月刊グラン6月号のご紹介[野上結貴選手インタビュー]
上手くなるために
他人の1・5倍はやってきた
タイトル奪取を目指す名古屋グランパスが、新しい武器をまた一つ手に入れた。
センターバックもウイングバックも高いレベルでこなすDF野上結貴は、得意のフィード力で攻撃にも大きな力を加えている。横浜FCを振り出しにサンフレッチェ広島で蓄えたプロ11年目の実力を、ここ名古屋の地で開花させつつある。
開幕からチームは公式戦13試合で1敗のみ。リーグ戦は2位、ルヴァンカップはCグループの首位を走っている(4月23日現在)。今季広島から加入した32歳の野上結貴は、開幕戦こそベンチメンバーだったが、ルヴァンカップ第1節のヴィッセル神戸戦(〇2-0)で結果を出して長谷川健太監督の信頼をつかみ、センターバックの一角に座った。
―チームとして好スタートを切れたと思いますが、どう感じていますか。
非常にいいスタートを切れたと思います。リーグ戦でもルヴァンカップでも勝ち点をしっかりと積み上げられているので、まあ好調かなと思います。
―右のセンターバックで先発したルヴァンカップの初戦がターニングポイントだったと思います。あの試合はどんな意識で臨んだのでしょうか。
特にこの試合だからという思いはなかったですけど、2次キャンプから個人としても状態が良くなってきていたので、アピールするだけだな、って思って臨みました。
―新加入ということで、1次キャンプは少し難しかったですか。
そうですね、戦術理解のところとか。グランパスは昨年11月に親善試合があったので練習していたじゃないですか。僕はそれこそ広島でシーズンが11月頭に終わって、そのまま休みに入ったので、コンディションの差が多少あったと思います。大学の練習に参加してはいたんですけどね。
―当初は右ウイングバックでしたが、今はセンターバックの右を務めています。「センターバックで勝負したい」というコメントもありました。
センターバックが自分の特長を一番出せるポジションだと思うし、自信を持っていますけど、他のポジションもこなせる自信はあるので、その辺はチーム状況によってで問題ないですよ。それも自分の特長ですから。絶対に嫌だなんてことはないです(笑)。
守備のマルチロールとして、どのポジションも器用にこなす野上は、1991年に東京都杉並区で生まれた。チームでは稲垣祥や長澤和輝と同学年。Jリーグ開幕などでサッカー熱が高まった時代に幼少期を過ごしたが、エリートでは全くなかったという。
―何歳でサッカーを始めましたか。
小学校の1年か2年くらいでしたね。朝学校に行くと校庭で練習をしていたので、それで興味が湧いて小学校のチームに入りました。ポジション的にはFWとかをやっていましたけど、そんなに強いチームじゃなくて楽しくサッカーをするっていう感じのチームでした。
―子どもの時は運動が得意でしたか。
はい。運動するのは大好きで、サッカーと同時進行で野球もやっていました。
―中学時代に所属したワセダクラブForza'02はどんなチームでしたか。
町のクラブチームですね。家から自転車で通える距離のチームでした。地域の子どもたちが集まって関東大会に出られるくらいでしたけど、イメージ的にはFC東京のジュニアユースとか、三菱養和FCの少し下くらいのチームだったと思います。今は結構強いらしいですけど。
―FC東京や三菱養和などの強豪チームに行ってプロになろうという思いはありましたか。
FC東京は受けましたけど、最終選考で落ちました。小学校自体がそんなに強いチームじゃなかったですし、どこかのトレセンに入っていたわけではなかったので、受かるとも思っていませんでした。スクールのコーチに『受けてみないか』と言われたのでテストを受けに行き、最終まで残るとも思っていなかったので、そんなに悔しいという思いはありませんでしたね。
―高校は保善高に進みました。
僕がいたころは東京都の1部リーグにいて、でも成績的にはだいたいベスト8くらいでしたね。Forza'02の指導者が推薦してくれて、家も近かったのでそこに進みました。
―家から近いことは大事ですね(笑)
そこは結構大きいですよ(笑)。でも、そもそも中学時代もそんなに試合に出ていなかったので、帝京高とか成立学園高とか、東京で決勝を争うような高校に行ける状況ではありませんでした。
―試合に出られなくてもプロになりたいという思いは持ち続けていましたか。
いや、正直プロになれるなんて思っていなくて、なれたらいいなくらいの感覚です。
―プロになるために、どんな努力をしてきたのでしょうか。
プロを目指して逆算して何かをやったというよりも、その場その場で上手くなりたいとか成長したいとか、向上心を常に持って目の前のことを一生懸命にやったということだけだと思います。それは他人の2倍とは言わないですが、1.5倍くらいはやってきたかな。
続きは『Grun』2023年6月号をぜひご覧ください。
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