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 午後4時を前にして降り始めた雨の影響もあり、湿度が上がって蒸し暑さすら感じる気候の中、サポーターが試合に臨む名古屋の選手達を熱く迎える。

 試合前半は、右にエンドを取るアウェイ・東京Vに対し、左エンドのホーム・名古屋。東京Vのキックオフで試合が開始される。
 今日の先発メンバーは、GK楢崎。DFは、右から竹内・バヤリッツァ・増川・阿部の4人。中盤は、右に小川、左には前節と同じく玉田が入り、中には吉村と中村が並ぶ。そして、FWはヨンセン・巻の長身の2人。いつも通り、4-4-2の布陣だ。

 1分、右サイドでボールキープをしようとした東京V・飯尾に、阿部が厳しく寄せてボールをタッチの外へとクリア。3分、中央で東京V・ディエゴのボールを受けた飯尾が、遠目からシュートを狙ってくるが精度を欠いてポスト左へ流れ出る。現在、勝ち点31、15位の東京Vは、降格圏から少しでもチーム順位を上に押し上げようと、立ち上がりからなりふり構わぬアグレッシブなプレーを見せてくる。

 5分、中央で東京V・平本に縦パスが出るが、バヤリッツァが早い反応を見せてボールを奪う。6分、中央でルーズボールを拾われると、平本にフリーでのシュートを許すが、吉村がさわってポスト右へクリアする。7分、東京Vの右CK。ディエゴの入れたボールがゴール前で大きく浮くが、竹内が頭でクリア。
 8分、左から細かいステップを見せて玉田が持ち込むが、DF3人に囲まれてしまいシュートを打つ事が出来ない。9分、増川の縦パスを巻がスペースへと落とすと、小川が右から抜け出してボールを拾いに走る。しかし、ボールに追い付く前に東京V・土屋にクリアされてしまった。

 11分、自陣で攻め上がりのボールをディエゴに奪われると、中央からシュートを打たれる。そして、DFに当たってボールが浮いたところを、更に平本が詰めてダイレクトでシュートに来たがボールはポスト右へ。13分、自陣中央でのルーズになったボールを東京V・福西が拾って仕掛けてくるが、吉村が体を張った守備をみせる。15分、左からのスローインのボールを受けた平本がそのまま中央へと入って来てシュートに来るが、ボールはポストの左へ流れる。
立ち上がりの名古屋は、後方からヨンセンへと当てたボールを尽く東京Vの選手に拾われてしまい、なかなか自分たちのリズムが掴めない。それに対し、東京Vはディエゴを中心とした早く積極的なテンポの良い攻撃を見せてくる。

 17分、右サイドを中村とのパス交換で抜け出した小川がクロスボールを入れるが、中央でDFがクリアして、左のCKへ。18分、小川のボールを中央でヨンセンが合わせに行くが、DFにボールが当たって枠の外へ弾き出されてしまう。22分、小川が前を向いたタイミングでヨンセン、中村、巻と一気に駆け上がろうとするが、小川が厳しいファウルに潰されてチャンスを作ることが出来なかった。
 31分、右から小川が入れたクロスにヨンセンがヘディングシュートを狙うが、DFが体をピッタリと寄せたため体勢が崩れてしまい、枠へと飛ばすことは出来なかった。

 35分、左の阿部からのパスを右にポジションを変えていた玉田が貰うと、ゴール中央へと走り込むヨンセンにあわせて、絶妙なクロスボールを入れる。ヨンセンは、右足を大きく伸ばしてクロスに合わせるものの、ボールはポスト右へと流れ出てしまい、スタジアムは大きなため息に包まれる。
 そして40分。右からの東京VのCK。ディエゴが左足で蹴ったボールを中央で土屋にヘディングシュートをゴールに叩き込まれ、東京Vに先制点を奪われてしまう。42分、東京V陣内中程左寄りの位置でのFKのチャンス。これを玉田が蹴るが、ボールはゴール正面のディエゴに頭で弾き出されてしまった。

 ロスタイム、左から阿部のクロスに、中央でヨンセン、巻と入り込んで、ボールを待ち受けたが、このクロスはニアポストのDFの頭に跳ね返されてしまう。
 そして、ここで前半が終了。名古屋は、東京Vに1点のリードを許したまま後半に向かうことになった。
 エンド入れ替わり、後半は右にエンドを入れ替えた名古屋のボールで試合再開。ハーフタイムにストイコビッチ監督は、「誰も3ポイントを与えてくれない。自分達で取りに行け。勝ちたい気持ちを出してベストを尽くせ。」と選手達に激しく喝を入れてピッチへと送り出した。

 2分、左で阿部のパスを小川がワンタッチで縦に送ると、これに反応して巻が抜け出すが、オフサイドの判定。3分、左サイド深くで平本の折り返したボールに飯尾が中央でヘディングシュートを狙ってくるが、増川が体を入れてボールを弾き出す。5分、自陣右深くでの東京VのFK。ディエゴが大きく曲げたボールを蹴って、直接ゴールを狙ってくるが、クロスバーの上を越えてしまう。

 6分、阿部のパスをヨンセンが落とすと、拾った小川がワンタッチで縦にパスを送って巻を走らせる。しかし、マークに付くDFにボールをカットされてしまった。前節、浦和相手にリーグ初ゴールとなる同点弾を決めた巻だったが、この日は東京Vの厳しいマークに、思い通りのプレーをさせて貰えない。
 7分、自陣右タッチ際での東京VのFK。ディエゴが上がってきた土屋を狙ってボールを蹴ってくるが、土屋のあわせたボールは大きく枠の外へ出る。8分、中央のディエゴを経由して左に出たボールを飯尾が外からシュートに来るが、楢崎が正面で落ち着いてキャッチ。

 10分、左からの東京VのCK。ディエゴのボールの落ち際をまたしても土屋に頭で狙われるが、シュートはクロスバーの上。11分、ここで名古屋は巻に代えて杉本を投入。なかなか自分達のものに出来ない流れを引き寄せようと杉本のスピードに賭ける。
 12分、東京V陣内中程左でのFKのチャンス。小川が精度の高いボールを蹴り入れるが、走り込んだヨンセンと増川は触れる事が出来なかった。更にこぼれ球を中村が拾って右に展開すると、杉本がゴール前にクロスを入れたが、ヨンセンの頭へ届く前にGKにキャッチされてしまった。

 14分、右から吉村の鋭い縦パスに玉田が抜け出すが、トラップしたボールが流れてしまい、ゴールラインを割ってしまった。15分、東京V陣内左中程でのFKのチャンス。小川がゴールに向かうボールを蹴ると、遠いサイドでヨンセンが飛び込むが、その目の前でGKがボールをキャッチしてしまう。
 18分、東京Vのペナルティ内で阿部が粘ってボールをキープし、ゴール前にクロスを上げたが、ボールが大きく逆サイドへと流れてしまった。
 21分、東京Vは1人目のメンバー交代で、前半から飛ばしていた飯尾に代えて廣山を投入し、逃げ切り体制に入ってくる。

 22分、小川、吉村と中央で繋いだパスを左で受けたヨンセンが右足でコントロールしたシュートを放つが、惜しくも右に飛んだGKに捕らえられてしまい、得点のチャンスを逸してしまう。
 25分、阿部からのパスをヨンセンがヒールでスペースへと流したボールを小川がすぐに縦に送って玉田を走らせるが、足下にボールが収まる前にDFの足に阻まれてしまった。26分、中央を抜け出したヨンセンの右足のシュートは相手GKの正面を衝いてしまった。
 ここで名古屋は、2人目のメンバー交代枠を使い竹内に代えて藤田を入れる。そして監督は、ディフェンスを3バックにして、前に攻撃の人数を増やした。

 28分、右からのCKのチャンス。玉田の入れたボールをゴール前でバヤリッツァが合わせに行くが、枠へと押し込むことは出来なかった。30分、阿部からのクロスを中央で受けた玉田のシュートはDFに跳ね返されてしまう。さらにこぼれ球を繋いだ玉田が、今度は自ら中へと蹴り入れる。すると、雨の影響からかGKがこのボールをファンブルし、こぼれたところを藤田がワンタッチでゴールに流し込もうとするが、GKの正面を衝いて止められてしまう。
 33分、東京V2人目メンバー交代:柴崎→荻村

 ホームサポーターの大声援を背に、ようやく名古屋がボールを持つ時間帯が増えて次々と東京V陣内に襲いかかるが、相手も前半で挙げた虎の子の1点を持って逃げ切ろうと、ディエゴ、平本等を前に残し、殆どの選手が自陣を固める守備固めに入る。

 33分、右の杉本が入れた鋭いボールをニアサイドに詰めた中村が足を伸ばすものの、触れることが出来ない。
 34分、名古屋は3人目の交代で、玉田に代えて吉田を前線へ投入するパワープレーで最後の勝負に出る。
 35分、中村が左へと展開したボールを小川が落とすと、ヨンセンが躊躇無く左足でシュートを放つが、DFに当たってコースが変わってしまった。
 36分、左からの阿部のクロスに中央で待ち構える吉田がヘディングシュートを狙が、その前でDFがカットしてしまう。38分、右からのCKのチャンス。しかし小川の蹴ったボールは、ゴールを大きく越えてしまった。
 39分、東京Vは3人目メンバー交代で福西に代えて富澤を入れる。

 42分、東京V陣内深く左、ペナルティエリアすぐ外で杉本が倒され、絶好の位置でのFKのチャンスを得る。しかし、この場面で小川の蹴ったボールは、ゴール前で守備を固めた東京Vの守備に阻まれてしまい、惜しいチャンスを逃す。
 44分、右から中村の入れたクロスに吉田がヘディングで枠を狙うが、シュートはポストの右へ流れ出た。そして、ここでロスタイムが表示され、「5分」という掲示にスタンドからは、ゴールを願う応援の声や歌がより一層大きくなる。
 ロスタイム1、小川が東京V陣内左深くで、縦に仕掛けよう落としたところで倒され、好位置でのFKのチャンスを得る。早いリスタートから繋いだボールを阿部が早めに放り込むと、吉田が頭で狙ったが枠を捕らえる事は出来なかった。

 ロスタイム2、もはやこれまでかと思われた終了間際の右CKのチャンス。小川の狙い澄ましたボールに中央で合わせたのはヨンセン。この渾身ヘディングシュートがクロスバーを叩きながらも、東京Vのゴールを見事に捕らえ、ついに名古屋が同点として試合を振り出しに戻す。
 ロスタイム3、右サイドを持ち上がったバヤリッツァが縦に走る杉本にスルーパスを送るが、これは追い付く前にゴールラインを割ってしまった。そして東京V・土肥がゴールキックをしたところで試合終了を告げる長い笛がスタジアムに鳴り渡る。

 土壇場で同点に追い付く粘り強さをみせた名古屋だったが、惜しくも勝ち点1ずつを東京Vと分け合うこととなり、首位の座に再び返り咲くチャンスを逃す結果となってしまった。