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 ストイコビッチ監督が試合前日に語った「勝つ以外選択肢はない」という言葉を胸に、京都に乗り込んだ名古屋イレブン。そして、この気持ちはサポーターも同じ。この日、試合会場の西京極総合運動公園陸上競技場は、まるでホームと勘違いしてしまうほどの名古屋サポーターで埋め尽くされた。午後1時、両チームの選手達がピッチに入場すると、スタジアムには一気に緊張感が溢れる。
 前半、右エンドのホーム・京都に対し、上下白のユニフォームのアウェイの名古屋は左から右へと攻め上がる。この日の先発メンバーは、GK西村、DFは右から竹内・吉田・増川・阿部の4人。中盤は、右に小川と左にマギヌンの両サイド、中央には中村と山口が並ぶ。そしてFWは、玉田とヨンセンの2人。いつも通り、4-4-2の布陣で臨む。キックオフは、京都ボールでスタート。

 開始早々、玉田からの早いクロスを中央でヨンセンが頭で合わせたボールが枠を捉えるが、惜しくも京都GKの右手に弾かれてしまう。そして、このプレーから得た左CKのチャンス。小川の蹴ったボールがファーサイドへとこぼれたところに詰めていたマギヌンが頭できっちりと押し込んで、名古屋が0分に先制点を挙げて幸先の良いスタートを切る。

 4分、中央を京都・林のボールに京都・角田が抜け出してくるが、増川が早い反応を見せてボールを奪い取る。6分には自陣中央ゴールほぼ正面での京都のFK。京都・林が、壁の足下に蹴ったボールが壁に当たり、こぼれ球を拾った京都・安藤の左足シュートを放つが、ボールはクロスバーの上へ。

 名古屋の4-4-2に対し、京都は3-5-2の布陣で名古屋の得意のサイド攻撃を封じようと試みる。しかし名古屋は、立ち上がりからの積極的な攻め上がりとサイドチェンジが功を奏し、自分達のペースで試合を進める。そして26分。ヨンセンの左に展開したボールを小川が中へと丁寧にクロスを上げる。このボールを、マギヌンがDFのマークにあいながらも左足で技ありのシュートをゴールに決めて、2-0として京都を突き放す。

 この日は先日の代表戦から戻った玉田が、軽快な動きを見せて再三に渡って京都のゴールとDFラインを脅かす。31分、自陣からの縦に出た速いボールに玉田が良い抜け出しを見せたが、これは惜しくもオフサイド。 32分、自陣からマギヌンが持ち上がると、右に上がってくる竹内とのパス交換で深く入り込む。しかし、竹内からの折り返しはタイミングが合わず、誰も触れることが出来なかった。

 33分、右に抜け出すマギヌンに山口から良いパスが出ると、これをゴールラインギリギリまで持ち込んで、ゴール前にラストパスを入れる。このパスに反応して小川が、ニアサイドへとタイミング良く飛び込んだが、ギリギリのところで京都GKが先にボールを捕らえてしまう。
 36分、GK西村のゴールキックに林が飛び込むと、ボールが林に当たってゴール前にこぼれてピンチを迎える。このボールを拾った角田のシュートは、西村が辛うじて枠の上へと弾き出して自らの好セーブでゴールを守る。

 40分、左サイドから京都・渡邉が裏のスペースへと入れたボールに、中央から林が飛び出してくるが、西村が慌てることなく落ち着いたプレーでボールを抑える。ロスタイム、右CKのチャンス。玉田が短くクロスを入れて、小川が落としたボールを玉田が再度ゴール前に入れる。低い弾道のボールを中央で増川が合わせようとしたが、京都DFへのファウルになってしまった。そしてここで前半が終了。名古屋は2点リードを得て試合の主導権を握り、最高の雰囲気で後半へと折り返す。
 エンド入れ替わり、後半は右の名古屋のボールから試合再開。
京都1人目メンバー交代:手島→中谷
京都・加藤監督は3バックの両サイドを突いてくる名古屋の攻撃を跳ね返そうと、角田を右SBに下げて4バックにシステムを変更し、巻き返しを図ってくる。

 1分、中央に入り込んできた京都・林のシュートは吉田が体を張り、こぼれ球を拾った京都・安藤のシュートは増川が飛び込んで、しっかりと正面でボールを弾き返す。3分、右を抜け出してきた京都・柳沢が中央に流し込んだボールは、守備に戻ってきた山口が上手いスライディングを見せてカットする。5分、阿部の縦パスに反応して左を抜け出した山口が、左足で上げようとしたクロスボールがそのまま枠を捉えたループ気味のシュートになるが、ギリギリのところで惜しくも京都GKに捕らえられてしまった。

 11分、自陣左深くペナルティボックスすぐ外で京都FK。林が入れたボールはゴール前でこぼれ、両チーム互いにセカンドボールの奪い合いとなるが、最後は京都・柳沢が浮き球の落ち際をダイレクトに叩いた左足シュートがゴールネットを揺らしてしまい、京都に1点を返されてしまう。

 前半は京都を圧倒していた名古屋だったが、後半立ち上がりから京都の厳しいプレッシャーにボールを簡単に失う場面が目立つようになる。21分、京都が早い仕掛けを見せ、柳沢からのパスを貰ってエリア内へと仕掛けてきた林をエリア内で竹内が後ろから倒してしまい、京都にPKを与えてしまう。そして、このPKの場面、柳沢が左に狙って蹴ったボールをGK西村が一旦はコースを呼んで止めるものの、こぼれ球に詰めた柳沢に再び押し込まれて、ついに2点差を京都に追い付かれてしまう。
25分、京都2人目メンバー交代:林→フェルナンジーニョ
28分、名古屋1人目メンバー交代:中村→杉本

 30分、右に抜け出した杉本が深い位置でDFをかわして中央にパスを流し込む。中央のマギヌンがこれを落としてヨンセンが拾うと、右に走り込んだ小川がシュートを放つが、飛び込んできた京都DFに当たって跳ね返されてしまう。
 31分、左CKのチャンス。小川のボールに増川がタイミング良く入り込むが、京都GKのパンチングに弾かれてしまう。32分、左CKのチャンス。小川のボールがゴール前を横切ってくるが、これには名古屋の選手が誰も触ることが出来ず、京都の選手に当たってしまう。

 後半からシステムを変更した京都の、前線からのプレッシャーに苦しんでいた名古屋だったが、京都の攻撃の起点となっていた林が途中交代したことが流れを取り返すきっかけとなり、再び名古屋がボールを支配し始めるようになる。

 34分、玉田のDFの裏へのパスを杉本が俊足を飛ばして狙いに行くが、これは飛び出してきた京都GKに先にボールを抑えられてしまった。この時、京都GK・水谷が杉本との接触で負傷しピッチ内で時間をかけた治療が行われて、5分以上の長い時間に渡って試合が中断する。

 治療が終わって試合再開、このまま試合が進み45分が経過する。そして、審判から告げられたロスタイムは7分。名古屋にとって、勝ち越し点を奪うには充分な時間が与えられる。

 ロスタイム1、中央をドリブルで仕掛けて行った玉田がエリアの手前でシジクレイに倒されてしまうが、このプレーにファウルの判定はなし。ロスタイム2、京都のペナルティエリアの左深くへ玉田が仕掛けたところでシジクレイに押し倒されるが、ここでもファウルの笛は鳴らない。
ロスタイム3、京都3人目メンバー交代:中谷→西野

 ロスタイムも4分を回ったところで、右サイドを仕掛けた杉本からのアーリクロスに中央で合わせようとしたヨンセンが京都・増嶋にエリア内で倒されると、審判は笛と共にペナルティースポットを指し示して名古屋にPKが与えられる。
 そして、これをヨンセン自らがボールをセット、落ち着いてゴール右にボールを突き刺し、再び名古屋が京都を突き放す。
 ここで名古屋は2人目のメンバー交代で玉田に代え、バヤリッツァを投入して残された時間を有効に使う。

 7分以上のロスタイムが過ぎ、京都・柳沢のシュートを西村が抑えて、ゴールキックを大きく縦に蹴ったところで主審の笛が試合終了を告げる。名古屋は、後半に見違えるような勢いを見せた京都に同点に追い付かれる苦しい展開となったが、エース・ヨンセンのPKで見事勝ち点3を奪取して優勝戦線に生き残った。

 後半の京都に同点とされたことで勝負の行方を全く予想することが出来なかったが、最後は名古屋の攻撃の柱・ヨンセンと選手全員の最後まで諦めないプレーがチームの勝利を大きく手繰り寄せた。残り2試合でもこの気持ちを続けて、最後まで決して諦めない戦いを見せて欲しい。