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 8月も終盤に入ると日が短くなり始め、午後7時を前にスタジアム上空は暗闇に包まれる。スタジアムの周辺から聞こえる虫の声も秋の様相をみせるが、スタジアムの雰囲気はまだまだ夏真っ盛り。スタンドからは先週末の鹿島との激戦を制したチームへの大きな期待が寄せられ、清水エスパルスとの試合を前にサポーターの声援は早くから熱く盛り上がっている。

 そして、午後7時にサポーターの声援を一身に受け、両チームイレブンが入場をする。今日の名古屋の先発メンバーは、GKは楢崎、DFは竹内・バヤリッツァ・増川・阿部の4人。中盤は右サイドに小川、左サイドは出場停止から戻ってきたマギヌン、中は中村と吉村が並び、FWは玉田とヨンセンの2人、いつものように4-4-2の布陣だ。
 前半は、右エンドに位置どるアウェイの清水に対し、左エンド名古屋のキックオフで試合開始。
 2分、左から持ち上がった阿部のゴール前へのクロスボールは清水GKが正面でキャッチ。4分、右に出たボールを受けた小川に合わせて中央にヨンセンが上がる。しかし小川のクロスは、ヨンセンの目の前で清水DFが弾き出してしまう。

 そして6分。左から強引にエリア内へとボールを持ち込んできた清水・岡崎を捕まえきれず切り返しを許してしまう。名古屋は、岡崎が西澤に一度ボールを預けて落としたところを、再びボールを受けた岡崎に素早いシュートを決められてしまい、清水に立ち上がり早々に先制点を許してしまう。名古屋は鹿島戦に続き、またしても最も注意をしなければいけない立ち上がりの時間帯で失点をしてしまう。

 7分、阿部の背後を追い抜いて上がった吉村が、ゴール前へクロスを入れてゆこうとするが、DFに当たってしまい中央に詰めていたヨンセンには届かなかった。9分、中央でボールを受けた玉田が前を向くとすぐさま左サイドに展開、マギヌンが早めにゴール前へと上げてヨンセンを狙うが、清水GKのパンチングにボールを弾き出されてしまう。

 12分、中央でボールをフリーで持った清水・西澤が左足でミドルシュートを放って来るが、ボールはポストの右へ。13分、中村がダイレクトでゴール前へのクロスを狙うが、ボールが風に乗って予想外に伸びタッチを割ってしまう。
 16分、右からの清水CK。清水・兵働のボールは中央で増川が落ち着いてクリアする。
 18分、左でヨンセンからのパスを受けた小川が勝負を仕掛けるが、清水DFに体を入れられてボールを失ってしまう。

 20分、自陣からのカウンターでヨンセンが中央を上がると、右に上がる玉田にボールを預けて中へと走り込む。玉田は中へと切れ込んで清水DF裏のスペースへと出すと、左から走り込んだマギヌンがシュートを狙うが、マークの清水DFに体を抑えられてしまいボールに触れることは出来なかった。

 22分、右CKのチャンス。玉田がキッカーを務めるが、ボールは飛び出した清水GKの左手に弾き出されてしまう。
23分、清水陣内深くの左サイドでボールを持った小川が、マークについていたDF2人を素晴らしい個人技でかわして抜け出すと、左足で鋭いボールをゴール前に入れる。そして、このボールを清水GKが弾いてゴール前へとこぼれたところへ中央に走り込んだ玉田がダイレクトで叩き込み、豪快な同点弾を決める。

 27分、竹内のサイドを変えたボールを左でマギヌンが落とすと、そばにいた玉田が右足でシュートを放つが、コースに入った清水DFに当たってしまう。30分、右から持ち上がってきた清水・市川が中へと入り込んだところでシュートを放ってくるが、増川に当たったこぼれ球を楢崎が飛び込んで、しっかりと抑える。

 32分、中央の玉田から左サイドを上がってくるマギヌンに絶妙のスルーパスが通ると、一気にゴール前まで持ち込む。しかし、ペナルティ内でもうワンタッチでシュートというところで寄せてきたDFにボールをカットされしまった。
 35分、中央の玉田から右に抜け出すマギヌンへとパスが通ると、持ち上がって右足でゴール前へとクロスを上げる。逆サイドから再び飛び込んで来た玉田が、左足のダイレクトでゴールを狙ったシュートは、飛び込んだ清水GKの正面を衝いてしまった。
 36分、清水ゴール正面でこぼれたボールを増川が強烈なシュートを放つ。しっかりと枠を捕らえたシュートだったが、惜しくもGKの反応にゴール左へと弾き出されてしまった。39分、清水陣内中程右寄りでのFKのチャンス。玉田の蹴った低いボールを中央のヨンセンがワンタッチでコースを変えたが、ボールはDFに当たってしまう。更にこぼれ球を中村がミドルシュートを狙ったが、ボールがDFに当たって弾かれてしまった。

 41分、中央で清水・枝村の放ったシュートがバヤリッツァに当たって大きく浮いてしまうと、楢崎の頭上を抜けて枠を捕らえるが、戻ってギリギリでジャンプを見せた楢崎が片手でボールをクロスバーの上へと弾くファインセーブを見せて、ゴールを守る。

 ロスタイム、中盤でのルーズボールを拾った中村がゴール正面に詰めているヨンセンの頭に合わせてボールを入れるが、競り合って左へとこぼれたボールには誰も反応することが出来ない。そしてここで前半が終了。立ち上がりの失点で清水にリードを許したが、好調・玉田の同点ゴールで1-1とし、試合を振り出しに戻して後半に向かう。
 エンド入れ替わり、後半は左エンドの清水のボールから試合が再開する。
 清水1人目メンバー交代:西澤→矢島
 名古屋は、早い時間で勝ち越しをしようと臨んだ後半戦。しかし開始1分とたたないところで、代わって入った清水・矢島に強烈なミドルシュートを決められてしまい、再び清水にリードを許してしまう。3分、清水陣内左深くで仕掛けようとした玉田が倒され、絶好の位置でFKを得る。これを小川がゴールに向かうボールを蹴るが、中央で清水・青山に弾き返されてしまう。

 4分、左から阿部の入れたクロスボールを中央で清水GK・西部がファンブルし、ボールが右に詰めていたマギヌンの目の前へと落ちてくる。そしてマギヌンが、頭でダイレクトに狙いすましたシュートを清水ゴールへとねじ込み、名古屋は2度の清水のリードを追い付き、再び試合を振り出しに戻す。

 さらに7分。清水陣内中央でヨンセンからのパスを受けて仕掛けようとした玉田が厳しいチェックに倒され、ゴール正面の好位置でFKを得る。そして、このFKを玉田がダイレクトでゴール右隅に決め、ついに名古屋が3-2と清水を突き放す。

 10分、中央を抜け出した中村から左に上がる小川へとパスが通ると、丁寧に左足でゴール前へと上げる。逆サイドからヨンセンがこのボールに飛び込むが、その目の前で清水DFがボールに触り惜しくも追加点を挙げることは出来なかった。
 11分、清水陣内深くで、右に開いた玉田からの縦パスを受けた竹内がマイナスに折り返すと、上がっていた増川が触れたボールがゴール正面のヨンセンの足下にこぼれる。ヨンセンは、これを押し込もうとしたが先に清水GKに抑えられてしまった。

 15分、右サイドを上がってきた清水・市川からゴール前へのグラウンダーのボールに清水・矢島がワンタッチで押し込もうとしてくるが、飛び込んだ楢崎がボールをしっかりとボールを捕らえると、スタジアムが大いに沸き返る。
 19分、中村の右からの縦パスに小川が抜け出そうとするが、清水DFが体を入れてしまい縦への突破を阻止されてしまった。20分、自陣中程左寄りでの清水のFK。兵働のゴールに向かってくるボールには、詰めていたヨンセンが頭で弾き返す。
 22分、名古屋1人目メンバー交代:マギヌン→杉本
 23分、清水2人目メンバー交代:兵働→山本

 25分、自陣の楢崎からのボールを杉本が頭でスペースへと落として自ら仕掛けてゆこうとするが、ここは両側から挟み込んだ清水DFにボールを奪われてしまった。26分、自陣で相手パスをカットした杉本がそのまま縦に仕掛けると、中へと切れ込んだところで遠目からのシュートに行くが、ポスト左へ流れてしまった。
 28分、左から阿部が入れたボールを小川が頭で折り返そうとするが、DFにしっかりと寄せられてしまいクロス上げることが出来なかった。29分、自陣中央ゴール正面の位置でボールを持って前を向いた清水・マルコスがミドルシュートを放ってくるが、これはクロスバーの上へ。

 30分、名古屋は2人目のメンバー交代で、中村に代え山口を投入する。
 33分、清水3人目メンバー交代:マルコス→原
 36分、自陣中程で繋いだボールを清水・山本がシュートに来るが、シュートコースに増川が入ってボールを弾き出す。

 37分、名古屋は最後の交代枠で玉田に代えて米山を投入。中盤の守備を強化しながら、前線の杉本のスピードをいかしカウンターを狙う、いつもの必勝パターンへとシフトをチェンジする。直後には右からの清水CKのボールに、ファーポストの青山が反応してヘディングシュートを許すが、ボールはクロスバーを越える。
 40分、自陣でボールを奪った山口が大きく前線へとボールを蹴り出すと、これを左で受けた杉本がペナルティエリア内へと持ち込むが、ボールとの間に体を入れた清水DFに縦への突破を阻止されてしまう。43分、自陣左深くでの清水のFK。山本のゴールへと直接狙ってきたボールは、楢崎がパンチングで跳ね返した。

 ロスタイム、ヨンセンの落としたボールを阿部が大きく縦に蹴り出し、これを杉本が受けて前に仕掛けようとするが、これはオフサイドに。ロスタイム、米山が中央からDFの裏へ絶妙のスルーパスを出す。これにタイミング良く抜け出した杉本がDFをかわすと、飛び出してきた清水GKもかわしてたところで右足でシュートを放つが、体勢が崩れてボールは左に流れてしまい、惜しくも枠を捕らえることが出来ず追加点を挙げることは出来なかった。

 そして、3分のロスタイムを経て、自陣から縦に大きくボールが出たところで主審の笛の音が瑞穂の夜空に鳴り響いた。
 「ここまで神戸、鹿島との対戦で2連勝したが、今日のゲームはもう一度、我々の力を確認する場だと思っていた。鹿島に勝ったことは重要だが、今日の試合で負けていればその意味も無くなるところ。そういう点で、今日の試合に勝ててとても嬉しい。」と試合後に周りをはばかることなく、この日の勝利の喜びを語ったストイコビッチ監督。

 前・後半ともに立ち上がりでの失点で、常に清水を追いかける苦しい展開となってしまったが、アウェイ・鹿島での勝利で得た自信を武器に、名古屋が勝負強さを見せた。そして見事3連勝を飾ると、この日の試合で引き分けた浦和を押しのけて、勝ち点42で首位へと躍り出た。