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 まるで初夏を思わせるほどの強い日差しに恵まれた、この日の豊田スタジアム。名古屋の掲げる攻撃サッカーを一目見ようと集まった34,436人のサポーターが見守る中、午後2時からG大阪との第10節が行われた。
 前半、右エンドのアウェイ・G大阪に対し、ホームの名古屋は左から右へと攻め上がる。試合はG大阪のボールでキックオフ。
 この日の先発は、GK守護神・楢崎、DFは右から竹内・バヤリッツァ・吉田・阿部の4バック。中盤は、右から小川・中村・吉村・マギヌンの4人。FWにはヨンセンと玉田の2人、4-4-2の布陣でG大阪に挑む。
 東京V戦、川崎戦との立ち上がりで自分達のプレースタイルを上手く出すことができなかった名古屋が、この日は大サポーターの声援を背に受けて序盤から果敢にG大阪ゴールへと襲いかかる。
 7分、右に上がる中村が、小川からのパスを受けると、寄せてきたG大阪・安田を小気味よいフェイントでかわしてゴール前へパスを送る。しかし、ゴール正面のヨンセンはG大阪DFに体を寄せられ、これに触れることは出来ない。8分、ゴール正面で吉村のスルーに抜け出した玉田が鋭いシュートを左足で放つが、これは惜しくもG大阪GK・松代の正面を衝いてしまう。10分、左に玉田が展開したボールを拾った阿部が、エリアの外から積極的にミドルシュートを放つが、ボールはポスト右へと流れてしまう。

 18分、右からのG大阪CK。遠藤のボールを正面でG大阪・山口が頭で狙うが、ボールは左に大きく流れる。21分、左からバレーが一気にドリブルで持ち込んでくる。バレーは、ペナルティボックス内へ入ったところでシュートを放つが、ここは慌てずゴール前で構えていた楢崎が正面でシュートを阻止する。

 何とか連敗を2で止めたい名古屋は、早い時間帯で先制ゴールが欲しいところだったが、名古屋より試合間隔が1日少ない中2日のG大阪に、試合のリズムを次第に握られてしまう。そして24分、遠藤からのスルーパスに中央を抜け出してきたバレーが、ゴール前で吉田のプレッシャーをかわしながら右足から放ったシュートが、見方ディフェンダーに当たって方向が変わる不運もありゴールネットを揺らす。またしても名古屋は先制点を相手に与えてしまう。

 31分、右にこぼれ出たボールを拾ったマギヌンがゴール前へと鋭くクロスを入れる。このボールに中央にヨンセン、ファーサイドに玉田が詰めていったが僅かに届かず、そのまま逆サイドへと流れてしまった。33分、中央の中村からのパスを、相手ゴールやや左で受けた小川が、ペナルティボックスのすぐ外で寄せてきた相手を1人かわして左足からのミドルシュートをG大阪ゴールに突きさす。小川の目の覚めるような同点弾で、名古屋が試合を振り出しに戻す。ロスタイムにはG大阪陣内中央ほぼゴール正面の位置で中村が倒され、FKのチャンスを得る。これを玉田が入念にボールをセットし”俺が蹴る”とアピールしたところで、中村が意表を突いてゴール右隅を狙ったボールを蹴るが、惜しくもシュートはG大阪GKの守備範囲。枠を捕らえながらも右へと弾き出されてしまい、前半は1-1の同点で終了となる。
 エンド入れ替わり、後半は右エンドの名古屋ボールで試合が再開。G大阪に先制を許しながらも、小川のゴールで追い付いた名古屋は、先に主導権を握りたいところだったが、後半立ち上がりから先連戦の疲れを感じさせないG大阪がに攻め立ててくる。

 1分、左から縦にG大阪・安田が仕掛けてくると、サイドの深い位置から中へのクロスを狙ってくるが、これに付いていった竹内がきっちりとボールを阻止してマイボールにする。2分、中央を縦パスに抜け出してきた播戸には、阿部が身体をしっかりと寄せ、ボールをクリア。6分、ストイコビッチ監督は、玉田に代えて杉本を投入する。すると7分、右に開いてパスを貰った杉本がペナルティボックスのすぐ外から右足からのシュート気味のボールをゴール前へと蹴り入れると、中央に滑り込んだヨンセンがワンタッチでコースを変えて枠を狙う。しかしボールは、ポストの僅か左に流れ出てしまう。

 9分、右から竹内の落としたボールを拾った杉本が俊足を飛ばしてドリブルで入り込んでゆくと、右足を鋭く振り抜いたシュートを放つ。しかし、これはクロスバーに当たる不運もあり、ボールはゴールの外へと抜けてしまった。

 18分、名古屋はマギヌンに代えて米山を入れ、次第に中盤を制し始めたG大阪を押さえる策を打つ。19分、米山が右にサイドチェンジしたボールを受けた杉本が、中にいた小川へ繋ぐ。小川は、吉村とのワンツーを見せて縦への突破を図るが、ボールが足下に収まらず相手に奪われてしまう。

 そして24分、再三に渡って良いボールを前線へ供給していたG大阪・ルーカスの絶妙のスルーパスに抜け出たバレーに、角度の無い位置からのシュートを許してしまい、またしてもG大阪にリードを許してしまう。

 32分、名古屋は吉村に代えて藤田を入れて、最後のカードを切る。33分、左でこぼれ球を拾った杉本が、中央に走り込んでくる藤田の足下へとパスを出すがタイミングが合わず、流れたところを相手に奪われてしまう。

 終盤、なんとしてでも同点にしたい名古屋は、DFのバヤリッツァを前線に上げてターゲットを増やし、ゴールのチャンスを作ろうとするが、経験豊富なG大阪の心憎いまでのパスワークに翻弄され、なかなか思うようなプレーをさせて貰うことが出来ず、体力を消耗させられる時間が続いてしまう。
 42分、右から中村が持ち込んでゆくと、中央で待ち受けるヨンセンへとラストパスを送る。しかしヨンセンは、G大阪DF・中澤と山口厳しいプレッシャーを受け、ボールに触れることが出来なかい。43分、前線へと上がったバヤリッツァが藤田とのパス交換から縦に仕掛けようとしたが、G大阪の固い守備陣に阻まれシュートまで持ち込むことは出来なかった。

 そして約3分のロスタイムもサポーターの大声援を受け、気力を振り絞って積極的な攻撃を見せた名古屋だったが、立ちはだかるガンバの壁を突き崩すことは出来ず、痛い3敗目を喫する結果となってしまった。

 試合後の会見で監督が語った「今日のグランパスは少し優しすぎたように思う。サッカーの試合とは『小さな戦争』だという事を選手達に伝えたい」という言葉通り、もっとも注意しなければならない選手の1人、FWバレーに易々と2ゴールを決められてしまったことは今後の大きな反省材料だろう。しかし「個人的には良いゲームだったと思う。結果的には負けたが、勝ち点を取る事ができた内容」という監督の言葉の裏には、3連敗こそ喫したものの、連敗脱出へ向けて手ごたえが掴めたという意味もあるに違いない。