試合結果 マッチレポート フォトギャラリー
 柔らかな日差しと、心地よい風が吹き抜けるこの日の日本平スタジアム。試合開始前から熱戦を期待して勢い付いた両チームのサポーターによるコールが繰り広げられ、熱いドラマの開始を今か今かと待ちわびていた。
 前半、左にエンドを取るホームの清水に対し、上下白のアウェイユニフォームの名古屋は、右エンドから左へと攻め上がる。
 この日の先発メンバーは、GK守護神・楢崎、DFは右から竹内・バヤリッツァ・吉田・阿部の4人。中盤は小川・中村・吉村・マギヌンが横一列に並び、FWはヨンセン・玉田の2人による4-4-2の布陣で臨む。
 試合は、ホーム・清水のボールでキックオフ。
 いつもであれば、ホームの利を活かして序盤から積極的に攻め立ててくる展開が多い清水。この日は、伊東と本田をボランチとして並べ、中盤を固めて試合に臨んでくる。
 開始3分、まずは左CKのチャンスを名古屋がつかむ。小川が蹴ったボールを、ニアサイドにいた吉田がワンタッチで流し込もうとしたが、これは清水DFにボールをカットされてしまう。さらに4分、右CKのチャンス。マギヌンが入れたボールからニアの選手に当たって浮いたところを、上がっていた吉田がヘッドで押し込もうとしたが、これは相手に当たって弾かれ、再び左からのCKに。このCKで小川が入れたボールは、遠いサイドの竹内が折り返してヨンセンが右足で押し込もうとしたが、ボールは僅かに流れ左ポストの外へいってしまう。

 そして9分、名古屋は阿部、玉田、ヨンセン、吉村と繋ぐ短いパス交換で清水DFを翻弄。その吉村からのスルーパスに左サイドを抜け出した小川が、ボールを受けるとそのまま持ち込み、最後は右足爪先のシュートを清水のゴール右隅に蹴りこみ見事な先制点を決める。この早い時間でのゴールで主導権を握った名古屋が、試合を優位に進める。
 対する清水も、名古屋の両サイドが上がったスペースを狙って攻め立ててくるが、ゴール前で抜群の連携を誇るバヤリッツァと吉田が立ちはだかり、5試合で3失点と堅い守りを見せているDF陣で清水の攻撃をことごとく跳ね返す。

 32分、清水・長谷川監督は早々とメンバー入れ替え、FWに原を投入。攻撃の枚数を増やして勝負を仕掛けて来る。しかし、前節でも光っていた中村、吉村の両ボランチの厳しいプレッシャーがこの日も冴え渡り、清水にチャンスらしいチャンスを与えることなく、前半は小川の挙げたゴールをきっちりと守って試合を折り返す。
 エンドが入れ替わり、後半は左にエンドを取る名古屋のボールから試合再開。
 「自分達の簡単なミスとか、簡単にロングボールを出して奪われることがあった。もう少し繋げるところはしっかりと繋ぎ、そこからビルドアップ出来ていたらもっと自分達のペースでやれた。」と試合後に吉村が反省したように、後半は1点ビハインドの清水が立ち上がりから積極的に襲い掛かってくる。

 2分、右にワンツーで抜け出した清水・市川がクロスを入れようとしたが、阿部が間に体を入れてボールのコースを変える。3分には左から縦パスに抜け出した清水・枝村がゴール前へ走り込むマルコスの足下へとパスを送り込んでくるが、守護神・楢崎がしっかりとボールを押さえ込むセービングを見せて、清水のチャンスの芽を摘み取る。

 17分、清水は2人目のメンバー交代として、マルコスに代えて岡崎を投入。後半の立ち上がりから掴みかけていた試合の流れを何とか自分達のものにしようと積極的な仕掛けを試みる。しかし、ストイコビッチ監督もすぐさまこれに反応、前節終了間際に追加点を挙げたスピードのある杉本を投入して、次第に相手に傾き始めた流れの押し戻しを図る。26分には、中央をドリブルで仕掛けた杉本からのパスを、左から走り込んだヨンセンが受けると、縦のスペースに落としてシュート。しかし、このシュートはポストの左へと流れてしまう。

 31分、清水は疲れの見えたFW矢島に代えてベテランの西澤を投入して、最後の勝負に出てくる。しかし、「後半は相手のカウンターを受ける形となり、色々と危ない場面もあったが、無事凌ぐことが出来た。」と自信に満ちたバヤリッツァのコメントが現すように、高い集中力を見せ続ける名古屋の選手達の気迫溢れるプレーで、清水の選手に殆ど仕事をさせることなく、1点をリードして試合は終盤へ。
 39分、疲れの見えたヨンセンに代えて山口を入れ、ディフェンスの強化を図る。

 そして、終了間際の44分には自陣からドリブルでカウンターを仕掛けた小川が、右サイドでフリーになっていた杉本にパスを送る。これを受けた杉本が、相手GKの脇を抜く見事なシュートを清水ゴールに突き刺す。名古屋は、貴重な試合終了直前の追加点を2試合連続で杉本が決め、清水の息を止める。

 「今日は面白い展開のゲーム。良いペースで試合を進められ、最後まで我々がコントロール出来たゲームだった。」
 試合後の記者会見では自信たっぷりの表情で語ったストイコビッチ監督。
 見事、清水を2-0で下して完封で試合を終えた選手達は、自分達の貫くサッカースタイルに自信を深めたに違いない。