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 午後1時の昼下がりの強い日差しに、サポーター達が身にまとった赤いユニフォームがスタンドの鮮やかさをより一層際だたせる中、名古屋イレブンがピッチへと入場する。ほぼ満員となったスタンドからは暖かい拍手が送られるとともに、6連勝への期待が込められた力強い声援が飛び交い、雰囲気を盛り立てる。

 前半は右エンドのアウェイ・千葉に対し、ホームの名古屋は左から右へと攻め上がる。今日の先発メンバーは、GK守護神・楢崎、DFは右から竹内・バヤリッツァ・吉田・阿部の不動の4バック。中盤は、右に小川、左にマギヌン、中央は中村と吉村の2人。FWはヨンセン・玉田の2人。4-4-2の布陣で臨む。
 序盤の名古屋は、両サイドハーフの小川やマギヌンが積極的に攻め上がり、CKなどからもチャンスを作りだす。そして、この積極的な攻撃が決定的なチャンスを生みだした。9分、玉田に当てたボールをもらってエリアに入り込んだ小川が、後ろから倒されPKを得る。このPKをヨンセンが落ち着いてゴール右すみに沈めて先制。
 試合は、今日もこのまま名古屋ペースで試合が進むかと思われた。

 しかし12分、千葉にCKを与えると、フルゴビッチが短く出したボールを千葉・巻にシュートを許し、あっけなく1-1とされて振り出しに戻されてしまう。そして、ここから名古屋のリズムが狂い出してしまう。サイドを千葉に制されると共に、早いプレッシャーにも悩まされ中盤でボールキープができない時間が続く。逆に千葉は、セカンドボールやルーズボールをものにして、再三に渡って決定機を作り出した。
 22分、右に流れた千葉・巻の動きに合わせてラインが下がってしまったところを、巻が見逃さず中央のスペースへとマイナスにパス。ここへフリー走り込んできた千葉・伊藤にシュートを決められてしまい逆転ゴールを許してしまう。名古屋は、わずか10分間で千葉にリードを許してしまう。

 その後は引いて守る千葉のDFに苦しめられ、攻めながらもゴールへの糸口をつかめないまま1点のビハインドを追って前半終了。
 「前半のことは忘れろ。後半はまた新しいゲームが始まる」
 ハーフタイムにストイコビッチ監督に鼓舞されてピッチに戻った名古屋イレブン。そして、この指示が効いたのか、名古屋は徐々に自分達のサッカーを取り戻す。
 キックオフ直後から、吉村のミドル、玉田の鋭い突破と、次々にチャンスを生み出すが、それでも、引いて守る千葉のDFの網をなかなか破ることができない。

 後半19分にはボランチの吉村に代えて、杉本を投入。足が止まってきた千葉に対し、スピードで突破口を見いだそうと攻撃の枚数を増やす。

 すると22分、左から小川の入れたクロスボールは一旦右に流れるが、逆サイドでこれを拾った竹内がクロスを上げる。これが相手DFのクリアミスを誘い、ボールがヨンセンのもとへ。
 このボールにヨンセンが、長い足を高く上げダイレクトで技ありのボレーシュート。名古屋がついに2-2の同点に追い付く。

 その後、27分に選手2人を入れ替えて建て直しを図る千葉に対し、名古屋はさらに攻撃を仕掛ける。
 そして33分、マギヌンからの縦パスに、抜け出した玉田がそのままドリブルでエリア内に待ち込むと、ヨンセン、杉本もそれに併走してゴール前へと走り込む。そして、玉田が絶妙のタイミングで中央へとパスをプレゼントすると、これをヨンセンがスルー、一番外側を駆け上がってきた杉本がフリーでこれをしっかりと相手ゴールに沈め、逆転の3点目が決まる。

 千葉は終盤に再度、同点を狙って次々と攻勢を仕掛けてくるが、楢崎を中心としたDF陣が落ち着いた守備をみせる。そして、劇的な逆転劇で名古屋が3-2で勝利を手にしリーグ戦6連勝。
 前半にリードされても自分達のサッカーを取り戻し、“ジョーカー”杉本のリーグ戦3試合連続となる追加点による鮮やかな逆転劇で勝点3をものにした名古屋。
 去年までとは全く違う試合運びで、今回もチームの成長を見せてくれた。「この快進撃はとどまるところを知らない」そんな気にさせてくれる、意義のある1勝となった。