月刊グラン10月号のご紹介[宮原和也選手インタビュー]

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不可欠の男。

ミスしても取り返せばいい
そう思うと視界が広がった

 今季の補強戦略の一つであった、J2という置かれた状況を逆手にとった期限付き移籍による"武者修行"の受け入れ。宮原和也はまさにその成功例である。開幕から30節までの期間でピッチ外にいたのはわずかに46分のみ。その30試合全てに出場していたのは宮原ひとりだけであり、しかも右サイドバックに始まりボランチ、右ワイド、3バックと類稀なる万能性まで見せつけている。ポジション柄、試合を決めるような派手な仕事をするタイプではない。しかし彼なくして今季の名古屋の歩みもない。21歳という若さはまだまだ勉強中の面も多いが、それだけに旺盛な吸収力も兼ね備える。その端正なマスクの裏側に、限りない向上心を秘めて。背番号15はチームの先導者として、今も先頭を走り続けている。

 ここまで試合に出続けてきた中では、やっぱり夏の連戦がキツイなと感じましたし、実際、前の試合(福岡戦)では自分がキレのある動きをできませんでした。連戦は難しいです。去年は練習がハードな中でケガしてしまう部分があって、それでチャンスを逃してしまうことがありました。だから今年はなるべくケガをしないことを自分の目標としてやってきましたし、身体のケアは去年よりもずっと気を遣っています。次の日の練習に100パーセントのコンディションで臨めるように、前日にケアをしていますし、以前の自分に比べて試合に出られる数も増えて、試合に対する考え方は変わりました。

 自分もシーズンの初めよりは技術的にも精神的にも成長できていると思いますし、それはみんなも一緒です。ボールはしっかりつながるようになりましたし、チームとして成長しています。その中で自分も試合に出続けたい気持ちを持ち続けた上で、自分がどうやって良くなっていくかというのを考えながら、今はできています。とりあえず自分の持ち味は攻撃よりも守備だと思っていますし、そういう部分では去年から試合で通用していると思える部分もあります。でも、自分は以前から攻撃をもっと高めていかないとダメだと思っているんです。攻撃も守備もやれるようになると良いですし、まだまだ本当に、上に行きたい。

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 環境や立場の変化は人を変える。中学生年代から広島の育成組織で育った宮原にとって、リーグ屈指の強豪となった古巣は激しい競争がありながらも勝手知ったる我が家でもあった。その居心地の良い場所を期限付きとはいえ手放す行為は若さゆえのチャレンジでもあり、賭けに近いものでもある。自分という選手を一からプレゼンし直し、評価をプレーだけで勝ち取っていくのは並大抵の作業ではないからだ。しかし宮原はその覚悟とともに名古屋にやってきたことを、一つの行動に表してきた。周囲に頼らず、己が身にて解決の糸口を探ってきたのである。近くには佐藤寿人という広島時代からの頼れる先輩もいたが、あえて相談はしなかった。「結局は自分なので」。その自立心が、彼の躍進の原動力だ。

 うまくいかない時期もありました。シーズンの最初の方です。ちょっと自分が思う通りにプレーできないなと感じる時期がありました。でも、やるしかないなと思った。いい意味で開き直れた部分もありましたね。自信を持ってプレーできていなくて、ミスが何回も続いてということもあって、自分で自分を追い込んだというか。そういう時に、やっぱりメンタルって大事なんだなと思ったし、だから自信を持ってやれるようにしたいというのは今も思っていることです。いろいろ考えましたけどね、あの時は。考えすぎた部分もありますし、技術的な部分での問題もありました。ボールが来る時に慌ててしまっていたし、なるべくそうならないように自信と勇気を持ってやるようにしたのが良かったと思います。ミスをしてはいけないですけど、ミスをしてもいいからと自信を持って前向きにプレーすれば、ボールを失っても取り返せばいい。そういう考えになれると視野が広くなって、いろんなものが変わりました。周りの人ともあまりそういう話はしなかったんです。できるだけ自分でと思っていたので。やっぱり自分の問題でしたし、そこから逃げずにやろうと思っていました。移籍してくることについてもしっかり覚悟を持って来ましたし、絶対に試合に出て活躍するという目標を持って来ました。そういう部分も良かったのかなと思います。


自信に満ち溢れた立ち居振る舞いは実に頼もしい。守備のポリバレント、そしてそれ以上のポテンシャルを持つ宮原選手、チーム最多の出場試合数を誇る不可欠の人材である背番号15の姿は...。
続きは『Grun』2017年10月号をぜひご覧ください。

grun-2017-10.png[グラン インタビュー]
不可欠の男。
宮原和也

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