試合結果 マッチレポート フォトギャラリー
 試合開始前のウォーミングアップ中からサポーターの大声援で沸き返る豊田スタジアム。選手達だけでなくサポーターも今夜の対戦に寄せる期待が大きいことが良く伺えた。

 ナビスコ杯Aグループ1位、勝ち点6の名古屋にとって4年ぶりの決勝トーナメント進出を果たすためにも、この日の浦和戦は絶対に勝点3を取りたい大事な試合。名古屋の先発メンバーは、GK西村、DFは右から竹内・バヤリッツァ・増川・阿部の4バック。中盤は、右に小川、左はマギヌン、ボランチには米山とキャプテンマークを付けた中村が並んだ。そして、FWは巻と杉本の2人という4-4-2の布陣。前半は左にエンドを取る名古屋に対し、右エンドの浦和のボールから試合が開始。
 試合は、序盤から名古屋が積極的な攻め上がりを見せて、浦和の3バックの間を狙う。特にこの日、エース・ヨンセンに代わってFWに入った巻がポスト役をしっかりとこなし、阿部や竹内からの楔のパスを良い形でスペースへと落として、味方の攻め上がりを大いに助けた。

 そして6分。上がっていた増川が、右から米山が入れたボールを胸でスペースへと落とす。これを巻が、浦和DFを背負いながらもしっかりとキープして、走り込んだ小川に短いパス。そして小川が、左足を思い切り振りぬいたシュートを浦和のゴールに突き刺して、見事な先制点を叩き出す。このゴールで勢いづいた名古屋は、この後も浦和を攻め立ててる。

 14分、今度は左サイドぎりぎりでマギヌンが狙いすまして上げたクロスボールを、逆サイドから詰めた杉本が頭であわせたシュートが浦和のゴールネットを揺らし、名古屋に2点目が決まる。しかし、代表メンバーを欠くとはいえ、選手層の厚さを誇る浦和もこのままでは終われないと、左サイドの浦和・相馬を起点に反撃を開始。浦和は、中央で体を張るエジミウソンにボールを集め、FWの永井も得意のドリブルで果敢に名古屋を攻め立てる。しかし、バヤリッツァと共にセンターバックの増川が落ち着きのあるプレーを見せて、相手に決定的な仕事をさせない。

 29分、小川にボールを預けて左サイドを阿部が駆け上がると、このワンツーパスを受けて仕掛けを試みる。しかし、阿部は浦和DFのスライディングにボールを奪われてしまう。30分、右サイドで相手ボールを奪った竹内が深い位置までボールを持ち込むと、マイナス気味にゴール前へとパスを送る。しかし、これは浦和DFにカットされてしまい、中央へ詰めた巻には届かない。
 32分、ペナルティエリアすぐ外で浦和・山田が落としたボールを田中に拾われてしまう。そして、田中のドリブルからシュートをゴール左に決められてしまい1点差とされると、試合の流れが浦和へと傾いてしまう。しかし、この嫌な流れを断ち切ったのが、42分の巻のスーパーゴールだった。
 左でルーズボールを拾った小川が中央へと鋭く入れたボールに走り込んだ巻が、豪快なボレーを浦和ゴールへと叩き込み、チームを再び勢い付かせる3点目を決める。名古屋は、良い流れで前半を終えた。
 2分、浦和・山田の縦パスをゴール前のエジミウソンが落としたところへ、左からゴール前へと詰めた相馬がシュート。しかし、ここは増川がしっかりと体を入れてシュートコースを切る。4分、自陣深くやや右寄りの位置で浦和FK。浦和は、相馬が直接ゴールを狙ってくるが、ボールはクロスバーの上へと抜ける。7分、GK西村からのボールを、巻がDFに競り勝って頭でスペースへと落とす。このボールに杉本が詰めるようとするが、GKにキャッチされてしまう。

 9分、中央を抜け出してきた田中にシュートを許すが、ボールは左のポストを直撃。名古屋は、運にも助けられる形で失点を逃れる。しかし、後半立ち上がりから名古屋のサイド攻撃を封じることで自分たちのペースを掴んだ浦和が、徐々に勢いを増す。そして11分、浦和の右からのCK。永井の蹴ったボールをニアサイドに走り込んだ浦和・内舘に頭でねじ込まれ、再び1点差にされてしまう。13分、ストイコビッチ監督はマギヌンに代えて深井を投入、浦和へと傾き始めた試合の流れを引き戻しに掛かる。対する浦和・エンゲルス監督も17分に、ここが勝負所と田中に代えて若い原口を投入してくる。

 18分、左からドリブルを仕掛けた深井だったが、足下への厳しいスライディングに潰されチャンスを作ることが出来ない。19分、右から仕掛けた杉本がマイナスに入れたボールに小川が走り込むが浦和DFにカットされてしまう。20分、名古屋は2人目の交代で米山に代えて山口をピッチに送り込む。21分、自陣中程左での浦和のFK。永井の入れたボールは中央で弾いて、右からのCKに。2点目の失点と同じような形で永井がニアの内舘を狙ってくるが、山口が体を寄せて進入を阻みボールに触れさせない。28、29分と名古屋は、押し込んでくる浦和の裏を突いたカウンター攻撃を見せ、深井が立て続けに左サイドを突破、浦和ゴールを脅かすが、追加点を奪うことは出来ない。じりじりした展開にストイコビッチ監督は37分、1人でも試合の流れを変えられる津田を杉本に代えて投入。最後のカードを切った。

 38分、自陣中程右寄りでの浦和のFK。相馬がゴール前へと走り込む選手にあわせて蹴り入れてくるが、西村が正面でしっかりとボールをキャッチ。39分、竹内が右に開いて待ちかまえる津田の前へとボールを蹴り出すが、追い付く前にボールがタッチを割ってしまう。40分、右から鋭い切り返しを見せて入り込もうとした津田が浦和DFに倒され、絶好の位置でFKを得るが、中村蹴ったボールは上がっていた増川やバヤリッツァに届くことなくクリアされてしまった。

 そして43分。左から持ち込んだ深井が中央にボールを入れると、これを巻がワンタッチで落とし、さらに上がっていた山口がこれを右に絶妙のタイミングで展開する。そして最後は、このボールに走り込んだ津田がシュートをゴール左隅に叩んで、勝利を決定付けるゴールを決めた。

 常にリードしながらも、浦和に二度も一点差に詰め寄られる苦しい展開となった、ナビスコカップ第4節。名古屋は、ヨンセン・玉田という、絶対的なエースが不在ながら、与えられたチャンスをきっちりとものにした巻と津田の働きが光り、4-2と浦和を力でねじふせる形で終了の笛を迎えることが出来た。試合後、「今日は良いゲームだった。我々のペースで試合を進められ、最終的に魅力的なゲームになった。サポーターにとっても、両チーム合計6ゴールを見られ楽しめたと思う。そして我々が勝利に値する戦いをした。グランパスの選手が素晴らしいプレーを見せてくれとても満足している。」と手放しで勝利を喜ぶストイコビッチ監督の言葉が象徴するように、名古屋の攻撃的な姿勢が終始プレーに現れた試合だった。