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 5月6日GW最終日となった味の素スタジアムには、30,825人という観客が詰めかけ、ピッチでは連休の最後を締めくくるにふさわしいエキサイティングな戦いが繰り広げられた。

 3連敗で2位の座をFC東京に譲った名古屋と、2連勝で2位に浮上したFC東京による上位対戦。
 これ以上負けられない名古屋の布陣は、バヤリッツァが右SBに入り、増川と吉田がCB、阿部が左SB。ボランチには中村、吉村が入り、前線はケガで玉田を欠く中、ヨンセンのワントップ、その後ろに右から杉本、マギヌン、小川の3人が並ぶ、これまでの4-4-2から4-2-3-1とい形へフォーメーションを変えて試合に臨んだ。
 試合は、序盤から名古屋の新フォーメーションが上手く機能する。
 4分、サイドに流れたヨンセンから中央へのスルーパスに、マギヌンが反応して抜け出すとGKをかわしてシュートを狙うが、惜しくもゴールにならず。

 一方のFC東京も名古屋の早い動き出しに食らいつき、9分、カボレが名古屋DFをかわしてシュートを放つ。危ない場面だったが、その後すぐに名古屋が反撃。10分CKを得ると、小川からのボールを吉田がヘディングシュート。名古屋が、押し気味に試合を進めてFC東京のゴールに迫る。

 17分、FC東京のDF長友がピッチ外で治療を受けていた数的有利な時間帯を、名古屋は見逃さなかった。小川がFC東京の最終ライン背後にスルーパス。そして、右サイドから中央のスペースへと滑り込むように抜け出して来た杉本が左足を振り抜くと、ボールはFC東京GK塩田の指を弾いてゴールへと吸い込まれ、待望の先制点が名古屋に入る。

 1点を追うFC東京は、前半で同点に追い付こうと仕掛けてくるが、中村や吉村といったボランチやDFラインの4人、さらには最後の砦・楢崎がことごとくこれを抑え、相手にゴールを割らせない。
 一方で名古屋も、FC東京の勢いに押されることなく守備から攻撃に転じる形でチャンスを作る。

 35分、自陣からのカウンターで中村がドリブルを仕掛けると、中央へ上がるヨンセンへとスルーパス。ヨンセンは、GKの脇を抜くシュートを放ち、追加点かと思われたが惜しくもオフサイドの判定でノーゴール。
 その後も名古屋は、FC東京の攻撃を危なげなく抑え、良い流れのまま前半を1点で折り返す。
 FC東京はハーフタイムに羽生から大竹にメンバーをチェンジし、システムを4-4-2から4-3-2-1に変更。
 中盤を厚くすることで名古屋のマギヌン、ヨンセンといった中央の攻撃力を抑えるシステムに変更をする。しかし、この日の名古屋は、中央への厳しいプレッシャーをも跳ね返す力強いプレーを終始見せ続ける。
 そして、カボレの飛び出しは楢崎が、長友のサイドアタックや今野らからのスルーパスは中村や吉村のボランチ、そして最終ラインの4人がきっちり抑える。

 15分、FC東京は赤嶺に代えて近藤を投入。その後は、ゴールポストギリギリのところで相手GKに弾かれた中村のFK、そしてFC東京のFKなど、両チームとも相手の脅威となるチャンスを作り出し、一進一退の攻防が続く。名古屋は、24分、ゴールを決めた杉本が退き、米山を投入。

 名古屋に絶体絶命のピンチが訪れたのは35分だった。これまでも果敢な飛び込みでピンチを抑えてきた楢崎が、早いリスタートから抜け出したカボレを倒してしまい、これがPKの判定を受けてしまう。スタジアム内に大きな緊張した雰囲気が漂う中キッカーとなった近藤のシュートは、クロスバーに当たって大きく跳ね返り名古屋は失点を免れた。

 このピンチを逃れた名古屋は、40分マギヌンに代えて竹内を投入。そして、交代直後に右に抜け出した竹内が左足で放ったシュートはクロスバーに弾かれる。さらにそのこぼれたボールを米山がヘッドで押し込もうとするが浮いてしまい、惜しくも追加点を挙げることは出来なかった。

 終了間際の43分。押し込むFC東京にペナルティエリア付近の危険な位置と危険な時間帯でのFKを与えてしまうが、直接狙った石川のボールは大きくクロスバーを越え、またしてもピンチを切り抜ける。

 さらにロスタイムに入ってからも、ホームサポーターの声を背に受けたFC東京の必死の猛攻が続く。
 FC東京は、早いリスタートから名古屋ゴールに迫ると、こぼれたボールを拾った近藤がシュートを放つが、果敢に飛び出した楢崎が弾き返す。更に、そのセカンドボールに再度詰めてきた近藤は、執念でボールをゴールへ押し込もうとしてきたが、これをまたしても楢崎が体を張ってセーブ。この自らのビッグプレーに、楢崎が大きな雄叫びを上げる中で試合終了のホイッスルが鳴った。

 前節ゴールを割らせてしまった悔しさをここ一番で晴らしてみせたキャプテン楢崎の気合いと、最後まで集中力を切らさず守りきったの10人のフィールドプレーヤーの気持ちが、5試合ぶりの無失点と連敗脱出、そして2位浮上をもたらした。

 「もう一度、自信を取り戻す」
 ストイコビッチ監督が前節終了後に語っていた言葉通り、名古屋が自信を取り戻す戦いをみせた。
 上位対戦で得たこの貴重な勝点3は、次節そしてこれからも続く厳しい戦いで、必ず糧となってチームを支えてくれるだろう。