試合結果 マッチレポート フォトギャラリー
 ナビスコ杯第5節:京都サンガとの試合は、雨が上がり、少しずつ明るさが増し始めた西京極で午後2時から行われた。
 この日の先発メンバーは、GK西村、DFは右から竹内・三木・増川・ルーキー佐藤の4バック。中盤には吉村と米山が並び、右に杉本、左に深井。トップ下に藤田を入れ、FWは巻のワントップ。4-2-3--1の布陣だ。勝ち点9で現在Aグループ首位の名古屋としては、この試合に勝利して最終戦を楽に戦いたいという思惑があった。ストイコビッチ監督は、若手選手達に「彼らに試合に参加する事で、グループとしてのチームを感じて欲しいと思った」と願う気持ちを託し、ピッチへと選手を送り出した。
 開始僅か1分、右からの京都・増嶋が投げたロングスローをGK西村が処理しようとしてこぼれたところを、京都・佐藤にシュートを許してしまう。そして、これがゴールに決まり名古屋は立ち上がり早々に先制点を京都に奪われてしまう。しかしその後は、バヤリッツァ不在の穴を埋めたDF三木と増川が高い集中力を見せて京都の田原と柳沢を押さえ込む。またベテランの米山と吉村の両ボランチが相手の攻撃の芽を摘み取る冷静なプレーで、浮き足立っていたチームの雰囲気を落ち着かせると、流れは次第に名古屋に傾きはじめる。

 6分、佐藤のロングボールに巻が飛び出して京都GKと接触し、ペナルティすぐ外でFKのチャンスを得るが、藤田の蹴ったボールは巻に届かなかった。8分、中央での競り合いのボールを米山が縦に大きくクリアすると、これに反応した杉本が裏のスペースを狙うが、DFにカットされてしまう。12分、右から抜け出した杉本のクロスに反応して、藤田や深井が飛び込むが、惜しくもDFにクリアされてしまった。

 18分、深井がボールを拾ってドリブルで持ち上がると、右足に持ち替えてゴール前へクロスを入れる。これにファーサイドの巻がヘディングシュートを狙ったが、残念ながら京都GKに阻まれてしまう。19分、京都陣内右サイド深い位置で米山が倒されてFKのチャンスを得る。深井がゴール前へ上がっていた味方をおとりにして、直接ニアサイドへ狙ったボールを蹴ったが、GKの正面を衝いてしまった。

 京都も、徐々に増してきた名古屋の勢いを押し返そうと、カウンター攻撃を見せて追加点を狙いに来る。30分、長い距離を持ち上がった柳沢からのスルーパスに反応した徳重に中央からシュートを打たれそうになるが、ここは古巣相手に気合いの入る西村が果敢に飛び出し、ボールを押さえ込んでゴールを死守する。32分、京都の左CK、中山からのボールを中央で田原にヘディングシュートを許すが、ボールは大きくゴールを越えていった。36分、中央を持ち上がていったシジクレイからのパスを受けた田原が、意表を突いてヒールで空いたスペースを狙ってくる。しかし、これは走り込んできた徳重が触れる前に、迷い無く飛び込んだ西村がボールをしっかりと押さえる。そして名古屋は、立ち上がりの京都の得点を追いかける形で試合を折り返す。
 じれったい展開に前半からベンチで苛立ちを隠せなかったストイコビッチ監督はハーフタイムに選手達へ「残り45分、自分たちを信じて戦おう。そして決してあきらめるな。」と遠慮がちなプレイを見せる選手達を鼓舞し、気合いを注入してピッチに送り出した。
 そして後半は、選手達が監督のメッセージに応える形で立ち上がりから名古屋が主導権を握る。
 1分、深井からのボールを受け、左タッチ際を上がった佐藤がダイレクトでゴール前へとクロスを送るが、これには誰も触ることが出来ない。3分、相手陣内右深くで、藤田、米山と短く繋いだボールをエリア内で深井がシュートチャンスを得るが、ボールが足下に上手く収まらず、シュートに行く前にDFにクリアされて、チャンスを逸してしまう。

 6分には、右の竹内からのゴール前へのクロスボールに飛び込んだ巻がシュートを放つが、ボールは右のポストを叩いて残念ながら同点とすることが出来ない。9分、京都はFW田原に代えてアタリバを入れ、疲れから徐々に出来はじめた名古屋の中盤のスペースを狙ってくる。

  16分、自陣で奪われたボールを柳沢から追走してきたシジクレイへと繋がれ、左から上がってくる中山にあわせてゴール前にクロスを上げられてしまう。しかし、ここでも飛び出したGK西村が先にボールをキャッチして、シュートを許さなかった。
 17分、ストイコビッチ監督は三木に代え、前節の浦和でゴールを決め勢いに乗っている津田を投入。何とか同点ゴールを奪おうと攻撃の選手を増やす。
 しかしホーム・西京極で不甲斐ない試合は見せられない京都も、DF手島を中心に固い守備を見せ、名古屋の攻撃を潰して奪ったボールをすぐさま前線へと送るカウンター攻撃を徹底してくる。
  25分、名古屋2人目メンバー交代:深井→新川

 28分、左を上がった佐藤の鋭いクロスを上がっていた増川が狙うが、その前でシジクレイに弾かれてしまう。29分、京都・森岡のDFの裏へのパスに徳重が走り込んでくる。しかし、ここでも西村がしっかりとボールに飛び込んでキャッチする好プレーを見せて、名古屋のサポーターを沸かす。

 32分、名古屋は3人目のメンバー交代としてベテラン藤田に代え、最後のカードとしてルーキー花井を投入。彼の個人技に試合を託した。33分、右から杉本と上手くスイッチした津田が仕掛けるが、ボールが足下に落ち着かず、ペナルティ内にと持ち込んだところでボールを奪われてしまった。34分、左でボールを持った新川が早めに長いボールを蹴って、逆サイドから上がろうとした津田を狙うがDFにカットされてしまう。

 両チームの選手共に蒸し暑さからの消耗が目立ち始め、試合の流れはどちらへ傾くのか全く予想の付かない一進一退の展開を見せる。しかし後半41分、増川からのボールを相手エリア内で津田がトラップで落としたところに詰めてきた巻が、強烈な右足からのシュートを京都ゴールに叩き込み、土壇場で1-1の同点として試合を振り出しに戻す。
 さらに終了間際のロスタイム。右から花井のスルーパスに抜け出した津田が右足から狙い澄ましたシュートを京都のゴール左隅に突き刺し、ナビスコ杯予選突破を引き寄せた。そして逆転ゴールの興奮が残る中、試合終了。まさに「Never give up」のスピリットを選手達が見せて、先制を許しながらも土壇場でひっくり返して勝つという勝負強さを見せた付けた名古屋が2-1で京都に勝利を収めた。
 そして名古屋は、4年ぶりのナビスコ杯予選突破を決めた。