2013シーズン試合結果
試合前
高い湿度に覆われた豊田スタジアム。約1ヶ月半ぶりの再開となる2013J1リーグ第14節は、ホームで清水エスパルスとの対戦となる。
中断前までの13試合を終え、勝ち点12の14位に沈むグランパス。中断期には岐阜県飛騨市古川で強化キャンプを行い立て直しを図ったが、今日はその成果が問われる重要な一戦となりそうだ。
七夕Eveningと題し、愛知県内の七夕まつりに関するブースやウェザーニュースとコラボしての天候に関するステージなど、この季節に限られたイベントで試合前から賑わったスタジアム。サポーターも席に着き、試合への空気に切り替わった午後6時30分、ウォーミングアップのため選手達がピッチへと姿を現した。
古川キャンプから中断期全般を通しシステムの変更とそれに伴う徹底的な戦術トレーニング、さらには体力強化を行った。さらには前半戦、怪我明けから調子の上がらなかったケネディも、オーストラリア代表をW杯出場に導くゴールを決め自信を取り戻しチームへと合流している。ウォーミングアップを行う選手達も中断期に取り組んだ内容を信じ、残りのシーズンへ向け気合いが入っているようだ。
そして今日も再開を待ちわび、そしてグランパスを信じスタジアムへ駆けつけてくれたサポーターも試合前から応援歌を唄い、チームを鼓舞し続けてくれている。このサポーターの気持ちにを裏切らない熱戦に期待したい。
前半
両チームのメンバー紹介も終わり、サポーターのアンセムが響くスタジアムに22人の選手が姿を現す。
今日の名古屋、ゴールキーパーは楢崎。ディフェンスラインは右から田中（隼）、闘莉王、増川、阿部の4人。中盤は藤本、田口、中村、小川の4人、玉田、ケネディの2トップによる4-4-2のシステムでのスタートが予想される。
前半、メインスタンドから向かって左にエンドを取った、20周年記念・黒のユニフォームを纏った名古屋ボールでキックオフ。
1分、増川からのロングフィードをペナルティエリア近くの藤本が丁寧に胸で落とし、ケネディが右足で狙うが、このシュートは清水・櫛引に弾かれてしまう。
3分、名古屋陣内左タッチライン際から清水ボールのフリーキック。名古屋ゴール前へのボールは田中（隼）がヘディングでクリア、これを拾った清水・吉田のミドルシュートは枠の左へ外れる。
4分、清水・ペナルティエリア付近で玉田とのワンツーを受けたケネディのシュートは、清水・櫛引が触り、枠を外れる。名古屋・左からのコーナーキック。田口が右足で上げたボールは清水・櫛引にパンチングでクリアされる。
5分、清水陣内右の田中（隼）からのアーリークロス。ケネディが体をひねりながらヘディングで合わせるが、このシュートは僅かに枠に左へと外れる。
6分、左サイドを上がった小川が中を向き、ドリブルを仕掛けるが、ボールは清水・吉田にカットされてしまう。
7分、ハーフライン付近で清水・竹内へのボールは中村がカット、前線へとクリア。
8分、左サイドを上がった清水・カルフィンから縦へのボールは闘莉王が見送り、直接、楢崎が抑える。
【得点】
9分、右サイドで闘莉王からのボールを玉田が絶妙なトラップでコントロール。素早く中央のケネディへ速いボールを送り、そのケネディが一瞬ためてエリア内左へスルーパス。ここへ完全にフリーで抜け出した小川が左足で転がすシュートを決め、名古屋が先制ゴールを奪った。
10分、自陣でのボールカットから素早く前線のバレーへ預け、清水がカウンターを仕掛けるが、ペナルティエリア内での切り返しは闘莉王がスライディングでカット。
11分、闘莉王から右サイドを上がる田中（隼）の前を狙ったスルーパスは、清水・イにタッチラインへとクリアされる。
12分、ハーフライン付近でのボールを奪った清水が左へ流れる清水・伊藤へ預け、ハーフカウンターを狙うが、闘莉王の激しいディフェンスでゴールラインへとクリア。
【失点】
13分、清水・左からのコーナーキック。中央でクリアを狙った楢崎を超えたボールをファーサイド側の清水・村松にヘディングで合わせられ、同点ゴールを許してしまう。
15分、闘莉王からの縦パスに小川がペナルティエリア内へ走るが清水・平岡と交錯、ボールはクリアされる。
理想的な先制ゴールを奪いながら、セットプレーでの同点を許した名古屋。それでもここまでシンプルながら効果的な攻撃でシュートチャンスを何度も作り出しており、再度勝越しゴールを狙いたい。
17分、名古屋陣内右でボールを持った清水・吉田のアーリークロスは、闘莉王がヘディングでクリア。
18分、右サイドを上がった清水・吉田から中へのボールは、田口がスライディングでゴールラインへとクリア。
19分、清水・右からのコーナーキックは中央の闘莉王がヘディングでクリア。
20分、ハーフライン付近で中村から田中（隼）へのボールを清水・村松に奪われ、カウンターを仕掛けられるが、ペナルティエリア内へのボールは楢崎が抑える。
22分、名古屋陣内でボールをキープする清水。右サイドへのスルーパスに駆け上がった清水・吉田のクロスは名古屋ゴール前を抜け、逆サイドへと流れる。
23分、センターサークル付近のケネディがボールを失い、素早く左の清水・伊藤に運ばれシュートを狙われるが、このボールは枠の右へと外れる。
26分、左サイドから中へ入った清水・イのミドルシュートは枠の左へ外れる。
27分、闘莉王からのボールを右サイドでコントロールした藤本のクロスは、相手ディフェンスにヘディングでクリアされる。
28分、清水ペナルティエリア手前の田口からのクロスは相手ディフェンスにクリアされる。こぼれ球を拾った清水・伊藤がカウンターを狙うと、これを止めた中村にイエローカードが提示されてしまう。
30分、センターサークル内でボールを受ける清水・河井を田口が倒し、ファールの判定となる。
同点とされてからはボールをキープ出来ず、清水の時間帯が続く。ホームの名古屋としては早くペースを取り戻したい。
32分、左サイドの阿部から小川、エリア内左の玉田、ゴールライン付近の闘莉王へ。その闘莉王からのケネディへのグラウンダーのクロスは清水・櫛引にキャッチされる。
34分、名古屋ペナルティエリア内でボールを持った清水・伊藤が中へとドリブル。細かいタッチでディフェンス2人を交わし、右足でのシュートを放つが、楢崎が抜群の反応で右へ飛び、これを抑える。
36分、闘莉王の楔から右の田中（隼）へ展開。ここからのクロスをケネディが相手ディフェンスと競り合い、ボールは相手に当たりゴールラインを割る。
37分、名古屋・右からのコーナーキック。田口からのボールをニアサイドの闘莉王が狙うが、ボールは相手ディフェンスにヘディングでクリアされる。このボールを阿部が左足ダイレクトで狙うが、このシュートはクロスバーを超える。
38分、ハーフラインを超えた清水・カルフィンから縦を狙ったボールは、清水・バレーの位置でオフサイドの判定。
39分、清水陣内左でボールを受ける清水・伊藤へインターセプトを狙った増川が後ろから倒してしまい、ここのプレーに対しイエローカードが提示される。
40分、左サイドを上がった清水・カルフィンからのクロスは闘莉王がクリア。
41分、闘莉王からのボールにペナルティエリア内左の玉田が粘り、左の阿部へ。ここからのクロスに闘莉王が飛び込むが、ボールは手前のディフェンスにゴールラインへとクリアされる。
42分、名古屋・右からのコーナーキック。藤本が上げたボールはファーサイドで闘莉王と体を合わせながら足下に収めた清水・バレーにクリアされる。
43分、清水陣内右の藤本からペナルティエリア内へのボール。これを左サイドから中央へ走り込んだ小川が体を伸ばし右足で飛び込むが、僅かに届かず、ボールは清水・櫛引にキャッチされてしまう。
44分、名古屋陣内左で清水・河井がボールを受けるが、素早く戻った藤本がボールをタッチラインへとクリア。
45分、闘莉王からのボールをハーフライン付近で受ける玉田が清水・カルフィンに倒され、ファールの判定。
（ロスタイム表示：2分）
ロスタイム1、ハーフライン付近の増川から左サイドを上がる阿部の前を狙うが、このボールは球足が早く直接ゴールラインを割る。
ロスタイム2、右サイドでボールを繋ぐ清水に対し小川がカット、タッチラインへとクリア。
ここで前半終了。
試合開始早々からのシンプルな攻撃で先制しながら、セットプレーで追いつかれた名古屋。前半30分過ぎからは再びペースを取り戻したが決定的な場面はあまり作り出せず、1-1での折り返しとなった。後半、ホームのサポーターの声援を受け勝ち越しゴールを奪いたい。
後半
エンドを替えた後半、清水ボールでキックオフ。
1分、自陣左で小川が倒され、フリーキックを得る。
2分、このボールを阿部が素早くリスタート。一気に右サイドを上がる藤本の前を狙うが、このボールは相手ディフェンスにクリアされる。
3分、前線の清水・バレーを狙ったロングボールは闘莉王がヘディングでクリア。
4分、センターサークル中央でボールを受けた清水・清水を田口が倒し、ファールの判定。
5分、右サイド高い位置でボールを受ける清水・吉田がディフェンスに入った小川に肘を当ててしまい、このプレーで清水・吉田にイエローカードが提示される。
7分、清水ペナルティエリア付近でボールを奪ったケネディ。ドリブルを仕掛けると、清水・杉山と交錯、ここはケネディのファールを取られてしまう。
9分、清水・吉田が右サイドで切り返し、中へのボールは中村がカット。これを受けた小川がドリブルを仕掛けると、清水・杉山に倒され、このプレーにイエローカードが提示される。
10分、清水陣内中央の闘莉王から玉田へ楔のボール。これをコントロールし、前へ持ち替えた玉田のシュートは清水・櫛引に弾かれる。さらにこぼれ球をケネディが苦しい体勢から右足で狙うが、このシュートはクロスバーを超えてしまう。
11分、名古屋陣内右から清水ボールのフリーキック。名古屋ゴール前へのボールは楢崎が味方ディフェンスと交錯しながら、パンチングでクリア。
12分、清水陣内左からのスローインを受けた玉田がトラップからコントロールし、ペナルティエリア内へ。ここから左足でシュート気味の強いボールは枠の右へと外れる。
14分、闘莉王からのパスに左サイドを上がった阿部からマイナス方向へのグラウンダーのボール。これに小川が飛び込むが、相手ディフェンスと交錯、シュートまで打てず混戦の中ボールはクリアされる。
15分、清水ペナルティエリア内左高い位置へ進入したケネディのクロスは玉田に合わせられず、逆サイドへと流れてしまう。
後半に入り、既に3度の決定機を作った名古屋。この時間帯に勝ち越しゴールを奪いたい。
17分、清水陣内中央でこぼれ球を拾った中村のミドルシュートは清水・櫛引にクリアされる。これを右で拾った田中（隼）がコーナーフラッグ付近で倒され、フリーキックを得る。
18分、右コーナーフラッグ付近から名古屋ボールのフリーキック。田口が右足で上げたボールを闘莉王が強引にヘディングで合わせるが、このシュートは相手ディフェンスに当たり枠を外れる。
19分、名古屋・左からのコーナーキック。藤本からのボールをケネディが後ろへ流れながらヘディングで捉えるが、このシュートはゴールライン上の相手ディフェンスにクリアされる。
20分、闘莉王からのボールを清水陣内中央の小川がダイレクトで前のケネディへ狙うが、このボールは相手ディフェンスにクリアされる。
21分、清水陣内中央左寄りで小川が倒され、フリーキックを得る。
清水1人目交代：竹内→高木
22分、清水陣内中央左寄りから名古屋ボールのフリーキック。藤本が左足で清水ゴール前へ上げたボールは相手ディフェンスがクリア。こぼれ球を小川が左足で狙うが、このシュートはクロスバーを超える。
24分、ハーフライン付近の増川から玉田の左前を狙ったボールは、直接タッチラインを割ってしまう。
25分、田口からのボールを中央で受けた玉田。左足へ持ち替え、入れ替わり中央へ入る小川の前を狙うが、このボールは相手ディフェンスにクリアされる。
26分、田中（隼）からのアーリークロスをケネディが頭で落とし、足先で引っかけた玉田がボールをコントロール。戻したボールを藤本が狙うが、このシュートは相手ディフェンスに当たり枠を外れる。
27分、名古屋・左からのコーナーキック。田口からのボールは中央でクリアされるが、これを拾った藤本から再び左の田口へ。ここからのミドルシュートは枠の左へと外れる。
29分、清水ペナルィエリア左から小川がドリブルを仕掛けるが、相手ディフェンスと交錯、ボールはゴールラインを割る。
名古屋1人目交代：中村→田中（輝）
30分、玉田の落としを受けた小川から右サイド高い位置へのスルーパスは、相手ディフェンスに当たりゴールラインを割る。
依然として1-1の両チーム。試合は残り15分、ホームの名古屋としては何としてもサポーターの声援に応えたい。
31分、名古屋・右からのコーナーキック。藤本が左足で上げたボールは、ニアサイドで相手ディフェンスにゴールラインへとクリアされる。
32分、再び名古屋・右からのコーナーキック。藤本からのボールにニアサイド低く飛び込んだ闘莉王が頭で合わせようとするが、ボールは枠を外れる。
33分、闘莉王から阿部の前を狙った長いボールは合わず、それでもケネディがゴールライン付近まで追うが、ボールはラインを割ってしまう。
34分、清水ペナルティエリア手前でボールをコントロールした玉田。ペナルティエリア内右から走り込んだ田中（輝）の前へのボールは相手ディフェンスと交錯、上手く合わせられず、枠を外れる。
35分、ケネディのボールキープから清水陣内の玉田へ。さらに左サイドを上がるケネディへリターンを狙うが、コースが合わず、ボールはタッチラインを割る。
36分、清水・清水が左サイドでボールを受けるが闘莉王が貫禄のディフェンスでボールを奪う。ここで闘莉王がくるぶし付近を押さえ一旦倒れるが、その場で立ち上がりプレーは続けられるようだ。
38分、右サイドで田中（輝）がキープ、中央の田口へ戻し清水ゴール前へボールを上げるが、ここは直接ゴールラインを割る。
39分、名古屋ゴール右寄り35m強の位置から清水ボールのフリーキック。名古屋ゴール前へのボールに清水・バレーが抜けようとするが、ここはオフサイドの判定。
40分、名古屋陣内左で清水・伊藤からボール奪取を狙った藤本が相手を倒してしまい、ファールの判定。
41分、名古屋ゴール右45度、30mの位置から清水ボールのフリーキック。名古屋ゴール前へのボールは楢崎がパンチングでクリア。
42分、名古屋2人目交代：玉田→ダニエル
43分、センターサークル内でボールを受けようとしたケネディが清水・カルフィンに倒され、このプレーでイエローカードが提示される。
清水2人目交代：河井→石毛
【得点】
44分、増川のディフェンスから左の阿部へ。ここからのアーリークロスに飛び込んだケネディが合わせ切れず、ボールはクリアされる。しかし闘莉王が詰め、こぼれたボールを小川が押し込み、真っ赤なサポーターの目の前で待望の勝ち越しゴールを奪った。
45分、右サイド田中（隼）へのボールは清水・イにタッチラインへとクリアされる。
（ロスタイム：3分）
ロスタイム1、名古屋陣内右高い位置から清水ボールのスローイン。中へと狙ったボールは阿部が競り合い、増川がクリア。
ロスタイム2、清水・高木の前を狙ったロングボールはオフサイドの判定。清水3人目：村松→村田。
ロスタイム3、名古屋ペナルティエリア手前から中の清水・伊藤を狙ったボールは、闘莉王がクリア。
ロスタイム4、自陣中央でケネディが引っかけられ得たフリーキック。これを楢崎が前線へ大きく蹴ったところで試合終了。
後半に入ってからは相手にチャンスを作らせず、終始名古屋のペース。それでも追加点が奪えず苦しんだが、終盤にダニエルを入れ闘莉王を前線へ上げると、ケネディとその闘莉王が潰れながら小川の決勝ゴールをお膳立て。
中断明け初戦、新しいシステムで臨んだ試合はまだまだチームに伸びしろが期待されるが、それでも沈んだ気持ちで終えた前半戦を払拭する大きな大きな勝利となった。
試合終了後記者会見
今日はとてもタフな内容のゲームになりました。その中で、勝ち点3を取り、新しいスタートを切ることが出来たということで、今はハッピーな気持ちでいっぱいです。
先月から、ハードな練習をこなしてきたこともあって、今日の試合でのパフォーマンスや戦術的な面を見てみますと、我々の方が勝ちに値するプレーが出来ていたと思います。今日は、選手達もしっかりとやってくれたので、とても満足しています。
試合終了間際に、闘莉王選手がFWとして前線に上がりましたが、トレーニングを見ていても、そのような場面はありませんでした。今日の清水戦の直前の二日間の非公開トレーニングでそういった新しい事を試したということでしょうか？また、2つの交代のシーンには、どういった意図があったのかも教えて下さい。
一つ目の質問についてですが、率直に言うと、あのような練習はしていませんでした。ただ、どうしても勝つために、追加点を取らなければならないと考えたため、実行に移しました。闘莉王を前へ上げるというのは、私にとっての勝つための最後の"切り札"でした。今日は幸いにも、そのアイデアが実ったと思います。そのため、ケネディと闘莉王という2人のストライカーを前に置いて攻めるという形になりました。そして、最終的に、小川が2点目を取ってくれました。
（中村）直志と（田中）輝希の交代についてですが、細かい部分を申し上げるのは難しいですが、あそこはやはり2点目を取るために、攻撃に徹しなければならないと考えたため、戦術的な部分を加味した上で、交代させました。
試合後、サポーターの拍手に応えて、深くお辞儀をされていましたが、どのような想いがあったのでしょうか？
サポーターをリスペクトした行為です。サポーターの皆さんは、難しい状況にあっても、いつも後ろから応援し続けてくれています。だから私は、本当にこの"勝利"というものを、彼らに見て欲しい、そして捧げたいものだと思いました。過去から振り返れば、私たちとサポーターはいつだって苦しい気持ちを共有してきました。そういう部分から、サポーターには、この素晴らしい"瞬間"というものをプレゼントとして受け取って頂きたいという想いがあったため、頭を深く下げました。
ハーフタイムには、ロッカールームで選手達に「勝利を信じること」や「今までやってきたことを続けてやっていくこと」を話して、その中で、『そうすれば必ず良いボールもやってくるし、必ず勝つ事が出来る』とエールを送りました。今日は本当に勝つ事が出来て良かったと思います。