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 前節・東京V戦に敗戦後、選手達に「長いシーズンではこういう事は必ずある、ずっと勝ち続けることは出来ない」と言葉をかけたストイコビッチ監督。しかし、今節の川崎との戦いに向けては「負けた次の試合が重要。次の2試合はホームなので集中して戦って欲しい」と強い意志を選手達に植え付けて臨んだ。
 午後7時、夕闇が迫った瑞穂の上空。次第に青色が深みを増す中、水銀灯に照らし出されたスタンドを埋め尽くす赤色がより一層、鮮やかさを増してゆく。この日はゴールデンウィークの初日ということもあり、首位の名古屋の試合を一目見ようと多くのサポーターが訪れる中で試合開始の笛が吹かれた。
 先発メンバーは、GK守護神・楢崎、DFは右から、リーグ戦初先発の三木・バヤリッツァ・増川・阿部の4人。中盤は右にマギヌン、左はやはり初先発の深井、中には中村と山口が並び、FWはヨンセンと玉田の2人。前節と少し顔触れが違うものの4-4-2の布陣は変わらない。試合は、アウェイ・川崎のボールでスタートした。
 「リーグ戦8試合で疲れが溜まっているので、我々にはリフレッシュが必要」と監督が前日会見で語った通り、チームはメンバーを入れ替えて臨んだが、序盤は、前節、突然の監督交代による不安を吹き払うかのような劇的な逆転で試合を制した川崎がその勢いのままに攻め立てて、試合のリズムを掴まれてしまう。

 キックオフ直後から川崎は、前線からの早いプレッシャーで得たボールを名古屋陣内へと持ち込んで来ると、名古屋は8分にはFK、9分、12分にはCKと立て続けにセットプレーのチャンスを与えてしまう。それでも公式戦初の顔触れとなったDFラインの4人が踏ん張りを見せて川崎の攻撃を跳ね返す。20分には、中央ジュニーニョから出たボールに抜けてきた川崎・鄭がエリアへと持ち込んだところで、右足でシュートを放つが、これはポストの右に抜ける。

 劣勢にまわった名古屋だったが、川崎の一瞬の隙を突く。
 21分、右からのCKのボールがこぼれ球を拾った中村が右サイドから入れたクロスボールを、相手DFに競り勝ったヨンセンが頭で沈め見事な先制ゴールを決める。名古屋は、ヨンセンの今シーズン6点目となるゴールで落ち着きを取り戻しゲームを支配するかに思われた。
 しかし、28分、川崎が右から細かいパスワークを見せて攻め込んでくると、最後は、川崎・中村の落としたボールを中央へ詰めた川崎・村上にシュートを決められ、同点とされてしまう。

 この同点で川崎の攻撃の勢いが加速してしまう。34分には、左から川崎・山岸のスルーパスに抜け出してきたジュニーニョが中へ勝負を仕掛けてくるが、ここは増川が流し込もうとしたボールを弾き返す。しかし37分、ゴール正面へと出たボールを川崎・鄭がシュート。楢崎が正面で好セーブを見せて一度は押さえるが、ボールが手元に収まらないところを走り込んだジュニーニョにボールを奪われる形でシュートを許し、川崎に逆転のゴールを決められてしまう。そして前半は、川崎がシュート9本に対し、名古屋はヨンセンが決めたシュート1本という、両チームの勢いをそのまま表す内容で終了した。
 エンド入れ替わり、後半は右から攻め上がる名古屋のボールから試合が再開する。前半、名古屋の両サイドの上がりを警戒して山岸と菊池を最終ラインが吸収するほど下がり目にして臨んできた川崎の策にはまってしまった名古屋だったが、ハーフタイムに「もっと闘おう。恐れずにアグレッシブにいこう」と選手達にアドバイスをした監督の気持ちが通じたのか、前半とは見違えるほどアグレッシブさを見せ始めた名古屋が後半は試合の主導権を握る。

 3分、相手のミスパスを左サイドで奪った深井が縦に送ると、これを受けた玉田がゴール前へと早いクロスを蹴り入れる。しかしボールは、走り込んだヨンセンの頭上を抜けてしまう。5分、川崎がDFラインを上げてきたところを狙って、自陣から三木がロングボールを蹴って裏を狙うヨンセンにあわせてゆこうとしたが、ここは川崎・井川の頭に阻まれてしまう。

 10分、左から縦パスに抜け出したヨンセンが右足でゴール前へと丁寧に蹴り入れると、中央に詰めた玉田がダイレクトでシュートを狙う。しかし玉田は、強くボールを捕らえることが出来ない。更にこのボールがこぼれたところを拾った深井が左足でシュートに行ったが、このシュートのボールは左に逸れてしまい枠を捕らえることが出来ない。

 12分、名古屋は深井に代え小川を、山口に代えて杉本を投入、一気に2人を交代させて勝負に出る。17分、中央を玉田のパスに抜け出した杉本が左足でゴールを狙っていったが、このボールはポストの左へ。18分、川崎が1人目のメンバー交代、鄭を黒津に代えて、次第に名古屋へと傾き始めだした試合の流れを引き戻そうと仕掛けてくる。

 22分、CKからつないだボールを小川が思い切りよく振りぬいてシュートを放つが、無情にもバーを直撃してしまう。24分、増川が右へと展開したボールをマギヌンが中へと落とすと、小川が中央から縦に送りゴール前でこれを受けたヨンセンがシュートを狙うが、その前にスライディングを見せた選手に阻まれる。25分、中央でボールを拾った中村が左足ミドルシュートを放つが、これは惜しくもGKの正面を衝いてしまう。名古屋3人目のメンバー交代、中村に代えて藤田を入れ、連戦で疲れの見え始めた中盤の引き締めを図る。

 28分、縦のスペースへと出たボールを受けた杉本が左足で鋭いシュートを放つが、これは川崎DFに弾かれる。30分には、左でフリーでボールを受けた玉田が角度のないところから早いクロスをゴール前に入れると、中央で待ち受けていたヨンセンが足を伸ばすが、これは僅かにタイミングが合わず、ボールは逆サイドに抜けてしまう。

 前半は相手のアグレッシブさに押されたのか、殆どの時間を守勢に回っていた名古屋だったが、後半は相手の運動量が減り始めたこともあり、早く同点に追いつこうと圧倒的な攻撃を仕掛ける。しかし川崎DFの壁は高くそして固く時間だけが刻々と過ぎてしまう。

 35分、川崎2人目のメンバー交代で、村上に代えて田坂を入れてくる。37分、右からマギヌンが持ち込もうとして潰され、川崎のカウンターになるが、最後はジュニーニョが持ち込んだボールを増川がカットしてピンチを逃れる。38分、左から阿部が持ち込んだボールを杉本が左足でダイレクトでシュートに行ったが、惜しくも川崎GK・川島の正面を衝いてしまい、ボールは枠の外へと弾き出されてしまった。

 43分、古巣相手に燃えていたマギヌンがゴール前へとクロスを入れると、これを玉田が中央で競りにゆくが、ボールは川崎DFがクリア。何とか、最低でも引き分けとして勝ち点1を手に入れたい名古屋。しかし、終盤に川崎の見せた時間稼ぎを狙ったプレーに名古屋は付き合わされてしまい、最後まであと1点を決めることが出来ない。そして、瑞穂の空に鳴り響く主審の笛で、手痛い連敗を告げられ試合終了を迎えた。