明治安田生命J2リーグ 第36節 山口戦前々日 監督会見

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本日10月5日(木)、トヨタスポーツセンターでの非公開トレーニング終了後、風間八宏監督の記者会見を行いました。


風間八宏監督

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─ここ2試合グランパスらしさを取り戻したように感じますが、結果の出なかった4試合と比べ、何が変わったのでしょうか?

1つはゴール前の質、丁寧さです。そこのところの明確化が大きな違いだと思います。それ以外はそれほど変わっていないけど、そこのところが大きな違いだと思います。

─それは自発的な変化なのでしょうか?

もちろん、自分たちの中の変化でしかないし、以前だったら最後の1本前のパスが時間の違いでずれてしまったり。崩しているのは同じだけど、シュートの部分でふかしてしまったりもそうだし、ゴール前のところもそうだし。特別なことをしているわけではなく、どんどん積み重ねているだけなので。これがもっと体の中に染み込んでくれば、もっと違うものになってくるし、もっと安定したものができてくると思います。

─今週のトレーニングでは守備の部分での確認もあったようですが?

今週というよりずっと頭の中でやっていることです。何かと言えば、それは守備ありきではなく自分たちがどれだけ攻撃ができ、それでどういう現象が起こるかということへの明確化。そして個人戦術。たとえば10mを守れる選手と20mを守れる選手で全然違うし、それをずっと続けているけれど、そこのところでわかってきた、目が揃ってきた。ではもう少ししっかりやりましょう、まだまだ揃っていない部分もあるということの確認。それと同時に、半分(ハーフコート)から出さなければ自分たちの時間はもっと長くなるので。(守備)片方だけの練習ではないし、それだけやれば良いというものでもないし、しっかりとしたクオリティのサッカーをしなければいけません。

─岐阜戦では佐藤選手がポジションを変えてプレーし、ある意味驚きに感じましたが?

そうだね、頭が良いんだよ。全員そうだけど、そういうことをすると無駄がなくなるから。逆に言うと走る必要がないところを走らなくてよくなる。もう1つは自分たちがボールを持てて走れば自発的なものなので、運動の強度が違います。やらされて動くのと、やって動くのでは運動量が全然違うから。精神的なものも違うし、寿人(佐藤選手)もそうだけど、全員がそうで、本来持っているずる賢さが出てくるようになったのではないかな、それは全てテクニックの中でのことですが。

─ここ2試合、玉田選手、佐藤選手のベテランがすごくゲームを作っているようにも感じますが?

もちろん2人の存在もあるけど、それは全員です。歳は関係ないし、若手だろうがベテランだろうが、どんどん伸びてもらわなければいけない。そういう意味で彼らの時間、質もどんどん上がってきているので、いつも言っているとおり若手とベテランで分ける気はないし、そのままやっていってもらえば良いと思います。

─これだけ得点の多いチームで、失点も多くなっていることについてはどうお考えでしょうか?

何を取り上げるかだよね。普通で言えば、もっと下位にいる数字だけど、どこにもやれないことをやっているということです。それは気にする必要がないし、自分たちの精度がもっと上がれば、それ(失点)は減っていく。点が取れないということが問題で、それをしっかりと積み上げてきているので。その中で少しずつ抑えるようになってきている、自分たちが速くなれば、守り方も速くなるわけだから。それに対し個人の選手術、目がついてくるかということで、前で点が取れなければ、そうならないわけです。どちらが軸かと言えば、そっち(攻撃)が軸で、その中でバランスを取るということです。

─佐藤選手のキャプテンシーというものも大きいのではないでしょうか?

抽象的なことはわからないし、全員が伸びてくれることが一番で。プロとは先頭を走る人がリーダーになる、その選手の背中を見てみんなが行く、あの人はベテランだけど朝から出てきて、などということは関係ない。ここはそういう場所で、彼らがいま試合に出ているということ自体がチームにとっての良い影響であり、キャプテンシーと言葉で言ったところで意味がなく、それをプレーで見せる人がリーダー。その意味では全員がリーダーになっていると思うし、もちろんその中で寿人は諦めず、頭を固めず先へ先へと進んでいる素晴らしいプロ選手だと思います。それは他の選手にも言えることです。

─頭が固くないベテランが多いことは助かりますね?

本来ベテランとは歳をとっている選手のことではなく、全てがうまい選手のことです。一番走ることができて一番うまい選手、それがベテランです。本当のキャリアを積んでいて、頭の固い選手は大成するはずがない。若くても頭の固い選手は伸びていかないし、普通の話です。

─FC岐阜戦で佐藤選手がポジションを変わっても対応できたのは、監督がこれまでに固定概念を崩してくれていたから対応ができたと話していましたが?

グランパスのサッカーを見てもらえば分かるとおり、戻るポジションはあるけど攻めるポジションは自由。自由とは相手を崩すためで、相手を崩していればポジションは関係なくなる。岐阜戦の3点目を見れば、寿人はセンターフォワードの位置でプレーしていたし、理解していればあのようなプレーがどんどん出てくる。逆に言えば、真ん中で仕事をさせるために真ん中へ置くよりも、サイドからの方が良いかもしれない。こうすればこうなるというパズルではなく、相手を崩す、引き離すためのアイデアを作っているわけで、彼の中の個人戦術は、シーズン始めとはもう違うものになっています。

─チーム全員に、迷いがなくなってきましたね?

まだ迷っていたら困るんだけどね(笑)。それでも、これからも何度もいろんな問題が出てくる、それを自分たちでできればそこからまた先に進むわけで、それが積み重ね。だから自分たちにはゴールはないと言っているけど、彼らの創作意欲と創作能力がどんどんサッカーを変えることを楽しみにしていますし、選手全員に期待している。これはずっと変わっていません。