試合結果 マッチレポート フォトギャラリー
 ホーム瑞穂で行われた大分トリニータとの激戦を挟んで、中2日で臨んだ第4節・アウェイの大宮アルディージャ戦。選手達は、疲れはあるものの良いムードで初見参となるNACK5スタジアム大宮のピッチに立った。
 平日水曜のナイトゲームにもかかわらず、数多くのサポーターで埋まったスタンドからの大きな声援を受け、午後7時に試合はキックオフとなった。
 この日は、上下白一色のユニフォームに身を包んだ名古屋の先発メンバーは、GK守護神・楢崎、DFは右から、竹内・バヤリッツァ、今季初先発の増川、阿部の4バック。中盤は、前節同様、小川・中村・吉村・マギヌンの4人、FWはヨンセン・玉田の2人。今日も変わらず、4-4-2の布陣で臨んだ。
 試合の立ち上がりは、開幕こそ勝ち点3を得たものの、その後1敗1分けと勝ちのない大宮が先手を取った。大宮は序盤から高い位置からの守備と早い展開で、前線のペドロと土岐田へとボールを集め、DFが寄せて出来たスペースに小林(大)や内田など2列目の選手が入り込んで、積極的にシュートを狙ってくる。

 しかし名古屋の守備は、怪我から復帰2戦目のバヤリッツァと、ずっと先発出場の続いていた吉田に代わって今シーズン初先発となった増川の新センターバックコンビが落ち着いた連携を見せる。さらに中村、吉村のボランチ2人もバランスの良い守備を見せて、相手の攻撃をしっかりと潰す。

 名古屋は立ち上がりから大宮に押され気味だったが、15分を過ぎたあたりから相手のスピードにも慣れ、巻き返しを見せ始める。
 20分、阿部がDFの裏へ出した縦パスに玉田がタイミング良く抜け出すが、これは先に寄せてきたDFにクリアされる。さらに、このプレーで得たCKのこぼれ球を、中央で拾ったマギヌンがミドルシュートを狙うが、DFに当たってポスト左へ流れてしまう。

 この日のチームは、ヨンセンだけでなく、増川、バヤリッツァという上背の高い選手をセットプレーの際には前へ上げて得点を狙うが、大宮DFのレアンドロとGK・江角がゴール前に立ちはだかり、なかなかゴールを割ることが出来ない。
 25分には中央からスピードに乗ったドリブルで大宮・ペドロに仕掛けられ、これにつられるように全体のラインが下げられてしまう。さらにペドロに気を取られていると、左サイドから入り込んできた内田に繋がれて、フリーでのシュートを許すが、ここはバヤリッツァがしっかりと足をコースへ伸ばしクリアする。
 しかし、ここで大宮が得た左からのCKのボールがこぼれたところを大宮・冨田に左足で決められ、大宮に先制を許してしまう。

 33分、右に流れた玉田が、中央を走り込む吉村に絶妙のタイミングでパスを送ると、これを強烈に振り抜くが、このシュートは惜しくも大宮GKの正面を、さらにこぼれ球に反応した吉村が続けてシュートを打つがことごとく相手GKに防がれてしまう。

 34分には、またしても大宮にセットプレーから、大宮・レアンドロにヘディングシュートを許すが、ここはゴール内に詰めていた阿部が正面でこれをクリアして、何とか追加点のピンチを逃れる。
 36分、左の阿部からのクロスを逆サイドの小川が中へと落とすと、中央に詰めた吉村がシュート。しかし、これは大宮GKの好セーブに阻まれてしまう。さらにこぼれ球を狙って放ったヨンセンのシュートもポストの右に流れてしまう。
 名古屋はチャンスを作り前半だけで11本のシュートを放つものの、ゴールを決めきれないまま前半を終え、1点ビハインドで試合を折り返す。
 後半に向け「もっとアグレッシブに自分たちのスタイルを、セカンドボールを必ず拾おう」と連戦の疲れの見え始めた選手達にストイコビッチ監督はアドバイスを送り、選手達の気持ちを盛り上げる。
 それを受けて選手達も、「ハーフタイムに選手同士で、集中し直そうと思った。」(バヤリッツァ)、「チャンスは作れていた。ポジティブに考え、後半これを続ければチャンスは来ると思って戦っていた。」(小川)という言葉通り、1点ビハインドの逆境をバネに後半は名古屋が主導権を先に握る。

 6分、中央で中村からのパスを吉村が、DFの裏のスペースへと狙ってパスを出す。しかしこれはヨンセンとのタイミングがあわず、相手ボールになってしまう。
 7分、左から縦パスに抜け出した玉田が、DFをかわして中で待つヨンセンへとパスを送る。DFを背負いながらのヨンセンのポストプレーで落としたボールを、玉田が得意の左ではなく右足でシュートを狙うが、DFに当たってしまいボールが浮いたところをGKに捕らえられてしまった。

 10分、竹内の落としたボールを右から入り込んだ小川がゴール正面に詰める玉田へと送るが、これはシュート体勢に入る前にDFにクリアされてしまう。しかしこれで得たCK、マギヌンからのボールをゴール前のバヤリッツァ、ヨンセンが繋いで、最後ゴール前でこぼれたところに詰めていた増川が押し込み、ついに名古屋が同点に追いつく。
 さらに1分後、今度は自陣から吉村のロングパスによるカウンターで抜け出したヨンセンが一気に持ち上がると、充分なタメを作り、中央に走り込んでくるマギヌンへと丁寧にパスを流し込む。マギヌンの左足による強烈なシュートは、ボールはここまで好セーブを見せていたGK江角の手を弾き飛ばして叩き込み、あっという間の逆転劇で試合を見事にひっくり返した。

 1点ビハインドとなった大宮・樋口監督は、15分に土岐田に代え金澤を投入、24分には、前半から飛ばしてきた小林(大)下げて、デニス・マルケスを入れて攻撃の枚数を増やし勝負に出てくる。
 しかし、名古屋も前掛かった大宮の攻撃の逆手を狙ってカウンターを仕掛け、27分には、左から一気にドリブルで抜け出していった玉田が深い位置まで持ち込んだところでマイナスに入れたクロスに、逆転ゴールを決めたマギヌンがヘディングシュートを狙うが、これは大宮GKに弾き出されてしまう。試合を決める追加点は惜しくも挙げることが出来なかった。
 31分、名古屋1人目メンバー交代:吉村→杉本

 32分には、大宮のデニス・マルケスが右45度の位置からシュートを狙い澄まして放たれるが、ここは楢崎が絶好の反応を見せてシュートを弾き出し、ゴールを死守する好セーブを見せる。
 36分には、自陣中程右寄りの位置でのFKを大宮に与えると、レアンドロが鋭くゴール前に入れたボールに2列目の選手がフリーで飛び込んでくるが、これは触れることなく逆サイドへ抜けていった。

 37分、大宮は最後カードを切って、FW吉原を投入すると、ストイコビッチ監督もすかさずこれに反応し、マギヌンに代えて山口を入れて中盤の守備を固めに入る。さらに39分には玉田に代えて巻を入れ、ロングボールを入れてくる大宮に対しても、攻撃的なスタイルを維持しつつ対応を重ねる。

 42分、カウンターで抜け出した巻が、中へと切れ込んでエリアの外から積極的にシュートを狙うが、これはクロスバーの上へ抜けてしまう。43分、右からボールを細かく突きながら杉本が仕掛ける。杉本は、フィニッシュ持ち込む前に潰されてしまうものの、残り時間を意識したプレーを見せる。

 「フィジカル面、そしてテクニカル面で優れた物を見せてくれた。決定力は足りなかったが、集中力はあった。」
 中2日での試合と言うことで、終盤はお互いの気力勝負となったが、試合後の監督会見でのこの言葉通り、名古屋は先制されても慌てることなく、自分たちのスタイルを変えることはなかった。そして、統一された意識を持って90分間ハードワークを見せ続けた選手達が、鮮やかな逆転劇を見せて大宮を2-1で撃破しリーグ戦3連勝を果たした。