2013シーズン試合結果
試合前
猛暑に見舞われた日本列島。2013J1第21節はアウェイでサンフレッチェ広島との対戦となる。
前節、ホームでの浦和レッズ戦に勝利し、連勝を5とした名古屋。その浦和戦では玉田、ケネディの両フォワードが得点、そして実に4月以来となる完封勝利を収めた。しかしながら同ゲームで中村、ケネディの2人がイエローカードを受け、累積4枚により今節は出場停止となった。中断以降6勝1敗と調子を上げたグランパスだが、レギュラーメンバーが固まっていたため、2人の停止がチーム戦術にどう響くかが興味深い。
西日がホーム側サポーター席後方に沈み、少しだけ涼しさを感じられるようになった午後6時30分、ウォーミングアップのため選手がピッチへと姿を現す。今日の注目はなんと言っても復帰した永井謙佑。今春ベルギーリーグへ移籍したスピードスターだが、出場機会を求め来年6月までの期限付き移籍での復帰となった。今日はベンチスタートだが、出場機会があれば爆発的なスピードで、今のチームにまた違った風を運び込んでくれるのではないだろうか。
ケネディの欠けたフォワードに、今日はそのままのポジションで矢野の出場が予定されている。今のグランパスは前線からのチェイス、ディフェンスをベースに短い手数で相手ゴールまで迫るシーンが多く、前線での汗かき役として、そしてここまでリーグ戦ではゴールが無いが、フィニッシャーとして今シーズン初ゴールにも期待したい。
前半
メイン、ホームゴール裏、バックスタンッドを紫に染めるサンフレッチェサポーターと、アウェイ側ゴール裏の一角を赤く染めるグランパスサポーター、双方のボルテージが高まるスタジアムに22人の選手が姿を現す。
今日の名古屋、ゴールキーパーは楢崎。ディフェンスラインは右から田中(隼)、闘莉王、増川、阿部の4人。藤本、田口、ダニルソン、小川の4人が中盤を構成し、玉田、矢野の2トップによる4-4-2のシステムでのスタートが予想される。
前半、メインスタンドから向かって右にエンドを取った白のユニフォーム・名古屋ボールでキックオフ。
1分、ディフェンスラインからの縦パスに広島・佐藤が名古屋ディフェンスの裏を狙うが、戻ったダニルソンがボールをクリア。
2分、左サイド高い位置で阿部のオーバーラップをおとりに小川が中へグラウンダーのクロスを入れるが、このボールは広島・千葉にタッチラインへとクリアされる。
3分、田中(隼)からのアーリークロスをペナルティエリア内の矢野が胸トラップからキープを狙うが、このボールは相手ディフェンスにクリアされる。
4分、広島陣内左の阿部からのアーリークロス。ペナルティエリア付近の藤本がダイレクトボレーで狙うが、このシュートはクロスバーを超える。
5分、左サイドハーフライン付近で阿部と広島・石原が交錯、ここは名古屋ボールのフリーキックとなる。
6分、広島陣内中央左寄りで小川が倒され、フリーキックを得る。
7分、広島ゴール左寄り30m程度の位置から名古屋ボールのフリーキック。藤本が左足で広島ゴール前へ上げたボールは前へ出た広島・西川にキャッチされてしまう。
8分、右サイドを上がる広島・ミキッチの前を狙ったボールは直接タッチラインを割る。
10分、広島ペナルティエリア付近でパスカットした阿部がそのまま中へとクロス。ファーサイドで矢野が走るが届かず、ボールは直接ゴールラインを割る。
12分、広島陣内中央を持ち上がった闘莉王から左の阿部、ダイレクトで中への折り返しを狙うが、このボールは相手ディフェンスにクリアされる。
14分、自陣でのパスカットから広島右サイドの広島・ミキッチへ預け、カウンターのドリブルを仕掛けるが、しっかりと戻ったダニルソンがノーファールでボールを奪い、これをクリア。
堅守速攻を得意とする広島に対し、圧倒的にボールを支配しながら、まだ決定機は作り出せていない名古屋。試合開始からここまで両チームのスタイルが表れた試合展開が続く。
16分、自陣からのカウンターで右サイドを上がった広島・ミキッチからのクロスは増川がクリア。この前のプレーで広島・石原をスライディングで止めた田口にイエローカードが提示される。
17分、広島・右からのコーナーキックはニアサイドの小川が頭で触り、ファーサイドへ流れたボールはダニルソンがタッチラインへとクリア。
18分、自陣左ハーフライン付近でドリブルを仕掛けた矢野が倒され、フリーキックを得る。
19分、センターサークル付近の闘莉王から左サイドを駆け上がる小川の前を狙うが、このボールは直接ゴールラインを割る。
21分、再びセンタサークルの闘莉王から左を上がる小川へのボール、今度は小川がダイレクトで中へと折り返すが、このボールは広島・西川にキャッチされる。
22分、名古屋陣内右ハーフライン付近で広島・水本を矢野が引っかけて倒し、フリーキックを与える。
23分、広島・ミキッチが右サイドから仕掛け、中へのクロスは田中(隼)がヘディングでクリア。こぼれ球を広島・岡本にミドルシュートで狙われるが、ボールは枠の左へと外れる。
24分、右サイドハーフライン上で田中(隼)と広島・清水がハイボールを競り合うが、ここは田中(隼)のファールを取られる。ここからのリスタート、1本のパスで広島・佐藤が名古屋ディフェンスの裏を狙うが、ここはしっかりとラインを上げオフサイドの判定となる。
25分、ハーフライン上でボールを回す名古屋。自陣に戻り守備のブロックを形成する広島に対し出しどころが無く、闘莉王がタイミングを外し、田中(隼)の前を狙ったボールは直接タッチラインを割ってしまう。
27分、センターサークル付近で矢野が競り合い、こぼれたボールを小川が玉田へ。その玉田がドリブルで持ち上がり、ペナルティエリア付近で切り返し、左足でのミドルシュートを狙うが、ボールはクロスバーを超える。
28分、阿部からのパスを左で受た小川がドリブルで仕掛け、コーナーキックを得る。
29分、名古屋・右からのコーナーキック。小川が右足で上げたボールをニアサイドの闘莉王が頭でそらすが、ボールは枠の右へと外れる。
依然としてボール支配率の高い名古屋だが、膠着した試合が続く。
31分、センターサークル内で広島・高萩と矢野、ダニルソンが交錯。ここは広島ボールのフリーキックとなる。
32分、ディフェンスラインからの縦パスに広島・ミキッチが右サイドを上がるが、阿部がコースを抑え、ボールは直接ゴールラインを割る。
33分、右サイドを上がった広島・ミキッチからのクロスは増川が跳ね返し、闘莉王がクリア。
35分、阿部からのパスに広島ペナルティエリア内左へ進入した小川からグラウンダーのクロスは、中央で相手ディフェンスにクリアされる。
36分、広島・西川からのゴールキックを競り合う増川に対し、広島・石原の肘が顔に入り、名古屋ボールのフリーキックとなる。
38分、田中(隼)からのアーリークロス。矢野が頭で落とし、エリア内右の田口が左足で狙うが、足下に入り過ぎたボールは上手くヒット出来ず枠の右へと外れてしまう。
39分、中央を上がった闘莉王から左サイドの阿部の前を狙うが、ここは戻った広島・ミキッチにボールをクリアされる。
41分、広島陣内中央の田口がターンし、ペナルティエリア付近の矢野へ鋭いパスを狙うが、ここはタイミングが合わずボールは直接ゴールラインを割る。
43分、広島ペナルティエリア内左で小川がドリブルを仕掛け、相手ディフェンスと交錯。こぼれたボールを矢野がキープ、戻したボールをダニルソンがエリア内へ狙うが、ここは広島・西川に直接キャッチされる。
44分、広島ペナルティエリア付近でボールを受けた広島・塩谷に矢野、阿部の2人で挟みボール奪取を狙うが、ここで相手を倒してしまい、ファールの判定となる。
45分、左から広島・水本がボールを持ち上がるが、戻った藤本がボール奪取、その場で倒され名古屋ボールのフリーキックとなる。
(ロスタイム表示:1分)
ロスタイム1、広島陣内ハーフライン付近でボールを回す名古屋だが、それでも相手の守備ブロックに出しどころを見つけられず、ここで前半終了。
45分を通しボールを支配した名古屋だが、決定的な場面はそれほど作り出せなかった前半。堅守から精度の高いカウンターを武器とする昨年のJリーグ王者広島が相手にはパスミスは許されないが、後半は更なるチャレンジでゴールをこじ開けたい。
後半
エンドを替えた後半、広島ボールでキックオフ。
2分、ハーフライン付近で名古屋がボールを回すが、依然として9人で守る広島に対し、パスの出せない状況が続く。
5分、広島ペナルティエリア左手前の阿部からエリア内へ走る小川の前を狙うが、僅かに追いつけず、ボールはゴールラインを割る。
6分、左サイドハーフライン付近で広島・高萩が倒れたため、一旦ボールを外へと出し、プレーが止められる。
10分、右サイドで田中(隼)が粘り前へのボール、ペナルティエリア内で藤本の折り返しは相手ディフェンスに当たりゴールラインを割る。名古屋・右からのコーナーキック。藤本が左足で広島ゴール前へ上げるが、エリア内で名古屋のファールを取られてしまう。
12分、右サイドを上がった広島・ミキッチからのクロスは増川がクリア。再びペナルティエリア内へ入れられると、ゴールライン付近で広島・佐藤が粘り倒れながらシュートを放たれるが、楢崎がこれをクリア。
後半に入っても5人のディフェンスラインとその前に4人の中盤の選手で守り、ただただカウンターを狙う広島に対し、ほとんどボールを触らせない名古屋。お互いに根気比べのような展開が続く。
16分、広島陣内左でボールを受けた小川が広島・岡本に倒され、フリーキックを得る。
17分、広島ゴール左、35m弱の位置から名古屋ボールのフリーキック。小川が右足で上げたボールは中央で相手ディフェンスにクリアされる。これを右サイドで拾ったダニルソンが再びクロス。ゴール前ファーサイドの闘莉王がトラップで粘り、強引にボレーシュートを放つが、ボールはクロスバーを超える。
19分、ダニルソンから楢崎へ戻したボールに広島・佐藤が急にプレスを仕掛けるが、ここは楢崎が落ち着いて右タッチラインへとクリア。
20分、センターサークルでボールを受ける広島・佐藤からボール奪取を狙った闘莉王が倒してしまい、ファールの判定となる。
21分、中央左寄りから持ち上がった広島・岡本から左前へのボールは田中(隼)がスライディングでカット、ボールはタッチラインを割る。
22分、ダニルソンが中央を上がりペナルティエリア内へと進入。こぼれたボールをエリア外から中へ入った藤本が切り返し右足で狙うが、このシュートは広島・西川の正面を突きキャッチされてしまう。
23分、広島1人目交代:清水→パク
24分、広島陣内中央で田口がボールを失うとここから広島のカウンター。左からのクロスは増川が跳ね返し、再び中へのボールはディフェンスに当たりゴールラインを割る。
25分、広島・右からのコーナーキックは中央でこぼれ、右からダニルソンが上がるが、そのボールをキープする広島・パクと交錯、広島ボールのフリーキックとなる。
26分、名古屋ゴール左30m強の位置から広島ボールのフリーキック。名古屋ゴール前へのボールは闘莉王がヘディングでクリア。
27分、広島陣内左サイド高い位置で小川が粘り、コーナーキックを得る。
28分、名古屋1人目交代:矢野→永井
名古屋・左からのコーナーキック。小川が右足で上げたボールは中央で広島・西川にパンチングでクリアされる。
29分、右サイドを上がった田中(隼)からの低いクロスが相手ディフェンスの裏へ抜けるが、玉田に当たったボールはゴールラインを割ってしまう。
30分、広島陣内左でインターセプトを狙った小川が倒され、フリーキックを得る。このプレーで広島・塩谷にイエローカードが提示される。
依然としてスコアレスの両チーム。裏へのスペースが限られる状況だが、スピードのある永井を投入し、勝負を仕掛ける。
31分、広島陣内左タッチライン際からのフリーキック。藤本からのボールにゴール前ファーサイドの闘莉王が飛び込むが、相手ディフェンスと交錯しファールの判定となる。
【失点】
32分、右サイドから中へと持ち込んだ広島・ミキッチにペナルティエリア手前からタイミングを外したシュートをゴール隅に決められ、先制ゴールを許してしまう。
34分、阿部が左サイドからペナルティエリア内へ進入するが、相手ディフェンスのスライディングにボールは阿部に当たりゴールラインを割る。
35分、左サイド高い位置で阿部、永井と繋ぎ、突破を狙うが、ここで広島・石原を倒してしまいファールの判定となる。
36分、広島2人目交代:ミキッチ→ファン
名古屋2人目交代:小川→ダニエル
37分、広島・パクが左サイドからドリブルを仕掛けるが、田中(隼)が対応、倒され名古屋ボールのフリーキックとなる。
38分、名古屋陣内右でダニルソンが広島・石原を倒し、フリーキックを与える。
39分、名古屋ゴール左20m程度の位置から広島ボールのフリーキック。広島・高萩が低く直接狙ったボールは増川がタッチラインへとクリア。
40分、カウンターから名古屋ペナルティエリア内でボールを受けた広島・高萩のグラウンダーの折り返しは、阿部がタッチラインへとクリア。
41分、右サイドを上がった田中(隼)からのクロス。闘莉王がヘディングで落とし、ペナルティエリア手前の永井が右足ボレーで狙うが、このシュートは広島・西川に弾かれゴールラインを割る。名古屋・左からのコーナーキック。藤本が左足で上げたボールは中央でクリアされる。
42分、広島ペナルティエリア内の闘莉王が粘り、コーナーキックを得る。名古屋・右からのコーナーキック。藤本が左足で上げたボールはゴールライン付近で相手ディフェンスにクリアされる。
43分、広島陣内左の阿部からのアーリークロスは中央で相手ディフェンスにクリアされる。
45分、広島・パクからのアーリークロスはダニエルがヘディングでクリア。
(ロスタイム表示:3分)
ロスタイム1、名古屋自陣からのカウンター。センターサークル付近の闘莉王に当て、サポートの玉田、さらに左の永井の前を狙うが、ここでバランスを崩してしまいボールはクリアされる。
名古屋3人目交代:田口→ヤキモフスキー
【得点】
ロスタイム2、広島ペナルティエリア内中央でボールを受けた永井が粘ってボールを戻すと、闘莉王がここまで溜まったストレスを吐き出すかのような強烈なシュートで叩き込み、この時間に名古屋が同点とした。
ロスタイム4、右からマイナス方向へグラウンダーのクロスを広島・石原が狙うが、このシュートは増川が体でブロック、こぼれ球はゴールラインへとクリア。
ロスタイム5、広島・右からのコーナーキックは中央で楢崎が弾きクリア。ここから右サイドでダニルソンが競り合い、なんとか持ち上がろうとするが、ここで試合終了。
ひたすら守ってカウンターを狙う広島に攻めあぐね、ワンチャンスから先制ゴールを許してしまった名古屋。このままの負けではとにかくフラストレーションの溜まる内容だったが、復帰した永井が体の強さを活かしチャンスを作ると、闘莉王が意地のゴール。今シーズン、リーグ戦初ゴールで同点とし、終わってみれば1-1での引き分けとなった。
試合終了後記者会見
今日は我々にとって簡単なゲームでした。広島へはサッカーをするために来ましたが、サンフレッチェ広島はサッカーをしたくなかったかのような姿勢も見えました。これで負けていればアンフェアだと感じますが、今日は我々にとって良い結果だったと思います。
自分たちのチームの選手達を誇りに思っていますし、広島のミキッチ選手のゴールはアクシデント的なものでした。それでも、そのゴール後にリアクションを起こし、そして得点を決めることができたことには満足しています。久しぶりに闘莉王選手を終盤に前線へと上げましたが、これは想定していたオプションだったのでしょうか?
試合前の2日間のトレーニングを非公開としましたが、その内容をここでメディアの皆さまに話すことはできません。今日のオプションが想定していてもそうで無くても私の問題ですし、チームをコントロールするのが私の仕事です。中村直志、ケネディの2人が出場できない状況で今日の結果は喜ばしいと思っていますが、もっと良い結果を出すことができたとも思っています。
我々としては最後まで諦めない、強い精神力のサッカーを見せられたと思います。最後には永井と闘莉王のコンビネーションから得点しましたが、そこに選手全員の力が結集していたと思います。
後半戦は素晴らしい結果を出していますが、監督の中で逆転優勝についてはどのようにお考えでしょうか?
優勝に関する質問は、サンフレッチェ広島に対し、質問していただきたいと思います。我々としては1つ1つの試合を戦いベストなプレーを出し、美しいサッカーを見せたいと思っています。今日観戦された方には楽しいサッカーを見せられたのではないでしょうか。我々のコンビネーション、技術力を使った展開に楽しめたと思っています。
引いて守る広島に対して、攻めあぐねる場面が見られましたが、フラストレーションが溜まったのではないでしょうか?
私はフラストレーションはありませんでした。逆にサンフレッチェ広島と、広島のサポーターの方々にとってフラストレーションが溜まったのではないでしょうか。我々はしっかりとボールを動かし、良い攻撃に挑戦していました。サンフレッチェ広島はプレーしたくなかったのかもしれません。彼らのスタイルには何かを言いたくありませんが、私は我々のスタイルを試合で出して、それを構築したいと思っている、ただそれだけです。