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灰色の雲が広がり、肌寒さすら感じる日産スタジアム。選手達がウォーミングアップのためピッチに姿を表すと、駆けつけた大勢のグランパスサポーターから大きな歓声と拍手がわき起こる。今シーズンの関東圏の試合では、名古屋からのサポーターはもちろん関東在住のサポーターも加わり、アウェイ側ゴール裏は沢山のグランパスサポーターで埋め尽くされる。ホームチームに負けない声量での応援が、とても心強い。
この日のグランパスは、怪我のマギヌン、そしてカード累積により出場停止となった中村に代わり津田が久しぶりの先発。そしてベンチには、ルーキーの花井が加わった。
昨日行われた試合で首位の鹿島アントラーズが勝利したため、前節まで同勝ち点で並ぶグランパスにとっては、絶対に落とせない重要な試合となったこの日のマリノス戦。アップを終えた選手達は、残り6試合を共に戦うサポーターの前を通り、心強い歓声を受けながらロッカールームへと引き上げた。 |
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照明のともった日産スタジアム。
この日のメンバーはゴールキーパーに、先日のW杯予選でも日本のゴールマウスを守った楢崎。ディフェンスラインは左から阿部、増川、吉田、バヤリッツァ。中盤には左から津田、吉村、米山、小川。そしてフォワードはヨンセンと、同じく先日のW杯予選でゴールを決めた玉田が並ぶ。試合は、メインスタンドから向かって左にエンドを取った横浜F・マリノスのボールでキックオフ。
開始早々、左サイドに入った津田が相手DFにプレッシャーをかけるがボールを奪えず、逆にマリノスのロングボールからCKを与えてしまう。このキックを中央に上がった横浜・中澤にヘディングを許すが、ディフェンスが体に当ててクリア。2分にはヨンセンがゴールまで35m右寄りの位置で倒されてFKを得るが、玉田がゴール前へ上げたボールは横浜DFにクリアされてしまう。
5分、カウンターから右サイドを攻め上がられると、クロスから中央で横浜・坂田にヘディングシュートを打たれるが、枠の外に流れる。続く7分にも横浜にFKを与えてしまうが、このボールはファーサイドへ流れる。
9分、右サイドバックのバヤリッツァが小川にボールを預けてオーバーラップを仕掛けるが、相手DFがボールを外へクリア。
11分、ハーフライン付近でボールを奪った阿部から左サイドの津田へパスが通る。津田は、ヨンセンとのワンツーで突破を狙うが相手にカットされる。しかし、このルーズボールを拾ったバヤリッツァがミドルシュートを打つが相手GKに正面で弾かれる。
立ち上がりの名古屋は中盤からフォワードへのパスが繋がりにくく、逆にそのパスをカットしてからの横浜のカウンターで何度か名古屋ゴール前まで攻め上がられる場面が目立つ。
19分、左サイドを横浜・田中(隼)に破られて中央へクロスを送られるが、このボールはバヤリッツァがクリア。
21分、ペナルティエリア手前でボールを受けた横浜・坂田にミドルシュートを打たれるが、楢崎が正面で弾いて阿部がクリアする。
22分、左サイドで玉田とのワンツーを狙った小川の足下へ横浜DFの激しいタックルが入る。このプレーで横浜・河合にイエローカードが提示されるが、その場に倒れ込む小川には担架が用意されて一度ピッチの外へ出される。
26分、左サイドをあがった阿部が、ふわりと相手DFの裏へボールを上げると、反応した玉田が抜け出そうとするが、相手DFの出足が一歩早くクリアしてしまう。
28分、中盤からのパスを受けた横浜・坂田にまたもシュートを打たれるが、枠の右へと外れる。
徐々にではあるが高い位置でボールを動かし始めた名古屋。しかし30分以降は、中盤で横浜にほとんどのボールを拾われて苦しい展開となる。
32分、サイドチェンジから左サイドを横浜・田中(隼)に上がられシュートを打たれるが、枠の外へ。35分には中盤でのボールキープから最後は横浜・兵藤にシュートを打たれるが、このボールは力がなく楢崎がしっかりとキャッチ。
さらに攻撃を続ける横浜は37分、松田がロングシュートを放つと、楢崎の指先をかすめたボールはポストに跳ね返り、楢崎自身の背中に当たりルーズボールに。一瞬ひやりとするが、楢崎がすばやく起き上がってボールを抑える。
40分には増川が競り合った横浜・坂田に左サイドを破られ、ゴール前で数的不利な状況を作られるが、クロスボールは吉田がクリア。43分、低い位置でボールを奪われたグランパスが横浜・田中(祐)にシュートを打たれるが、ディフェンスに当たり楢崎がキャッチ。44分にはなんとか苦しい状況を打開しようと左サイドを強行突破した阿部からのパスを受けた玉田が、反転してシュートを放つが、相手DFがクリア。
ロスタイムにもカウンターから横浜にCKを与えると、後ろから上がって来た横浜・栗原を捕まえきれず決定的なヘディングシュートを打たれるが、これも楢崎が反応してクリア。チームは難を逃れる。「守りきったと言うよりは、たまたま相手に点が入らなかった」という吉田の言葉通り、0-0というスコアながら圧倒的に攻め込まれた名古屋。アグレッシブな横浜に対して課題を残す前半となった。 |
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ハーフタイムに、相手の猛攻に絶えられず下がってしまったディフェンスラインへ指示を出して、修正を加えたストイコビッチ監督。エンドが変わり、立ち上がりから流れを掴みたい名古屋のボールで後半がキックオフ。
開始早々の1分にはヨンセンのポストプレーから、右サイドをフリーで抜け出した小川がドリブルから中央へパスを出すが、僅かに合わず相手DFにクリアされてしまう。
5分、ヨンセンから中央でボールを受けた玉田がドリブルで仕掛けると、これには横浜・中澤もたまらず後ろからのタックルで止めてしまい、イエローカードが出される。しかし6分、今度は米山が相手カウンターをタックルで止めて、イエローカードを受ける。
8分、バヤリッツァの横パスをカットされ、横浜のカウンターを受ける。この攻撃から栗原に左足でシュートを打たれるが、楢崎が正面でキャッチ。9分、ハーフライン付近の米山から出たパスに津田が反応。左サイドを突破し中央へクロスを上げるが、相手GKが飛び出してキャッチされてしまう。10分、玉田とのワンツーでバヤリッツァがペナルティエリアへ侵入する。バヤリッツァは、ディフェンスに来た相手と交錯して倒されるが、シミュレーションと見なされてイエローカードを受けてしまう。
前半に比べて攻撃の形が作れるようになってきた名古屋。ここでストイコビッチ監督は、いつもより早いタイミングで津田に代えスピードのある杉本を投入。なんとしても先取点を取ろうと攻撃の意識を強める。
そして交代直後の杉本が、左サイドでボールを受けてドリブルから右足でシュートを打つが、枠の外へ。
20分にはその杉本からの折り返しを受けた吉村が右足でミドルシュートを打つが、これは相手GK正面に飛んでしまう。さらに21分、左サイドを持ち前のスピードで上がった杉本が、切り返し右足でゴール前へクロスを上げる。これにファーサイドのヨンセンが頭で合わせるが、しっかりミート出来ず枠の上を超えてしまう。
24分には米山に代え花井を投入し、チームはヨンセンの後ろで玉田、杉本と並ばせる4-2-3-1へとシステムを変更する。26分にはサイドを上がった増川から代わったばかりの中央の花井へ。これをトラップで持ち替え左足でのシュート体勢に入ろうとするが、相手DFと交錯しファールを取られてしまう。28分、横浜のCKから、またも中央でにヘディングシュートを打たれるが、枠の外へ外れる。
31分、左サイドの杉本からパスを受けた吉村が、先のプレー同様にミドルシュートを打つが、相手DFに当たり跳ね返されてしまう。34分、中盤でパスを受けた玉田がドリブルで3人を交わし花井へパス。さらにヨンセンへとパスを狙うが相手DFに僅かに当たってコースが変わり、通らなかった。
35分、名古屋3人目交代:バヤリッツァ→竹内
37分、スローインのボールを受けた花井が、前線へ走り込む杉本へピンポイントのパスを通すが、杉本のシュートは相手GKにキャッチされてしまう。39分、中盤からのパスに横浜・ロペスにシュートを打たれるが枠の外へ。
42分、右サイドをオーバーラップした竹内がクロスを上げるが、相手DFに当たりキーパーがキャッチ。44分、中盤でボールを失うと、横浜のカウンタ−を受けCKへ。ディフェンスが弾いたボールから再度シュートを打たれて決定的な場面を作られるが、楢崎が反応して弾きだす。
僅かの時間となったロスタイムには、ヨンセンが頭で流したボールに花井が反応し、抜け出そうとするが相手DFにクリアされてしまう。
そしてここで試合終了。首位鹿島に離されたくない名古屋と、残留争いから早く抜け出したい横浜の対戦は、ともに勝ち点3を目指しながらもゴール前での決定力が足らずスコアレスドローで終えた。 |
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