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 ヴィッセル神戸とのナビスコカップ予選第2節。
「今日のゲームはタフな内容になるだろうと予想をしていた。神戸はJリーグの中でも良くまとまり、激しい戦いをするチーム。」
 試合後の記者会見でストイコビッチ監督が語ったとおり、公式戦2勝1分けと好スタートを切った神戸の厳しいプレッシャーを受けながらの試合となった。

 名古屋は前節、3月20日(木)に行われた第1節・京都戦でホームでのサポーターの熱い声援を受けながらも、最後まで京都のゴールネットを揺らすことはなく0-1で惜敗、悔しい結果に終わってしまった。
 ストイコビッチ監督は、この日は日本代表に参加している楢崎・玉田の他に、ヨンセン・中村、バヤリッツァという選手を入れ替えて新しい4-2-3-1という布陣で試合に臨んだ。
 DFは、左から阿部、吉田、三木、竹内の4バック、中盤のボランチには藤田と山口の2人。そしてワントップ巻のサポート役として、マギヌンを中央に置き、深井、杉本のスピードのある選手がポジションを左右に自在に変えながら攻撃を組み立てる。
 名古屋は、立ち上がりから巻に当てたボールやセカンドボールをなかなか拾うことが出来ない場面が目立つ。そして、ボッティやレアンドロを中心として左の古賀と右の栗原という両サイドが絡んで攻め立ててくる神戸にペースを握られてしまう。名古屋は、時折2シャドーの形で巻に絡もうとする杉本と深井がポジションを入れ替えながらマギヌンからのパスを受けようとするものの、神戸の厳しい守備と早い動き出しに押さえられ、なかなか自分たちのリズムを掴むことが出来ない状況で試合序盤が進む。

 それでも22分、山口からのパスを貰った右サイドの竹内が上がりをみせると、1人かわしてゴール前に鋭いクロスを入れる。そして中央に待ちかまえていた巻が、DFの間に体を上手く入れて、頭でコースを変えたシュートを枠に飛ばすが、これは惜しくも神戸GKの正面を衝いてしまう。

 30分、ボッティがDFの裏へと入れたボールを阿部がカットする。そしてこのボールを西村に渡そうとしたところを詰めてきた栗原に奪われて、シュートを打たれるが三木が体を投げ出して何とか跳ね返した。さらに31分、32分と、神戸の波状攻撃に押し込まれて立て続けにシュートを許す。
 しかし、GK西村が名古屋のサポーターが陣取る目の前で好セーブを連発してゴールを死守する。すると、これが名古屋の選手達の気持ちをひとつにしたのか、チームは落ち着きを取り戻し、その後は良い形で組織的な守備ができるようになる。そして、前半は両者スコアレスの0-0で折り返した。
 エンド入れ替わり、後半は右から攻め上がる名古屋のボールから試合が再開。ハーフタイムに「サイドチェンジを意識して、こぼれ球やセカンドボールを必ずとろう」と監督からの指示を受けた選手達は、立ち上がりから積極性を見せるようになる。しかし、中盤でのボールを拾いきれずに神戸主導で試合を進められてしまう。

 5分、神戸の右CK。古賀が左足で低く入れたボールをニアにいた栗原がワンタッチで流し込もうとしたが、ここでも西村が落ち着いたプレーを見せてシュートを正面でしっかりとキャッチする。7分、神戸陣内中程やや左寄りの位置でFKのチャンスを得る。マギヌンの蹴り入れたボールがゴール前でこぼれ出たところを、前に残っていた三木が右足でシュートするが惜しくも神戸GKの正面を衝いてしまった。
9分、神戸1人目メンバー交代:須藤→吉田
13分、この日、今季初先発の1人、藤田が右に流れながら出したボールを受けたマギヌンが遠目から左足でシュートを狙うが、枠を外れてしまう。16分、神戸が
2人目のメンバー交代(河本→小林)で先に勝負を仕掛けると、ストイコビッチ監督も18分に疲れの見え始めた深井に代えて、今季初出場となる津田を右サイドへ投入。名古屋は、津田の突破力に期待をかける。

 すると23分、津田が右タッチ際を竹内から出たグラウンダーのボールで抜け出し、DFを1人かわしてペナルティ内へと入り込んだところで倒される。このプレーは、ペナルティキックかと思われたが、ファウルのホイッスルは無し。24分、自陣からのロングボールをゴールラインギリギリで拾った杉本がゴール前へと入れたボールに巻が遠いサイドで合わせようと詰めるが、マークに付いていたDFと交錯し相手へのファウルを取られてしまう。名古屋は、なかなかゴールには結びつかないものの、津田の投入で相手のスペースを突く早い攻撃を見せるようになり、試合の流れを引き寄せ始める。

 30分、名古屋2人目メンバー交代:藤田→小川
 35分、中央で巻が落としたボールを右に流れながら拾った津田が右足からのシュートを狙うが、これはクロスバーの上へ外れてしまう。神戸が掴んでいた試合の流れを引き寄せ始めた名古屋だったが、スタジアムには決めきれずに引き分けかという嫌なムードが漂い始める。

 しかし40分、左サイドの阿部が「佑樹が前に入ってくることは良くあるので意識して蹴ったら、それが上手くいった」と語るニアサイドへのクロスをあげる。この“大好物”のボールに巻が頭で合わせ、豪快なヘディングシュートを神戸ゴールへ突き刺さし、名古屋が終了間際に待望の先制点をあげる。

 更にロスタイムには、カウンターから攻め上がった津田が右から持ち込んでシュートを放つ。しかし、これは惜しくもGKの正面を衝いてしまい、追加点を挙げることは出来なかった。
 それでも「今日は素晴らしい仕事をしてくれた。神戸を相手に完封したということは嬉しい。」と監督に言わしめるほど、最後まで高い集中力を見せたDF陣の頑張りと、好セーブを連発したGK西村の活躍が、毎試合得点を挙げている好調・神戸の攻撃から最後までゴールを守り抜いた。
 そして名古屋は、巻の決めた値千金の今季初ゴールで約3年ぶりとなるナビスコカップの勝利をアウェイの地で収め勝ち点3を手に入れた。