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午後3時のキックオフを直前に控えた埼玉スタジアムは、4万人近くのサポーターで埋め尽くされ、まもなく始まる熱戦に向けて熱気が渦巻いていた。そしてスタンドからは、今季リーグ戦を含め2敗の名古屋にもはや負けることは出来ないという、浦和サポーターの意気込みがひしひしと感じられた。
この日の名古屋の先発は、GK西村、DFは右からバヤリッツァ・吉田・増川・阿部の4バック。そしてサイドは右に小川、左にマギヌン、中央のボランチには中村と吉村が並び、FWはヨンセンと巻の2人という4-4-2の布陣。前日の練習後のストイコビッチ監督の言葉通り、磐石のメンバーで浦和に挑んだ。 |
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前半は、右にエンドをとるアウェイ・名古屋のボールでキックオフ。浦和はサポーターの後押しを受け、序盤から相馬・高橋の両サイドが仕掛を試みる。しかし、名古屋のセンターバックの吉田・増川が、高く安定した守備を見せ、ゴール前のエジミウソンへと集めようとするボールをことごとく跳ね返して浦和に攻撃のリズムを作らせない。9分、高原からボールを受けた浦和・エジミウソンが、遠目からシュートを放つが、精度を欠いてゴールを大きく越える。11分、自陣ほぼ中央で浦和のFK。相馬がゴール前へボールを入れてくるが、バヤリッツァが先に落下点に入り、頭で跳ね返した。
12分には中央の中村から右にフリーで走り込む小川へとボールが出る。小川は、これを右足で迷い無くシュートを放つが、これは浦和GKに弾かれてしまい残念ながらゴールネットを揺らすことは出来なかった。
続く14分。今度は中村からDFの間を抜くスルーパスに走り込んだ小川がシュート。これには浦和GKが飛び込んでくるが、キャッチできずにボールがこぼれる。そして、これを見逃さなかった小川がボールを押し込んで、浦和ゴールにシュートを突き刺して見事な先制点を決める。このゴールで流れを掴んだ名古屋が前半は試合の主導権を握る。
23分、中央でパスを受けて前を向いた浦和・梅崎が左足でシュートを狙ってくるが、これはポストの右へ流れる。26分、ゴール正面で高原が落としたボールに反応したエジミウソンに枠を捕らえたシュートを打たれてしまうが、絶好調のGK西村が好セーブ。シュートを弾き出した。
その後も名古屋は、終始テンポ良くボールを繋いで優位に試合を支配し、殆どの局面で浦和にボールを持たせることなく試合を折り返した。 |
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エンド入れ替わり、後半は右にエンドを変えたホーム・浦和のボールから試合が再開。浦和・エンゲルス監督は、早速1人目のメンバー交代として、FWのエジミウソンに代えて田中を投入。
4分、名古屋は自陣からカウンターで攻め上がると、右の中村からの縦パスに上手く裏へと抜け出した小川がマイナスにボールを入れる。そして中央で巻が、倒れ込みながらシュートを狙ったが惜しくも触ることが出来なかった。
5分、左から持ちこんで来た浦和・梅崎が右足で鋭いシュートを放ってくるが、これはクロスバーの上へと抜ける。7分、中央の高原から左に上がる相馬へとパスを通されるが、マギヌンが強烈なスライディングを見せてクロスを阻止。9分、右から阿部をかわして入り込もうとしてきた浦和・高橋をエリアのすぐ外で倒してしまい、危険な位置でのFKを浦和に与えてしまう。しかし、梅崎の蹴ったボールは、ニアで巻が弾き出してクリアする。
10分。左サイドに流れていた浦和・山田の入れたボールを、逆サイドに詰めていた梅崎にダイレクトボレーを許してしまい、同点とされてしまう。さらに12分には、ゴール前でのこぼれ球を浦和・田中に押し込まれ、あわや浦和に追加点を奪われたかと思われたが、これはオフサイドの判定。
13分、名古屋1人目メンバー交代:ヨンセン→杉本
16分、早いリスタートのボールを右で受けた杉本が、巻を狙ってクロスを入れるが、精度を欠いて大きく逆サイドに流れてしまう。しかし、このボールを拾った阿部から小川を経由したパスが右の杉本に再び渡り、寄せてきたDFを次々と切り返す。そして杉本が、空いたコースを狙って放ったシュートがGKの指先をかすめてゴール左隅に決まり、名古屋が再び浦和を突き放す。
20分、右に上がる杉本からのパスを貰った小川が、深い位置でマイナスに折り返したが、中央に走りこんだ巻に届く前にDFにボールをカットされてしまう。21分、浦和は相馬に代え、ポンテを投入してくると、ストイコビッチ監督も23分に吉村に代えて山口を投入。
26分、左サイドで阿部が山口が頭で落としたボールを拾うと、阿部は迷うことなく直接ゴールを狙って左足を振りぬく。このミドルシュートは、美しい軌道を描きながら浦和のゴールに吸い込まれ浦和を突き放す、そして阿部自身プロ初ゴールとなる貴重な得点が名古屋に入る。
さらに31分にはCKから小川の入れたクロスを、杉本が中央で足であわせて4-1。勢い付いた名古屋が、浦和のゴールに容赦なく襲い掛かる。
34分、名古屋は3人目のメンバー交代でマギヌンに代えて津田を入れ、攻撃の手を緩めない。一方の浦和は36分、3人目のメンバー交代で坪井に代えて弱冠17歳の若い山田(直)を入れて、反撃の糸口を見出そうとする。
しかし、勢いに乗った名古屋の攻撃は止むことが無かった。42分、左サイドに抜け出してきた小川からのクロスを、逆サイドで待ち受けていた杉本が低い体勢からヘディングシュートを浦和ゴールに突き刺す。杉本は、ハットトリックとなるこの日の3ゴールを決めて、名古屋の勝利とナビスコカップ予選Aグループの首位突破を決定付けた。
結局試合は、最後までアグレッシブに攻め続けた名古屋が5-1の完勝でナビスコカップ予選リーグ最終節を終えた。
決勝トーナメントでの次なる対戦相手はジェフ千葉。ストイコビッチ監督率いる名古屋イレブンは、決勝トーナメントでも旋風をおこすべく、全力で走り続ける。 |
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