2013シーズン試合結果
試合前
昼間のポカポカ陽気から風も出始め、上空にはうっすらと雲も広がりはじめた愛知県豊田市。2013J1第10節はホーム・豊田スタジアムでベガルタ仙台との対戦となる。
金曜日にアウェイで行われた川崎フロンターレ戦では、怪我から復帰した藤本の今シーズン初ゴールで追いつきながら、その後ミドルシュートを決めら1-2と痛い敗戦を喫した名古屋。中2日で開催される今日の試合だが、GW最終日に豊田スタジアムまで駆けつけてくれたホームのサポーターに気持ちを伝える試合を期待したい。
その前節・川崎戦でJリーグ最多出場記録1位に並んだ楢崎。今日の試合に出場すれば通算512試合と単独首位に立つ。日頃から個人の記録を特別視される事を好まず、常にチームの事を考える不動のキャプテンだが、それでも偉大な記録に、そのキャプテンを慕うフィールドプレイヤーがなんとしても勝利という華を添えたいのでは無いだろうか。
午後6時30分、ゴールキーパー陣に続きフィールドプレイヤーがピッチへと姿を現すと、既にグランパスレッドに染まるサポーターズシート1階席を中心に大きな歓声が沸き起こった。前節ではベンチを外れた中村直志が久しぶりにスターティングメンバーに戻ってきたが、生え抜きとしてチーム最長の大ベテランの復帰には、サポーターからの特に気持ちの入った歓声が届いているようだ。
ゴールデンウィークの連戦による疲労からある程度メンバーも入れ替えられた今日の名古屋だが、メンバーも揃いここから熟成の期待される状況で、内容と結果、今日はその両方に期待したい。
前半
豊田スタジアムのビジョンを使った選手紹介も終わり、名古屋サポーターのアンセムの合唱、そして仙台サポーターとの声援が混ざり合うスタジアムに22人の選手が姿を現す。
今日の名古屋、ゴールキーパーは楢崎。ディフェンスラインは右から田中(隼)、ダニエル、闘莉王、阿部の4人。中村、ダニルソンが中盤底を形成し、ケネディの1トップ、その後ろに小川、ヤキモフスキー、藤本が並ぶ4-5-1(4-2-3-1)のシステムでのスタートが予想される。
前半、メインスタンドから向かって左にエンドを取った赤のユニフォーム・名古屋ボールでキックオフ。
1分、左サイドを上がる藤本の前へ浮き球を狙うが、ここはペナルティエリア外へと出た仙台・林にタッチラインへとクリアされる。
2分、中でボールを受けた藤本から左サイドを上がるヤキモフスキーの前へスルーパスを狙うが、オフサイドの判定。
3分、右サイド高い位置でボールを受けた小川から田中(隼)へ戻したボール。左足へ持ち替え、中へのクロスは仙台・林が直接抑える。
4分、名古屋ペナルティエリア手前で左からのボールを受けた仙台・太田のシュートは楢崎が正面で抑える。
6分、ダニエルからのフィードを左で受けたヤキモフスキー。ドリブルで仕掛け、中へのクロスを狙うが、このボールは仙台・林がクリア。
7分、右コーナーフラッグ付近で藤本が相手パスをインターセプト。素早く田中(隼)へ通し、さらにマイナス方向へグラウンダーの折り返しに小川が飛び込むが、右足でのシュートはクロスバーを超えてしまう。
9分、自陣から一気に右サイドを駆け上がった仙台・太田からのクロスは、ダニエルがヘディングでクリア。
11分、名古屋ペナルティエリア手前で右からのボールを仙台・赤嶺が胸で落とすが、このボールは闘莉王が左へとクリア。
12分、左サイド高い位置でボールを受けた仙台・梁からグラウンダーの折り返しは、ダニエルが左足でクリア。
14分、仙台ペナルティエリア付近の小川から右を上がる田中(隼)へ。ここからのクロスに中央のケネディが潰れ、ファーサイドのヤキモフスキーが難しい体勢から右足ボレーで合わせるが、このシュートは仙台・林の正面を突きキャッチされてしまう。
15分、仙台ペナルティエリア右でボールを受けた小川の左足のシュートは仙台・鎌田にブロックされ、クリアされる。
しっかりと両サイドへボールを動かしながらギャップを探す名古屋に対し、奪ってから縦への速いカウンターを狙う仙台。序盤から両チームのスタイルが見られる試合展開が続く。
16分、自陣右ハーフライン付近でダニエルが仙台・赤嶺を倒し、ファールの判定となる。
17分、仙台陣内左へ上がった阿部からペナルティエリア内へ進入する藤本へスルーパスを通すが、ここはオフサイドの判定となってしまう。
18分、仙台陣内右で藤本のダイレクトプレーからペナルティエリア内へ走り込む小川を狙うが、このボールは仙台・蜂須賀のスライディングでクリアされる。
19分、センターサークル内の闘莉王から縦へと走る小川の前へ速いボールを狙うが、ここは仙台・鎌田にクリアされる。
20分、仙台陣内左で藤本が仙台・蜂須賀と交錯しながら左へ展開。これを受けたヤキモフスキーが縦へと仕掛け、中央へのクロスを狙うが、このボールは相手ディフェンスにヘディングでクリアされる。
22分、自陣左で中村のボール奪取からヤキモフスキー、藤本、体を入れ替えるケネディと繋ぎ、さらに仙台陣内へ入る小川を狙うが、このボールは相手ディフェンスにカットされてしまう。
23分、闘莉王のパスカットから藤本に預け、闘莉王がそのまま前線へと上がるが、藤本へ仙台・角田のファールとなるタックルで止められてしまう。
24分、仙台・富田から縦を狙ったボールはダニエルが対応し、右へとクリア。
25分、自陣でのパスカットから右の小川へ預け、闘莉王を含めた4人が仙台ゴールまで迫るが、シュートへは持ち込めず、左サイドでカットされたボールはクリアされる。
27分、センターサークル付近で闘莉王のインターセプトからケネディ、さらに右を上がる藤本へのスルーパスを狙うが、このボールは相手ディフェンスにカットされてしまう。
【失点】
28分、右サイドを上がった仙台・太田からのクロス。中央を上がった仙台・角田にヘディングで合わせられ、先制ゴールを許してしまう。
30分、右からドリブルを仕掛けた田中(隼)が後ろから倒され、ペナルティエリア右からのフリーキックを得る。
ホームで先制ゴールを許した名古屋。自分達のペースで戦っていただけに、ワンチャンスを決められ痛い失点だが、慌てる事無くしっかりと前半の内に追いついておきたい。
31分、仙台ペナルティエリア右から名古屋ボールのフリーキック。藤本が左足で入れたボールは中央でクリアされる。
32分、名古屋ペナルティエリア左でボールを受けた仙台・富田から中への折り返しは、闘莉王がクリアする。
34分、仙台・林へ戻したボールにケネディがプレスを仕掛けると、左・蜂須賀へのボールは田中(隼)がタッチラインへとクリア。
35分、ハーフライン付近でボールを受けるケネディが仙台・鎌田に後ろから押され、ファールの判定となる。
36分、右サイド高い位置でボールを受けた仙台・太田からのクロスは、ダニエルがヘディングでクリア。
37分、名古屋ペナルティエリア手前左でボールを拾った仙台・赤嶺から中へのボールは、闘莉王がヘディングでクリア。
38分、ヤキモフスキーからのボールを仙台ペナルティエリア内で受けたケネディ。左足へ切り返してシュートを放つが、このボールは仙台・林の正面を突きキャッチされてしまう。
39分、右サイドを上がった小川のクロスは仙台・林が直接抑える。
40分、仙台・角田から右を狙ったボールは、阿部がダイレクトでタッチラインへとクリア。
41分、センターサークル付近へ下がってボールを受けたケネディ。入れ替わりで前線へ上がる中村の前を狙うが、このボールは直接ゴールラインを割る。
42分、仙台陣内センターサークル内から名古屋ボールのフリーキック。小川からエリア内左へ上がったケネディを狙うが、競り合った仙台・渡辺を押さえしまい、ファールの判定となる。
44分、センターサークルでボールを奪った闘莉王から右の田中(隼)へ。ここからのクロスは仙台・鎌田にクリアされる。
45分、名古屋ペナルティエリア手前右でボールを受ける仙台・角田のミドルシュートは枠の左へと外れる。
(ロスタイム表示:1分)
ロスタイム1、仙台・赤嶺から右を上がる仙台・太田の前へのボールが通るが、全速力で戻ったダニルソンがスライディングでボールをクリア。
ロスタイム2、仙台陣内右寄りで中村が相手パスをカット、すぐに右の田中(隼)へと繋ぐが、ここで前半終了。
ボールポゼションでは優位を保った前半。それでも決定的な場面は幾つも作り出せず、狙い通りの展開から仙台に先制ゴールを許し、リードされての折り返し。後半、攻撃面で変化をつけながら、同点、そして逆転ゴールを奪って欲しい。
後半
エンドを替えた後半、仙台ボールでキックオフ。
名古屋1人目交代:中村→増川
1分、仙台陣内左高い位置でヤキモフスキーがボールを受けるが、ディフェンス2人に囲まれ、ボールは一旦後ろへと戻される。
3分、仙台陣内左で藤本からのサイドチェンジを受けた阿部。サポートに入った闘莉王へ繋ぎ、ドリブルを仕掛けるが、ここは仙台・田村にタッチラインへと押し出されてしまう。
4分、仙台ペナルティエリア手前の藤本から浮かせたボール。これをエリア内右寄りのケネディが中へ走り込む小川へ落とすが、わずかに速くボールは相手ディフェンスにクリアされる。
6分、名古屋陣内センターサークル付近でボールを受ける仙台・赤嶺に対し増川がボール奪取を狙うが、後ろからの接触でファールを取られてしまう。
7分、左サイド高い位置でボールを受けた阿部からのクロスは仙台・蜂須賀にヘディングでクリアされる。
8分、右サイドを上がった仙台・太田からのクロスは、ダニエルがヘディングでゴールラインへとクリア。仙台・右からのコーナーキックは小川がクリア。
9分、仙台ペナルティエリア手前左の阿部からのアーリークロスは仙台・林が直接抑える。
10分、名古屋ペナルティエリア左でボールを受けた仙台・赤嶺からのシュートは右ポストに当たり、跳ね返りが楢崎の顔に当たりゴールラインを割る。仙台・右からのコーナーキックは中央でクリア。
11分、藤本から右を上がる田中(隼)へサイドチェンジ。ここから中へのドリブルを仕掛けるが、仙台・蜂須賀にタッチラインへとクリアされてしまう。
12分、ダニルソンからボールを受け、左を上がった阿部からのクロス。しかし、仙台・田村に当たり、浮き上がったボールはそのままオーバーヘッドでクリアされる。
【失点】
13分、名古屋ペナルティエリア右でボールを受けた仙台・梁からのクロス。ディフェンスラインの間を斜めに入った仙台・柳沢にダイビングヘッドを決められ、追加点を許してしまう。
15分、藤本からのパスに右サイドを上がった小川のクロスは、仙台・鎌田にタッチラインへとクリアされる。
後半に入りシステムを3バッックに変更した名古屋。しかしながら2点リードとなるゴールを許してしまい、厳しい戦いが続く。
16分、名古屋2、3人目交代:ヤキモフスキー、田中(隼)→玉田、矢野
仙台1人目交代:梁→松下
17分、左サイドを上がる仙台・柳沢の前へのボールは増川がスライディングでクリア。
18分、ダニルソンから右の矢野へ楔のボールを入れるが、足下でのコントロールがわずかに乱れ、ボールはクリアされてしまう。
20分、名古屋ペナルティエリア左から仙台・柳沢に倒れながら転がしてのシュートを狙われるが、ボールは枠の右へと外れる。
22分、仙台陣内センターサークル付近でダニエルからのボールを受けるケネディが倒され、フリーキックとなる。
23分、右の小川から左足へ持ち替えてのクロスは仙台・太田にゴールラインへとクリアされる。
24分、名古屋・左からのコーナーキック。藤本からのボールを中央のダニエルが相手ディフェンスと重なりながらヘディングで合わせるが、このシュートは枠の右へと外れる。
26分、仙台陣内でボールを繋ぐ名古屋。ダニルソン、藤本、玉田、藤本と繋ぎ、入れ替わりで攻撃に上がる闘莉王を狙うが、このパスは背面を通りクリアされてしまう。
27分、仙台2人目交代:柳沢→中原
28分、センターサークル内でボールを受けたダニルソン。左の阿部へ速いボールを狙うが、このパスはコースが合わず直接タッチラインを割る。
29分、仙台・蜂須賀からのクロスは藤本がゴールラインへとクリア。
30分、仙台・左からのコーナーキックを中央の仙台・中原に頭で合わせられるが、このシュートはクロスバーを超える。
依然として2点を追う名古屋。試合は残り15分、ホームのサポーターの前で意地を見せて欲しい。
31分、仙台ペナルティエリア内左でダニルソンからのボールを受けた闘莉王。中へと持ち替え、戻したボールに走り込んだ玉田が左足で合わせるが、このシュートは仙台・林の正面を突き、一旦弾きながらクリアされてしまう。
32分、名古屋ペナルティエリア手前でボールを受けた仙台・松下のシュートはクロスバーに当たり、枠を外れる。
34分、玉田からのパスに左サイドを上がった阿部からのクロス。ペナルティエリア内右寄りの闘莉王が体ごと飛び込み合わせるが、このシュートはクロスバーに当たりクリアされる。
35分、仙台3人目交代:太田→武藤
36分、中央を上がった闘莉王から左の阿部へ。ここからのクロスをペナルティエリア付近に入った闘莉王が胸で落とし、後方のケネディが右足で狙うが、このシュートは右のポストに嫌われてしまう。
38分、右を上がった小川からのクロス。これをペナルティエリア内中央の矢野がヘディングで落とし、少し深い位置に入ったボールを玉田が体を反転させながら左足ボレーで狙うが、このシュートもクロスバーに嫌われクリアされてしまう。
40分、名古屋陣内で闘莉王からボールを奪った仙台・富田のシュートは増川が体でブロック、これをクリア。
42分、名古屋ペナルティエリア手前で仙台・中原がボールを受けると、シュートを阻止に行った阿部が引っかけ、ファールの判定。
43分、名古屋ゴール正面20m弱の位置から仙台ボールのフリーキック。仙台・松下が右足で直接狙ったシュートは壁に当たり、枠を外れる。
44分、自陣右で小川と仙台・渡辺が交錯。ここで小川が倒れたため、ボールは一旦ピッチの外へと出される。
45分、仙台陣内左を上がったダニエルからのクロスが跳ね返され、走り込んだ増川がスライディングでのシュートを放つが、このボールは相手ディフェンスに当たりクリアされる。
(ロスタイム表示:3分)
ロスタイム2、右へ開いた仙台・武藤がドリブルからミドルシュートを狙うが、このボールは楢崎が抑える。
ロスタイム3、仙台ペナルティエリア左でドリブルを仕掛けた闘莉王から速い折り返し。これをケネディがしゃがみながらヘディングで合わせるが、このシュートは枠の右へと外れる。
ロスタイム4、自陣センターサークル付近から名古屋ボールのフリーキック。フィールドプレイヤー全員が上がり、楢崎が仙台ゴール前へ上げるが、シュートは持ち込めず。拾った玉田も相手ディフェンス2人に囲まれ、ボールはクリアされる。
ここで試合終了。
後半システムを変え、さらに闘莉王らを盛んに攻撃参加させながらも、致命的となる2点目の失点を許した名古屋。その後チャンスを作り出すも絶好機のシュートがポストに嫌われるなど、最後までゴールを奪えず。ゴール裏サポータから大ブーイングを浴びせられる結果となってしまった。
試合終了後記者会見
今日の試合は、結果はもちろんのこと、内容、パフォーマンス、共に満足していません。攻撃面と守備面、どちらを見ても"上手い"とは言えませんでした。
今日は、我々が理想のサッカーからかけ離れているうちに、仙台は2-0になり、自信を持ったプレーでゲームを支配してきました。これは当然の結果だと思います。今日は、結果も出せなかった上、良いプレーも見ることは叶いませんでした。
今日の試合はすぐに忘れてしまいたいような内容でした。ただ、今夜起こった事を"現実"として、深く受け止めたいと思います。
早い段階からフォーメーションを3-4-3に変えていましたが、今日の悪い流れを一気に変えることを期待しての変更だったのでしょうか?
ハーフタイムに(中村)直志に代わり、増川を投入しました。前半、相手にリードを許してしまったことで、この良くない状況から抜け出すために、何か変化をつけなければならないと考えました。しかし、残念ながら、結果に結びつくことはありませんでした。今日は"我々の日"ではなかったのかもしれません。
今日は我々の理想とするサッカーから遠くかけ離れていたと思います。ポストにボールが当たるといった惜しい場面も何回か見られましたが、これらはコンビネーションで相手を崩すといった、良いプレーから生まれたものではありませんでした。我々に運が味方してくれなかったということもあるでしょうが、それでも、良いプレーをしないことには、得点をとるのは難しいと思います。
ここ4試合で勝ち点が1しかとれていないという苦しい状況が続いていますが、これからリーグの中での、グランパスの立ち位置というものに関して、どのようにお考えでしょうか?
現在、我々は納得のいく結果を出せず、悪い状況に陥っています。この状況を打破するための"良いクスリ"というのは、やはり勝つ事で自信を取り戻すことだと思っています。
幸いにも、横浜戦までは、まだ時間がありますので、ここまでの試合をしっかりと分析しながら、チームをリフレッシュをさせることで、万全の状態で次節の横浜戦に臨みたいと思います。
今は難しい状況かもしれません。ただ、2年前も同じような状況に置かれましたが、その後、勢いを盛り返して、その状況から抜け出し、最終的には良い結果を残すことが出来ました。あの時のような形に、もう一度したいと思っています。
前線のケネディも100%からはほど遠い状態だと言えます。今日の彼のプレーを見てみても、あまり良いとは言えないでしょう。ボックス内でもハードなプレーが出来ず、本来のパワーが発揮出来ていません。
今日は特に守備面で目に余るものがありました。貧弱なプレーが目立っていたと思います。仙台はその隙を突くことで、我々を罰したのだと思います。
ここ4試合の内の、広島戦、川崎戦、どちらとも良い結果を出すことは出来ませんでしたが、少なからず良いプレーというものは見られました。ただ、今日のゲームでは、良いプレーを見せる事は出来ず、"弱いグランパス"というものを露呈してしまいました。