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午後7時の上空はすっかり夕闇に包まれ、上位チーム間の対戦を待ち望む両チームサポーターで満員に埋め尽くされた万博記念競技場。そのピッチにメンバーが登場すると、その瞬間にスタジアムは、それまで少し抑え気味だった声援が堰を切ったように溢れ始める。この日は、およそ1300人もの名古屋サポーターが大阪まで詰めかけ、アウェイ側のスタンドから力の入った声援を送り届けている。
 左エンドのホーム・G大阪に対し、右エンドの名古屋。前半はガンバのキックオフで試合開始。
 この日の先発メンバーは、GK・楢崎、DFは、右から竹内・バヤリッツァ・増川・阿部の不動の4バック。中盤は、右に小川、左にマギヌンの両サイド、ボランチは中村と吉村、そしてFWはヨンセンと玉田の2人。これまで通り4-4-2の布陣だ。

 1分、右タッチ際のルーズボールを拾った中村が縦にパスを出すと、小川がパスを受けに走る。しかし、ガンバDFが先にクリアしてしまった。3分、中央でボールを持った吉村が、左を上がってくる阿部にボールを預ける。すると阿部は、マギヌンに当ててさらに縦に仕掛けようとする。しかしガンバ・橋本が、マギヌンへの厳しい寄せを見せ、ボールはタッチを割ってしまった。5分、縦パスにガンバ・ロニーが裏のスペースへと抜け出してこようとしたが、バヤリッツァと増川がしっかりと挟み込みボールを楢崎に抑えさせる。

 6分、ガンバ陣内中程右寄りでのFKのチャンス。玉田が直接ゴールを狙って、鋭く左足を振り抜く。しかし、このキックはガンバGKの正面を衝いてしまい、パンチングでクロスバーの上へと弾き出されてしまった。7分、右CKのチャンス。小川が蹴り入れたボールを中央でヨンセンが競るが、前に出たガンバGKに弾き出されてしまう。8分、左に上がってくるガンバ・下平がゴール前へとクロスを入れてくるが、阿部が先に体を入れてきっちりと頭でクリアをする。

 そして10分。右サイドのタッチ際で玉田が縦に入れたボールを奪おうとしたガンバ・下平からマギヌンがボールを奪って上手く抜け出す。するとマギヌンは、そのまま縦に仕掛けて逆サイドからフリーで入り込んで来る小川へ柔らかなパスを送る。これを小川が、頭で丁寧に合わせたシュートがガンバのゴールネットを揺らし、名古屋が早い攻撃から幸先の良い先制点をガンバ相手に挙げる。

 13分、ガンバ陣内右のエリアで玉田と小川が早いパス回しを見せてガンバDFを翻弄するが、DFの裏に玉田が抜けようとするところでファウルを取られてしまった。15分、中央のガンバ・遠藤からのパスを左の下平がゴール前へとダイレクトでパスを入れてくるが、増川が先にコースへ入り頭で外へと弾き出す。
 17分、自陣右サイド深くでボールをキープしようとしていた増川が、ガンバ・ルーカスにボールを奪われると中央のロニーへとクロスを送られてしまう。しかしロニーがダイレクトで狙ったボレーシュートは、楢崎が左に飛んできっちりとボールを抑えゴールマウスを守った。

 20分、中央で遠藤からパスを受けて前を向いたロニーが、遠目から抑えの効いたシュートを放ってくるが、楢崎が落ち着いたプレーを見せてボールをしっかりと正面で捕らえる。21分、ゴール正面でのルーズボールを拾ったロニーが、シュートにくる。しかし、ここでも楢崎が正面でこれを弾きゴールを死守した。
 代表からチームに戻った玉田は、相性の良い小川と共に華麗な個人技でガンバのDFを苦しめる。22分、自陣から長い距離をドリブルで上がる小川が、右に上がる玉田に当てて中央へと入り込む。そして小川は、玉田からのパスを受けるが鋭く寄せてくるガンバDFをかわしきることが出来ず、苦しい態勢で強引に狙ったシュートは惜しくもガンバGKの正面を衝いてしまった。

 24分、左でボールを持った阿部が、前のスペースが空いたところを狙って、意表を突いた強烈な無回転のシュートを放つ。すると、これをガンバGKが正面で止めるもののファンブル。そこへすかさず玉田が詰めるが、ボールに触れる前にクリアされて、チャンスをものにすることは出来なかった。
 27分、右からのガンバのCK。遠藤のゴール正面へのボールは増川が高い打点で、しっかりとクリア。28分、右に開いていた小川の前のスペースに相手のクリアミスのボールがこぼれてくる。小川は、すぐにこれを持ち上がってゴール前へとクロスをあげたが、詰めていたヨンセンまで届かせることは出来ず、ガンバDFにカットされてしまった。

 32分、左サイドへと流れるルーカスに、中央の遠藤から絶妙のタイミングでパスが出されるが、このパスをしっかりと読んだ中村がインターセプトする。34分、ガンバの左CK。遠藤の右足からのボールに、ファーポストのガンバ・中澤が頭で合わせてくるが、竹内がしっかりと体を入れてポストの外へとボールを弾き出す。
 37分、寄せてきた玉田にボールを当てて、右サイドから真ん中へと入っていったマギヌンだったが、トラップしたところを狙われてしまい、惜しいチャンスを逃してしまう。40分、ガンバ陣内の左寄り、ペナルティエリアすぐ外の好位置でFKを得る。小川がゴールを直接狙って蹴ったボールは、壁の選手に外へと弾かれてしまう。こぼれ球を中央で拾った阿部が、またしても強烈な左足からのシュートを放つが惜しくも正面を衝いてしまう。

 41分、ガンバの右CK。遠藤がゴール前で落ちるボールを蹴ってくるが、日本代表ではチームメイトの楢崎がすかさず前に出ると、正面でガッチリとボールを抑えた。43分、左サイドを上がってくる下平がマイナスにボールを入れ、下がり目にポジションを取っていたルーカスにパスを出そうとするが、中村とバヤリッツァが厳しい寄せでボールをカットした。

 ロスタイム、右サイドを抜け出したガンバ・加地が、中を狙ってあげてこようとしたボールは、マークに付いていた阿部がしっかりと体を入れて、ボールを跳ね返す。そして、ここで前半が終了。立ち上がりの得点で流れを掴んだ名古屋が、終始しっかりと集中した試合運びを見せた。
 エンド入れ替わり、後半は左エンドの名古屋のボールから試合再開。ハーフタイムのロッカールームで、ストイコビッチ監督は「立ち上がり5分は100%集中するように」とアドバイスを与えて、選手をピッチに送り出した。

 1分、橋本から中央へ出されたパスにロニーが走り込んでくるが、追走した増川がしっかりと足を入れてボールをカットした。2分、左のマギヌンが縦に走るヨンセンへとパスを出すと、左サイドに流れたヨンセンが再びマギヌンへと折り返そうとするが、ガンバ・中澤の早い寄せでボールをカットされてしまった。4分、玉田が縦にドリブルで仕掛けて入り込んでゆこうとしたが、ガンバ・山口に体を入れられてしまいボールを奪われてしまう。
 前半は、玉田を中心に良いリズムで試合を進めていた名古屋。しかし、後半に入ると持ち前の早いパス回しを見せ始めたガンバに押し込まれてしまう。

 5分、右サイドで加地の落としたボールを拾って、大きく左サイドの下平へと繋ごうとした橋本だったが、サイドを変えたボールは精度が低くゴールラインを直接割る。6分、左タッチ際でマギヌンが玉田との早いパス交換で抜け出そうとするが、激しい当たりに潰され、縦への突破を阻止されてしまった。後半のガンバは、前半よりスピードアップした攻撃を見せるだけでなく、局面での球際の厳しさも見せるようになり、名古屋にとって苦しい時間が続く。

 11分、左サイドのマギヌンからのクロスに、中央でDFを背負いながら狙ったヨンセンのヘディングシュートは惜しくもポストの右へ流れ出てしまう。13分、カウンターから中村が玉田に当てて中央を抜け出すと、玉田から良いパスを引き出す。しかし中村が、フリーで狙った右足シュートは惜しくもクロスバーを越えてしまった。
 15分、ガンバ陣内中程右寄りでのFKのチャンス。玉田が壁を越えるボールを蹴るが、前に出たガンバGKが正面で捕らえてしまった。

 16分、左に抜け出してきた下平のクロスに中央でロニーが強烈なボレーを放つが、日本代表GKの楢崎が正面でガッチリと捕らえた。17分、ここでガンバ・西野監督が勝負を仕掛け、二川と下平の2人に代えて、播戸と寺田を投入してくる。
 19分、 中央で橋本の縦パスを受けたロニーが、体を上手く入れ替えると遠目からシュートを狙って来るが、枠を大きく外れた。20分、途中からやや下がり目にポジションを変えて、ボールを持つ時間が増えはじめたルーカスが、受けたボールを縦に走る播戸とロニーの間を狙ってグラウンダーのパスを出してくる。しかし、前半から高い集中力を保っているバヤリッツァが、きっちりと読んでカットした。

 21分、右からのガンバのCK。遠藤のニアサイドを狙ったボールは、ヨンセンが頭で弾き出した。23分、阿部を振り切って抜け出してきた加地から、ゴール前へとクロスを上げられるが精度を欠き、飛び出した楢崎が難なくボールを捕らえた。
 24分、名古屋が1人目の交代で、玉田に代えて山口を投入する。

 25分、右で縦へボールに飛び込んだ阿部の体に当たってこぼれ出たボールを、加地がそのまま縦に持ち上がってこようとするが詰めた吉村がボールを体に当てて跳ね返す。26分、左タッチ際でルーカスが長い距離を持ち上がってくるが、中村、吉村、そして山口が厳しい守備を見せて追い込むと、難なくボールを奪い取る。
 28分、右で竹内からの縦パスを受けたマギヌンがカウンターで上がると、中央に走り込む山口を狙ってパスを送ろうとしたが、ガンバDFの網に掛かって奪われてしまいカウンターのチャンスを逃してしまった。

 この時間帯は、遠藤を中心に圧倒的なボール支配をガンバが見せて、名古屋はなかなか相手のボールを奪うことが出来ず、自陣での苦しい守備の時間を強いられる。30分、左に開いたガンバ・寺田がゴール前へと狙い澄ましたクロスボールを入れてこようとするが、山口が体をしっかりと入れてボールを弾き返す。31分、中央をカウンターで抜け出した中村が、左から上がってくる小川のタイミングに合わせて、丁寧にパスを送る。しかし小川は、戻ってきたDFの厳しい寄せに囲まれてボールを失ってしまった。

 32分、中央をカウンターで抜け出したマギヌンが上がろうとするが、追走するDFに体を入れられると、ボールを失ってしまう。
 33分、名古屋は2人目の交代で、マギヌンに代えて米山を投入。ガンバの攻撃を跳ねすため、米山の落ち着きと球さばきの巧さに期待する。
 35分、左タッチ際で縦にガンバ・明神が突破を図るが、山口が厳しい寄せを見せてボールを奪い取る。
 38分、ガンバ3人目メンバー交代:中澤→山崎、名古屋3人目メンバー交代:ヨンセン→巻
 両監督は、この時間帯が勝負所とばかりに3人目のカードを切る。

 40分、左からカウンターで抜け出した小川が一気に持ち上がると、中央に詰めてきた巻へとパスを送る。そして巻が、中央でボールを落として味方の走り込みを待つが、その前にガンバDFにボールをクリアされてしまい、惜しい追加点のチャンスを逃してしまった。
41分、右から加地が長い距離を持ち上がってくるが、待ち受けていた阿部がしっかと体を入れてボールをカットする。43分、左に流れ出たルーカスがクロスを上げようとするが、バヤリッツァが鋭い読みを見せてボールを跳ね返した。

 ロスタイム1、左からのガンバのCK。遠藤の入れたボールは中央の巻が頭でしっかりと弾き出した。ロスタイム2、ルーカスのスルーパスにガンバ・山崎が中央を抜け出してくるが、その前に体を上手く入れた竹内がクリアする。ロスタイム3、左からガンバのCK。短く出したボールを遠藤が中へ放り込んでくるが、ボールに抑えが効かず大きく流れてポストの右へ流れる。ロスタイム4、ガンバの右からのCK。寺田の蹴り入れたボールは中央で中村がクリア。ガンバは、こぼれ球を拾ってゴール前へと放り込んでくる。しかし詰めていた巻が、正面で縦に弾き出したところで主審の笛が万博の夜空に鳴り響いた。名古屋は、前半に上げた1点をガッチリと守りきって、アウェイの万博競技場でガンバから久し振りの勝ち点3を奪い取った。

 これでチームは堂々の4連勝。“勝利へのメンタリティー”が問われる大事な試合だったが、最後まで全員が集中したプレーを見せてガンバの攻撃を尽くはね除け、名古屋らしいハードワークを見せて首位を守った。
 試合開始から気合いの入ったプレーを見せ続けた選手達に対し、試合後の会見でストイコビッチ監督は「選手達は、最後まで素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた。監督として、今日の選手達の戦いには大いに満足している。技術面、戦術面、全てで満足のいくものだった。」と賞賛を惜しまなかった。