月刊グラン10月号のご紹介[ガブリエル シャビエル 選手インタビュー]
「後半戦になったら変わる」
選手に自信がよみがえった
8月の5試合で21ゴールを叩き込んだ昨季。その中心にいたのはまちがいなくガブリエル・シャビエルだった。7月、ブラジルから猛暑の名古屋にやってきたゲームメーカーは、その後7ゴール14アシストと圧倒的な数字を叩き出し、チームのJ1昇格に多大な貢献をした。そしてJ1にステージを上げた今季も、8月のリーグ戦6戦6勝とチームは絶好調。そしてもちろんその輪の中心には「ピッチに魔法をかける左足」シャビエルが大きな存在感を示している。その好調な要因を語ってもらうためには、苦しかった前半戦から振り返る必要がある。J1とJ2、そして前半戦と8月、プレーヤーの肌感覚として何が一番違っていたのだろうか。
われわれはJ2をギリギリの3位で昇格したチームでした。そうした意味で、もちろん最初から厳しい戦いになるなと思っていました。開幕から連勝できて、すごく良いスタートが切れたと思いましたが、残念ながらそれを継続させることができず連敗が続いてしまいました。何が一番の原因だったかと言うと、J1とJ2のレベルの差があったことはもちろんですが、負け始めて自信をなくしてしまったことなんじゃないかなと思います。J2はスピードで勝負するチームが多くて、体力さえあればその難しさを乗り越えられる時がありました。ですがJ1はそれにプラスしてテクニックがある。クオリティーの高い選手が集まっているので、勝てないうちにチームとして自信をなくしてしまったのかなと思います。
開幕戦はシャビエル、ホーシャ、ジョーとブラジル人トリオの3ゴールで逆転勝ち。第2節もシャビエルのゴールを守り切って1-0で勝利した。シャビエルの存在とブラジルリーグ現役の得点王・ジョーの補強で、グランパスを優勝候補に推す解説者もいたほどだった。しかしJ1は、それこそ生半可なリーグではなかった。3節の湘南戦をスコアレスドローとすると、4節には昨季の王者で、Jリーグの中で最も攻撃的に完成されたチームと評される川崎フロンターレと対戦する。風間サッカーの系譜を受け継ぐ川崎とは「兄弟対決」とも言われた。同じスタイルで真っ向勝負したが0-1と惜敗。そのサッカーには点差以上の開きがあった。そこから徐々に歯車が狂いだす。鳥栖に大逆転で敗れると連敗は8を数え、ロシアワールドカップによる中断期間まで白星を上げることができなかった。
その中断期間でチームは猛烈な立て直しを図る。毎日のように続く二部練習。止める・蹴る・外す・運ぶという名古屋のサッカーを根本から見つめなおした。さらに選手それぞれの走行スピードを計測するなど、科学的な分析を施しフィジカルを強化。チーム内でもトップクラスの数値を出していたシャビエルは、こうした取り組みの中でチームの変化を感じ取っていた。
あの頃はブラジル人同士で『後半になったらすべては変わる』とよく話していました。修正しなければならないところをしっかりと修正していたし、選手たちの顔に自信がよみがえってきた。やっているサッカーもクオリティーが高く、新しく来た選手たちもすぐにフィットすることができた。この中断期間がチームとしてすごく重要で、大きかったと思います。そして自信を持って後半戦に挑めたことが連勝につながりました。新しい選手が入ったのは事実ですが、去年からいた選手たちがベースにいるということを忘れてはいけません。彼らがいなければ自信を深めることはできなかったでしょう。そこに質の高い選手たちがピンポイントで加入した。特に丸山(祐市)選手は日本代表も経験している選手で、非常にうまいし私たちのプレースタイルに合っています。左サイドバックの金井(貢史)選手もすごく活躍してゴールも決めて、チームの勝利に大きく貢献するプレーをしています。シン(中谷進之介)も若いですけどクオリティーが高くて、これからもっと成長していくでしょう。もちろんDFラインが安定したことが、間違いなくチームの勝利に繋がっていると思いますが、今のチームの守備の仕方は、前の選手からスタートしています。みなさん失点シーンでは最終ラインしか見ないと思いますけど、前からのオーガナイズがしっかりできているからこそ、最終ラインが連動できて無失点に抑えられます。そしてそのことが攻撃にもつながっています。
去年の夏もグランパスは輝いていた。
J2というステージながら強力な攻撃陣が相手を粉砕。
その中心には7月に加入し、まさに救世主となった「GX44」ガブリエル・シャビエルがいた。
「GX10」となった今季、前半戦の苦闘を経て、名古屋の夏で再び輝きを放った。
絶対のストライカーをゴールに導き、獅子奮迅の活躍でチームの勝利をサポートする。背番号10の姿は...。
続きは『Grun』2018年10月号をぜひご覧ください。
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