2014シーズン試合結果
試合前
日中は35度を超える猛暑となったが、夕方になり幾分かは過ごしやすくなったように感じられる名古屋市瑞穂陸上競技場。第94回天皇杯3回戦は、戦い慣れた瑞穂で京都サンガF.C.との対戦となる。
7月に行なわれた同大会2回戦では愛知県代表トヨタ蹴球団に勝利し勝ち進んだ今日の試合。土曜日の行なわれたJリーグ・ガンバ大阪戦でリーグ戦8試合ぶりの勝利を飾ったグランパスだが、今日の試合では今週末のリーグ戦もにらみ、怪我の不安を抱える楢崎、ケネディがメンバーからはずれ、ダニルソンもベンチスタート。ガンバ戦でメンバーから外れた玉田と、久しぶりのフォワードでの先発出場となる松田が2トップを組む事となりそうだ。
グランパスにとって久しぶりの対戦となる京都サンガF.C.。ディフェンスにはかつてグランパスでもプレーしたバヤリッツァが入り、試合前にはクラブスタッフらと笑顔で挨拶を交わしていた。
少し風も出て来た午後6時30分、ウォーミングアップのためフィールドプレイヤーがピッチへと姿を現すと、平日にも関わらず、すでに瑞穂へと駆けつけているサポーターが立ち上がり、拍手で迎え入れれた。
この真夏の気候のなか土曜日、水曜日、土曜日と試合を行なう過密日程。両チームとも多少のメンバーを入れ替えてのぞむ今日の試合だが、グランパスにとっては、リーグ戦で出場機会に飢えている選手達の奮起、活躍に期待したい。
前半
今日の名古屋、ゴールキーパーは高木。ディフェンスラインは右から矢野、牟田、闘莉王、佐藤の4人。小川、中村、磯村、矢田の4人が中盤を構成し松田、玉田の2トップによる4-4-2のシステムでのスタートが予想される。
前半、メインスタンドから向かって左にエンドを取った赤のユニフォーム名古屋ボールでキックオフ。
1分、左サイドを上がった京都・山瀬のクロスは佐藤がヘディングでクリア。
2分、自陣で闘莉王のパスカットから左の矢田を狙うが、ハーフライン付近でボールはカットされてしまう。
3分、左サイド高い位置でボールを受けた矢田からグラウンダーのボールは京都・バヤリッツァにクリアされる。
5分、名古屋陣内左で京都ボールのスローイン、素早く左へ流れる京都・横谷の前を狙ったボールは牟田がスライディングでタッチラインへとクリアする。
6分、闘莉王からのボールを左サイド高い位置で受けた佐藤の折り返しは中央で相手ディフェンスにクリアされる。
7分、ハーフライン付近で中村のパスカットからのボールを受けた小川が前線の松田へと楔を狙うが、このボールはコースが合わずカットされてしまう。
【得点】
8分、自陣からの縦パスに相手ディフェンスラインの中央を抜け出した松田がディフェンスを引きずりながら右へ流れコースを作り右足でシュート。これが京都ゴールネットを揺らし幸先よく名古屋が先制に成功した。
10分、京都ペナルティエリア左でボールを受けた矢田がドリブルを仕掛けコーナーキックを得る。名古屋・左からのコーナーキック。小川が右足で上げたボールをファーサイドの牟田が折り返すが、このボールは中央でクリアされる。
12分、自陣センターサークル付近で中村が京都・横谷のドリブルを引っかけてしまい、このプレーで中村に対しイエローカードが提示される。
14分、高木からのゴールキックを京都・バヤリッツァがヘディングで跳ね返すが、このボールは闘莉王が見送り高木が抑える。
15分、京都・工藤の右からペナルティエリア内へのドリブルは闘莉王がコースを塞ぎ、こぼれたボールは牟田がタッチラインへとクリアする。
16分、右からマイナス方向へのクロスをニアサイドへ飛び込んだ京都・横谷に頭で合わせられるが、このシュートは高木が弾きゴールラインを割る。
17分、京都・右からのコーナーキックは松田がヘディングでクリア。
18分、左から中へと持ち込んだ京都・山瀬のペナルティエリア手前から右足のシュートはクロスバーを越える。
20分、名古屋ペナルティエリア手前左からドリブルを仕掛けた京都・山瀬の低く強いシュートはポストに当たり枠を外れる。
21分、玉田からのパスに京都ペナルティエリア右へと飛び出した松田がグラウンダーで中央を狙うが、このボールは相手ディフェンスにクリアされてしまう。
22分、ハーフライン付近の中村から前方へと流れる松田を狙った低いボールは京都・バヤリッツァにカットされる。
24分、自陣右でボールを拾った牟田が京都・横谷に密着されるが、ここは体を入れ替え右タッチラインへとボールをクリアする。
25分、名古屋ペナルティエリア手前右でボールを受けた京都・工藤からグラウンダーのクロスは牟田がゴールラインへとクリア。
26分、京都・右からのコーナーキックは松田がヘディング、浮き上がったボールは佐藤がヘディングでクリアする。
28分、自陣中央で中村からのボールを受けた闘莉王が一気に前線へと上がる玉田へと狙うが、このボールは足を伸ばしたディフェンスに引っかけカットされてしまう。
29分、名古屋陣内左タッチライン際で粘った京都・山瀬に中へと折り返されるが、こぼれたボールは闘莉王がオーバーヘッドの形でクリアする。
30分、京都・高橋から名古屋ゴール前への速いボールは高木が抑える。
31分、京都ペナルティエリア右で松田の落としを受け、左足へ持ち替えた矢田のクロスをファーサイドの小川が頭で落とすが、このボールは相手ディフェンスにクリアされる。
32分、ハーフライン付近左で佐藤が京都・工藤を倒しファールの判定。
35分、センターサークル付近で牟田からの楔を受けた玉田が倒れるがノーファール、すぐに立ち上がり玉田自身がボール奪取を狙うが、ここで相手を倒してしまいファールの判定となってしまう。
37分、京都陣内センターサークル付近の磯村から縦を狙ったボールは球足が早く京都・オが直接キャッチ。
38分、名古屋陣内左から京都ボールのフリーキック、名古屋ゴール前へボールがこぼれるが、矢野がスライディングでゴールラインへとクリアする。
39分、京都・右からのコーナーキックはニアサイドでこぼれ、これを拾いカウンターのドリブルを狙った矢田が倒され自陣左でフリーキックを得る。
41分、京都・山瀬が左サイド高い位置でボールを受けるが、これはオフサイドの判定。
42分、京都・工藤からのクロスは名古屋ゴール前中央の矢田が右足でクリア。ここからカウンターを仕掛ける名古屋。前線の松田から右の小川へと展開し京都ゴール前へのクロスは相手ディフェンスにゴールラインへとクリアされる。
【得点】
43分、名古屋・右からのコーナーキック。小川が右足で上げたボールは相手ディフェンスにゴールラインへとクリアされる。再び名古屋・右からのコーナーキック。小川が右足で上げたボールを中央外よりの闘莉王が相手の上から高さのある強いヘディングで合わせゴール、2点差とした。
45分、右サイド高い位置を突破した京都・工藤からのマイナス方向への折り返しに走り込んだ京都・山瀬に右足で合わせられるが、このシュートは枠の左へと外れる。
(アディショナルタイム表示:1分)
アディショナルタイム1、京都陣内左高い位置の佐藤からサポートに入った磯村へのパスは相手ディフェンスにカットされる。
ここで前半終了。
試合開始早い段階で先制に成功した名古屋だが、その後はどちらかと言えば京都のペース。それでも闘莉王、牟田の中央の2人と高木の好セーブ、ポストに助けられる場面もあり無失点で耐えると、前半終了間際にセットプレーから追加点に成功。
後半、京都は今シーズンここまでJ2リーグ得点ランク首位の元日本代表・大黒の投入も考えられるが、リードする名古屋としてはしっかりとした守備からカウンターでさらなる追加点を狙いたい。
後半
エンドを替えた後半、京都ボールでキックオフ。
1分、京都・横谷が右サイド高い位置で粘り得た右からのコーナーキック、名古屋ゴール前へのボールはニアサイドの磯村がヘディングでクリアする。
2分、左からの浮いたクロスを名古屋ペナルティエリア手前右の京都・山瀬が右足ダイレクトで狙うが、このシュートはクロスバーを越える。
3分、京都ペナルティエリア手前右でボールを受けた玉田から中を走る松田、矢田を狙うがボールはいずれも背面に入り外へと流れる。
4分、左サイドを上がった京都・福村からの折り返しは高木が正面で抑える。
5分、京都陣内中央センターサークル付近で接触した松田がそのままピッチに倒れたため一旦ボールを外へと出すが、その場で立ち上がりプレーは続けられるようだ。
6分、自陣ハーフライン付近でボールを受ける松田が京都・中山に倒されフリーキックを得る。闘莉王からのリスタート、前線へのボールに反応し小川が追うが、このボールは京都・オが先に抑える。
7分、京都・左からのコーナーキック、ショートコーナーでのリスタートを小川が奪うとそのまま縦へのドリブルから右の矢田へ、ペナルティエリア内へ持ち込み中の玉田を囮にさらに縦を狙った矢田のドリブルを倒されペナルティキックを得る。
【得点】
8分、このPKを玉田が左足でゴール左上へと蹴り込み後半開始早い段階で3点差とした。
10分、センターサークル付近の闘莉王から右に開く矢野を狙ったボールは京都・福村にカットされてしまう。
11分、京都陣内中央でボールを受けた矢田が縦へと短いドリブルから左足でのミドルシュートを狙うが、このボールは相手ディフェンスに当たりクリアされる。
12分、センターサークル内でボルを受ける中村が京都・石田と接触したため一旦ボールを外へと出すが、プレーは続けられるようだ。
13分、京都1人目交代:山瀬→大黒
京都・工藤が右からドリブル突破を狙うが、佐藤が体を入れ相手のファールを誘う。
14分、自陣から一気に左サイドを上がった佐藤の低いクロスに小川が中央へと走り込むが、このボールは先に相手ディフェンスにクリアされる。
15分、名古屋ペナルティエリア右でボールを受けた京都・大黒を佐藤が後ろから引っかけてしまいフリーキックを与える。
16分、名古屋ペナルティエリア右から京都ボールのフリーキック、名古屋ゴール前へ低めのボールをニアサイドの京都・横谷に頭で合わせられるが、このシュートは枠の右へと外れる。
18分、センターサークル付近でのパスカットから右へと流れる中村、京都ペナルティエリア中央へ走り込む松田と狙うが、このパスは相手ディフェンスにカットされてしまう。
19分、左サイドハーフライン付近でボールを受ける玉田が京都・中山に後ろから倒されフリーキックを得る。
20分、左サイド高い位置でボールを受けた矢田の縦へのドリブルから右を上がる小川の前を狙ったボールは上手く曲げることが出来ず京都・オに直接キャッチされてしまう。
【得点】
22分、ハーフライン付近で松田が粘りサポートの玉田へ、これを玉田がダイレクトで左サイド高い位置の矢田へと通す。ここで矢田のタメから中央へ低いボールに走り込んだ玉田が左足ダイレクトで合わせ4点目となるゴールを決めた。
24分、名古屋ペナルティエリア手前中央でボールを受けた京都・駒井の未痔足のシュートは枠の右へと外れる。
25分、自陣でこぼれたボールを闘莉王がダイレクトで右の矢田へ、ここから縦へのドリブル、大きく蹴りだしたボールにインターセプトを狙った京都・バヤリッツァと交錯し矢野のファールを取られる。
名古屋1人目交代:矢野→ヘジス
26分、名古屋陣内右で佐藤のパスをカットした京都・大黒がそのままドリブルから左足で狙うが、このシュートはクロスバーを超える。
28分、名古屋陣内右中央から京都ボールのフリーキック、名古屋ゴール前へのボールのこぼれ球を右へ流れた京都・横谷に狙われるが、このシュートは高木がブロック、ゴールラインを割る。
29分、京都・右からのコーナーキックは中央のヘジスがヘディングでクリア。
30分、名古屋ペナルティエリア手前右でボールを受けた京都・駒井のシュートが佐藤の足下を抜けるが、このボールは高木が正面で抑える。
31分、先のシュート後、ペナルティエリア付近で倒れた京都・駒井がそのまま担架で外へと出される。
32分、京都2人目交代:駒井→伊藤
34分、名古屋陣内右でボールを持った京都・高橋のクロスはヘジスがタッチラインへとクリア。
35分、右サイド高い位置でボールを受けた京都・高橋からのクロスは逆サイドを上がった京都・福村に当たりゴールラインを割る。
37分、名古屋陣内右でボールを受けた京都・横谷から名古屋ゴール前へのボールは磯村がコースを塞ぎ高木が抑える。
38分、名古屋2、3人目交代:闘莉王、玉田→永井、田口
39分、田口からのボールを左サイドで受けた矢田が縦へのドリブルを仕掛けるが、ここは相手ディフェンスにコースを遮られボールは直接ゴールラインを割る。
40分、名古屋ペナルティエリア内右で縦へのドリブルを仕掛けた京都・伊藤のクロスは佐藤に当たりゴールラインを割る。
41分、京都・左からのコーナーキックはヘジスに当たりゴールラインを割る。京都・左からのコーナーキックは名古屋ゴール前を飛び越え逆サイドタッチラインを割る。
42分、京都3人目交代:石田→田村
京都陣内中央で小川が相手横パスを胸トラップでカット、そのまま一気にペナルティエリア内へと持ち込むがディフェンスに囲まれシュートへは持ち込めずボールは京都・バヤリッツァにクリアされる。
43分、京都ペナルティエリア手前から田口のミドルシュートは京都・オに枠の外へとクリアされる。名古屋・右からのコーナーキック。小川が右足で上げたボール、中央でのこぼれ球を佐藤が右足ボレーで狙うが、このシュートはクロスバーを越える。
44分、京都・伊藤が右からスビードに乗ったドリブルを仕掛けるが、なんとか追いついた矢田がゴールラインへとクリア。
45分、京都・右からのコーナーキック。ショートで繋ぎ名古屋ゴール前のボールをファーサイドで折り返されるが、ここで京都のファールとなる。
(アディショナルタイム表示:4分)
アディショナルタイム1、京都・田村の左から中へのドリブルは牟田がボールをタッチラインへとクリア。
アディショナルタイム2、左からのアーリークロスに名古屋ゴール前へと走り込んだ京都・大黒に背面でのヘディングを合わせられるが、このシュートは枠の右へと外れる。
アディショナルタイム3、左サイドハーフライン付近で田口が引っかけられフリーキックを得る。
アディショナルタイム4、京都・伊藤の右サイドでのドリブルは戻った矢田がカット、これをクリアする。
そしてここで試合終了。
後半も開始早い段階からPKで追加点に成功すると、その後も安定して名古屋のペース。さらに松田の粘りから玉田らしい美しいゴールで4点差に成功すると、最後は週末のリーグ戦にそなえ連戦の影響を最小限にとどめようとベテランを下げる采配を見せた西野監督。結局J2京都を相手に4-0の快勝で9月に行なわれる4回戦への進出を決めた。
試合終了後記者会見
点差がつきましたが、内容には納得していません。前半は相手にポゼッションを許し、こちらがリアクションしていました。この試合の全体的な狙いとしては、最初からプレスをしっかりやって自分たちでポゼッションしてゲームを構築することでしたので、その狙いがあまり共有出来ていなかったのは残念です。
京都の最終ラインが速いのは知っていました。最初の得点は有効でしたが、自分たちでもっと良いタイミングを作るためのポゼッションが足りていませんでしたし、全体的に運動量も不足していました。そんな中、前半の2点でなんとかゲームを後半に繋げられましたが、ハーフタイムにはスイッチを入れ直して、ゲームを進めていきました。そのため、3点目が入った頃には、試合はある程度コントロール出来ていたと思います。ただ、今回の内容を勝ち切った・やり切ったとは捉えていません。攻撃面でのもの足りなさを感じました。
今回に限らず、中盤でなかなかボールが奪いきれない試合がよく見られますが、その点を改善するためにはどうしていくのでしょうか?
今日も京都のサイドアタックに全体で捉えていましたが、本来は特に中盤のワイドの選手と最終ラインのサイドバックとの連携の中で抑えていかなければなりません。
それぞれポジショニングはとれていますが、ファーストディフェンダーのアプローチのスピードが遅かったり、動きは揃っているのに、前にいくための迫力がありません。小川にしても旭(矢田選手)にしても、悪い時はそういう連動を生むための最初の入りが少し弱いために、全体も押し上がりません。
無論それは今日に限らず、中盤の選手のディフェンスの意識はありますが、迫力やテクニカル的な部分が足りていません。足りないということが分かっている時は、しっかりと距離を近くしてというトライが出来ていますし、その時は2つ目3つ目の動きで奪えています。やはりダニルソンや永井が、40m・50mの距離を3回繰り返し走って奪うよりも、20m・20m・20mの距離感の中で、みんながディフェンスをしながらカバーをしていかないと、なかなか、個の力でボールを奪取するのは難しいです。
今日みたいなコンディションの中だと、プレッシングはなかなか高い位置でかかりませんし、自分たちのエンドでブロックを作っても、そういう連動性が利きづらくなります。無失点で抑えられた試合に、色々と突いたりするのはあまりしたくはありませんが、改善に向かっていくためや、より高いステージでやっていくためには、集中力と距離感を持ったディフェンスというのが必要だと思います。
FWの人選をリーグ戦とは入れ替えて、今日はその2人がゴールをしたわけですが、彼らについての評価をお願いします。
評価は出来ます。前線の選手は得点をとることやフィニッシュに絡むこと、それを増やしていくこと、というように目標が明確なので、そこで結果を出したいという彼らの意欲は強く感じました。そういう競争力があってこそ、更に良くなっていくと思いますので、良いことは良いと十分評価しつつ、チームの中でもっともっとレベルアップしていって欲しいと思います。