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 徐々に春らしさが増してきたはずの天候が、この日は午前中からドンヨリとした曇り空となってしまい、午後4時半の開場を待たず降り始めた雨のため、午後7時からのJ1リーグ第3節、好調の大分トリニータとのゲームは、水を含んだピッチでのキックオフとなった。
  今日の先発メンバーは、GK守護神・楢崎、DFは右から竹内、開幕戦の怪我から復帰したバヤリッツァ・吉田・阿部の4バック。中盤は右に好調の小川、左はマギヌン、ボランチには中村と吉村が肩を並べる。そしてFWは玉田とヨンセンの2人、4-4-2の布陣だ。
 前半は右にエンドを取るアウェイ・大分に対し、先にボールを得た名古屋は左サイドから攻め上がる。
 1年8ヶ月振りに招集された代表戦では、わずかな時間での出場となり不完全燃焼に終わったFW玉田だったが、この日は開始から相手ボールを奪おうと、前から積極的な守備を見せ、名古屋に良いリズムを引き寄せる。
 すると3分、右の竹内からのスルーパスに抜け出した中村がゴール前へと狙って、右から入れたクロスボールに中央からニアへと走り込んだ玉田が、左足ダイレクトで大分のゴールに叩き込み見事な先制弾を決める。この玉田の技ありのシュートで、試合の主導権を名古屋が握る。

 その後も名古屋は、ヨンセンへと当てたボールを両サイドのマギヌン・小川へと展開し、追加点を貪欲に狙う。13分、中央の中村から右でフリーの竹内へとパスが渡ると、アーリークロスでゴール前へと入れる。しかし、これはカーブが掛かりすぎ走り込んだ味方の背後を抜けてしまう。19分、左からマギヌンのパスを受けて抜け出した小川が、中央に入り込む玉田にあわせようとボールを蹴り入れたが、DFに当たって大きく跳ね返されてしまった。

 一方の大分は、攻撃の核・FWウェズレイにボールを集めながらも、ダブルボランチのホベルトとエジミウソンが両サイドの鈴木・藤田を巧みに操りながら、若い金崎を絡めた早いパス回の攻撃を見せて同点を狙い攻め立ててくる。しかし、開幕戦以来となるセンターバックのバヤリッツァと吉田のコンビが良い連携を見せて、相手の攻撃を跳ね返す。
 ところが39分、ちょっとした隙を突かれて大分の右サイド、藤田からのゴール前への速いパスを中央を飛び出してきた大分・金崎にダイレクトで決められ1-1の同点。試合を振り出しに戻されてしまう。
 後半は気持ちを切り替えて再び試合の流れを引き戻したいところだったが、同点にしたことで勢いづく大分が、立ち上がりから試合を優位に進める。

 12分、玉田が左をオーバーラップする阿部にパスを送ると見せかけて、マギヌンとのパス交換からペナルティエリアに入り込むが、大分DFにボールに先に追いつかれクリアされてしまう。19分、右でボールを持った竹内が、中央へ詰めてゆくヨンセンへ狙ったクロスボールは、ボールに足を伸ばしてきた大分・鈴木に弾かれてしまう。20分、左のスペースへと出たボールをマギヌンがゴール前へと狙うと、中央へヨンセンが飛び込んでいったが、体を先にボールとの間に入れた大分・森重に弾き出されてしまう。

 試合後、大分・シャムスカ監督が「これまでは雨という悪いコンディションでもしっかりパスを繋げられていたが、今日は出来なかった」と反省の弁を語ったのに対し、「ボールが走るのでパスが回しやすく、テンポ良くサイドも変えられたのでうちのリズムに出来た」(中村)と語ったように、途中からは早いパス回しでリズムを掴んだ名古屋が、先に追加点を挙げようとテンポ良く攻撃を仕掛けるようになるが、最後の局面で決めきれずに拮抗した状況が続く。

 そして、こう着した試合の流れを断ち切ろうと大分・シャムスカ監督は、22分、FW前田に代えて松橋を投入する。すると、ストイコビッチ監督もすかさず、疲れの見えてきた吉村に代えてFW杉本を入れて攻撃のてこ入れを図ると、これが功を奏し名古屋の攻撃が再び活性化する。
 そして後半25分。右サイドを上がった竹内が相手ディフェンスをいなしながら左足で上げたクロスを、逆サイドのマギヌンが胸で落とすと、冷静に相手ゴールキーパーの位置を確認しながら強烈に左足を振り抜く。このシュートが大分ゴール右隅に突き刺さり、待望の2点目が名古屋に入る。

 「後半は私のアイデアでストライカーを増やし、より攻撃的に行く必要があると感じた。そしてその起用が当たり、得点を決める事が出来た。私のアイデアが上手くいった」とストイコビッチ監督が自信タップリに語った采配はその後も冴えを見せ、37分にマギヌンに代えて山口を、43分には「今日は特に素晴らしく、高いクオリティを見せてくれた。彼が今日ピッチ上で見せてくれた事には満足している。」と絶賛した玉田を下げて増川を投入、効果的な時間帯での選手交代で大分にリズムを握られることなく試合を進める。4分近いロスタイムも、何とか同点に追いつこうとロングボールを多用してくる大分のパワープレイを増川を含めた高さのあるDF陣がことごとく跳ね返して、終了のホイッスルを迎えた。
 名古屋は1点差を守りきって、ホーム・瑞穂で1年振りとなる連勝でリーグ戦2勝目を決めた。