚悟の顔をしていました。
─オファーを受けられる中で、グランパスが難しい状況というのはご存じだったと思いますが、やはりそういう部分もモチベーションに繋がっているのでしょうか?
今までの自分の経歴を考えても、やり甲斐があることにはエネルギーが生まれてきます。特にクラブが困難な状況であったり、選手がすごく落ち込んでいる時に励ましたりするのも、もう何年もやっていることです。名古屋グランパスがビッグクラブだからということではなく、降格という初めて経験することを前に「ここからどうしていこうか」という点は、私自身にとってもチャレンジの場だとも思っていますので、そういうエネルギーが湧いてきました。
─来年のチーム編成について、すでにご自身のご意見も反映させた上でのことなのでしょうか?
そうですね。もちろん反映はさせて頂いています。
─来季の選手編成の中で、ご自身が一番ポイントに置いているところはどういった点でしょうか?
今までは当然外から名古屋グランパスを見ていたので、選手個々というよりは、このチームの良い部分は何かを私は把握しているつもりです。長所はより伸ばし、短所は改善に努めていきたいと思っています。
─外からご覧になられて、どこにグランパスの長所と短所を感じましたか?
率直なことを言うと、今シーズンの最後の方はいらぬ緊張感とかで本来のチームの力が出し切れてない感じは受けていました。元来、力のあるクラブなので、そこが少しもったいなかったというのが記憶に新しいところです。結局、そのベースになるのは、ファン・サポーターの皆さんが観ていて楽しい、そして選手もプレーしていて楽しいアグレッシブなサッカーというのを展開していかなければいけません。それは名古屋に限りません。今のサッカーのトレンドを考えればそれがベースにあるので、まずはそういうところに立ち返って、チームの良さを出していくというのが一番だと思っています。
─ご自身の中には、どういったポリシーがあるのでしょうか?
俯瞰力とかバランス力というのは大事だと思います。サッカーは11人だけでやる訳ではありません。みんなが色々なものを共有した中で、連動性を高めてやるのがサッカーだと思っています。戦術も大事、選手のメンタルもフィジカルも大事です。そして新人・ベテラン関係なく、頭の中でサッカーを整理し、学ぶ力を持っている選手も大事です。このような人間が複数いないとチームというのは成長していきません。そういった点を追求していきたいと思います。
私のバックグラウンドには、長期にわたり育成年代に携わってきたという経験があります。若い選手達にはベテラン選手達の背中を見ながらどんどん成長してもらいたいですし、引いては若い選手の成長がクラブの成長にも繋がると思います。また若手選手が成長することでベテラン選手もそのプレッシャーを感じながらまだまだ負けずに頑張ってもらいたいですね。そういう仕組みというのが、クラブ作りのベースだと思っています。よく言われるピラミッドというのを感じながらやっていかないといけませんし、このクラブはそのベースがあると思います。だからこそ活性化していきたいというのは自分の気持ちの中にあります。
─アカデミーの方々との連携にも重きを置いて考えていくということでしょうか?
そうですね。アンダーカテゴリーにも良い選手がいると思いますし、アンダーカテゴリーから入ってきた選手というのは、クラブに対しての忠義心が強い部分もあります。Jリーグの一つの面を見ればホームタウンということもありますし、もちろん選手全員がそれでは逆に弱体化してしまうかもしれませんが、そういう選手達がたくさんいるというのもクラブの使命だと考えています。
─現場の選手ともしっかりコミュニケーションを取っていくのでしょうか?
監督のやることとGMのやることを整理しながらやっていきたいと思います。
─広島の佐藤選手の獲得が発表されましたが、やはりここにも下條GMのご意向があったのでしょうか?
もちろん了承しています。
─横浜F・マリノスを退任されてからどのように過ごされていたのでしょうか?
前職については、シーズン途中に組織変更に伴い退任いたしました。どちらかと言えば今までずっと走り続けてきた生活だったので、良い意味で時間を過ごせたのかなと感じています。これをチャンスと捉え、気持ちをリセットするには有意義な時間だったと思います。
─サッカーとは距離を置いた生活を送っていたのでしょうか?
現場にいると所属クラブの試合ばかり観ていましたが、逆にJ1・J2、そして海外のサッカーを観る時間は今までの比じゃないくらい多かったですね。
─そこから見えてきたものはありました?
再び現場の監督をやったり、育成に携わったり、若い選手達を指導することも一時考えました。そんなオファーも実際にありましたが、よくよく考えてみると、後任を育てるという年齢でもあります。そういった立場から、比較的、若い人たちも育っている現場以上に、GMなどのフロント職というのは人材育成という点でまだまだポテンシャルがあると感じています。日本のプロサッカーにおいて、フロントがしっかりしなければチームの背骨が崩れてしまうというところもあります。しっかりしたマネジメントをやるフロント業は、ある程度の年齢にいかないと出来ないという実感の下で、こういう仕事を選ぶことが私の使命なのかなという思いがあります。
─これ以降の契約交渉は、選手と同じテーブルについて進められるということでしょうか?
基本的には入ろうと思っています。ただ、実際にシーズン通して全ての選手を見ているわけではないので、そういったところは既存のスタッフが進めてくれています。ですから、今後の方向性や考え方については、私から言及していきたいと思っています。
─最後に、来季の目標や今後のビジョンをどのようにお考えになっているか教えて下さい。
色々な方々が、『J1昇格』と言っているわけですけども、それは当然の目標であって間違いないと思います。新戦力でも名前のある選手を取れるということになって来たので、昇格という目標はぶれないと思います。それ以上に僕が推進したいことは、「名古屋グランパスはどういうサッカーをやるのか」という点です。名古屋グランパスはかつて優勝をしたこともありますし、名前のある外国人監督が指揮いたこともある、いわゆるビッグクラブです。でもここ数年は少しファジーな状態になってしまっているので、名古屋らしいサッカーを監督と共に構築していくというのも大事だと思います。難しいのは、サッカーというのはこれだけをやっていれば絶対に勝てるというものは無く、集まった選手達の共通理解を高めながら、まとまりの良いチームを作っていかなければいけないということです。何よりそのスタイルを作っていくことが大事だと思っています。